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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

牛の脛骨骨折の保存的・外科的治療

2016-05-24 | 学問

ついでに牛の脛骨骨折の治療成績の報告をもうひとつ紹介しておく。

Conservative and surgical treatment of tibial fractures in cattle

牛の脛骨骨折の保存的および外科的治療

Veterinary Record (1998) 143,12-16

脛骨骨折した95頭の牛、1頭を除いて片側の骨折を1990年から1994年の間に診察した。

治療の可能性はX線画像で評価し、体重や牛の価値も考慮した。

22頭は淘汰した。

牛房での安静および/あるいはスプリントやキャストによる保存的治療は18症例で行い、うち8頭(44%)で満足のいく結果が得られた。

それらの牛は正常な体重まで肥育されたが、全頭に患肢のひどい変形があった。

55頭では、透視下でスタインマンピンとメチルメタアクリルレート架橋による外固定を行った。

うち10頭は患肢に負重することができず、ピンを抜去する前に淘汰された。

残りの45頭ではピンは平均(偏差)71(14)日で抜去した。

4頭はピン抜去後すぐに患肢を再骨折し、他の6頭は体重負荷が充分でなかったので淘汰された。

35頭で良好な結果であった(64%)。

患肢あるいは対側肢、またはその両方に軽度の変形がしばしば認められた。

脛骨骨折した牛全体での生存率は45%であった。

                          -

調査対象となったのは1日齢から3.5歳齢まで(平均7.3ヶ月齢)の牛であった。

22頭はすぐに処分されている。

それらの牛の平均(偏差)年齢は、13.1(4.7)ヶ月齢であった。

保存的に治療された18頭の平均年齢は、3.5(2.6)ヶ月齢であった。

貫通ピンとメチルメタアクリルレート架橋で治療された55頭の平均年齢は6.5(2.1)ヶ月齢であった。

                          -

考察にはこう書かれている。

「脛骨骨折の保存的治療は通常、満足のいく治癒とはならない。

フルリムキャストは膝関節を不動化できず、脛骨骨折を適切に安定させない。」

「改良したトマススプリントあるいはトマススプリントとキャストの併用によりよりよい治癒が得られる。」

新生子牛以外では、脛骨骨折をキャストで治療するのは非常に難しい。そして、トマススプリントを併用しても、全例で変形癒合に終わっている。

                          -

そして、この病院ではスタインマンピンとメチルメタアクリルレート架橋による外固定を55頭でやっているのだが、成功したのは35頭だけ。

考察でも、この外固定はひどい粉砕骨折や近位骨端あるいは近位骨幹端の骨折には使えず、骨折を正確に整復できず、贅骨形成が強いことを欠点として挙げている。

                          -

だから、私はプレート固定を選択肢として用意しておくべきだと思う。

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へっへっへ、ここで張り番してたら、オラを置いていけないべ」

狂犬病の予防注射だけど、行くの?

「・・・・・・・・・」

 

 

 


馬の子宮捻転のその後

2016-04-19 | 学問

開腹して子宮捻転を整復した繁殖雌馬は、その後も不調が続いたが、徐々に回復し、

予定日よりかなり遅れて正常分娩したそうだ。

子宮捻転を診断して、母馬も仔馬も助かることはこの地域ではマレだ。

私の所へ送られてくるときにはたいてい子宮捻転の末期症状で、胎仔は死んでいることが多く、ときには子宮も壊死している。

                        -

今年のEquine Veterinary Journal にオランダでの馬の子宮捻転の回顧的調査成績が載っている。

Mare and foal survival and subsequent fertility of mares treated for uterine torsion

子宮捻転で治療を受けた母馬と仔馬の生存とその後の繁殖成績

Equine Vet J. 48 (2016) 172-175

要約

研究実施の理由: 

子宮捻転の整復後の母馬と仔馬の生存は、今までの調査では、それぞれ60-84%、30-54%と報告されている。

さらに立位での膁部切開による整復により仔馬の生存性は良好だが、母馬についてはそうではないとされてきた。

目的

立位膁部切開の成功率を他の方法(全身麻酔下での正中切開、あるいは膁部切開、径膣整復)と比較すること。

研究のデザイン

臨床記録の回顧的調査。

方法

手技、妊娠日齢、捻転の程度、生存とその後の繁殖成績を、1987-2007年にオランダの3つの馬病院で子宮捻転で治療を受けた189頭について分析した。

結果

診断された平均妊娠日齢は283日(範囲153-369日)で、子宮捻転の大半(77.5%)は妊娠320日以前に起きていた。

子宮捻転の整復後、90.5%の母馬と、82.3%の仔馬が生存して退院し、分娩した。入院期間は3-39日間であった。

多変量解析では、整復方法と妊娠日齢が子宮捻転後の仔馬と母馬の生存に影響していることが示唆された。

立位膁部切開後の仔馬の生存は88.7%で、他の方法では35.0%であった(P=0.001)。

妊娠320日未満で子宮捻転が起こると、生存した子馬は90.6%であり、320日以上では56.1%であった(P=0.007)。

母馬の生存では、妊娠日齢と整復方法の間に相互関係があり(P=0.02)、妊娠320日未満では、立位膁部切開後はより高く(97.1%)、他の方法では低かった(50.0%)(P<0.01)。

妊娠320日以降に起こったときには、母馬の生存は手技による差はなかった(76.0 vs 68.8%; P=0.6)。

再交配された123頭のうち、93.5%は妊娠した; 繁殖成績は立位膁部切開で治療された母馬(93.9%)と、他の手技(87.5%; P=0.9)で差が無かった。

結論

妊娠320日を越えている場合を除いて、併発症(例えば、消化管病変の存在)がない馬の子宮捻転の整復では、立位膁部切開が選択すべき外科手技である。

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ずいぶん、立位膁部切開にこだわった調査になっている。

それというのも、169頭は立位膁部切開で整復され、分娩中だった10頭は経膣で整復され、全身麻酔下での正中切開での整復は5頭、全身麻酔下での膁部切開での整復が2頭、

1頭は保存的に治療され(子宮捻転は自然に整復された)、残る2頭は整復されずに安楽殺された。

これだけ立位膁部切開ばかりやっていたのでは、手技による結果を比較するには無理があると私は思う。

だいたいサラブレッドでは立位膁部切開による子宮捻転整復なんてできそうにないし;笑

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この報告にある馬の種類は、

Dutch warmblood (111, 59.7%), Friesian (27, 14.5%), Arabian (12), Welsh pony (7), draught horse (6), Hflinger (3), Fjord horse (3), 残り17頭はその他13種の馬だった、となっている。

サラブレッドは1頭もいないか、あるいは含まれていても2頭以下だったようだ。

こんなに様々な種類の馬が繁殖されている点でオランダの馬産を羨ましくも思う。

3つの馬病院での症例の寄せ集めとは言え、20年間に189頭も子宮捻転を診療していることは感心する。

どうも、ここに示された種類の馬は子宮捻転を起こすことが多いのではないだろうか。

日高で毎年4500頭以上が生産されてきて、この調査成績ほど多くの率で子宮捻転を起こしているとは思えない。

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この調査成績では、妊娠320日未満での発生が77.5%、320日以降が22.9%ということになっている。

妊娠中の馬の疝痛の診断では、子宮捻転を頭において、必ず直腸検査して子宮広間膜の捻れや緊張をチェックすべきだ。

子宮捻転による疝痛はひどく痛いわけではない。

子宮が変色したり、ひどく水腫を起こしたり、胎盤が機能しなくなったり、胎仔が死んでしまったりする前に運んでくれれば、母仔ともに助けられる可能性が大いにある。

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モクレンの苗木を植えた。

 

 

 


非競走馬の第一指骨・趾骨不完全骨折

2016-01-22 | 学問

以前に障害飛越競技馬の第一指骨骨折の症例について書いたことがある。

乗馬は、競走馬に比べて骨折事故は少ないが、第一指骨・趾骨は折れてしまうことがある。

障害飛越からの着地や、狭い馬場での回転運動が要因になるのだろう。

そして、X線撮影では見つけにくい不完全骨折が前駆病変としてあり、無理をしてとひどい骨折へと悪化しているというパターンもありうる。

Veterinary Surgery 44 (2015) 809-815

Radiographic and Computed Tomographic Configuration of Incomplete Proximal Fractures of the Proximal Phalanx in Horses Not Used for Racing

競走に使われない馬の基節骨の近位部不完全骨折のx線画像とCT上の形態

この文献の、知見のひとつ。

第一指骨(前肢基節骨)の近位部の不完全骨折は、第一趾骨(後肢基節骨)のそれより明らかに背側によっていた(上図)。

後肢第一趾骨の近位不完全骨折の横断面CT像。

骨折線は底側皮質を貫いており、骨の底側に軽度の骨膜反応がある。

染色体様に2重になった骨折パターンは、軟骨下骨の軽度の硬化に囲まれた近くの骨に囲まれている。

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海外ではCTの臨床応用が進んでいて、x線撮影では診断しにくい不完全骨折が診断できるようになっている。

正中の縦骨折でもどの位置にスクリューを入れるべきかの根拠になる。

第一指骨・趾骨はいろいろな折れ方・割れ方をするので、骨折「線」を正しく把握しておきたい。

CTがなくても、CTにより蓄積されたデータを知っておくことは、スクリューの位置の指針になる。

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那須での2月8日は第一指骨の縦骨折の実習もしてもらおうと準備している。

日本の乗馬でも指骨・趾骨骨折が診断され、手術して治るようになるために、乗馬の獣医さんにも参加してもらいたい。

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年末に骨折して、年が明けてゆっくりしてから帰されてきたらしい競走馬。

中足骨外顆の骨折だったが、スクリュー2本で締めたら骨折線は圧迫できた。

中手骨外顆骨折をスクリュー1or2本で内固定するなら、静脈麻酔で、あるいは立位でできるんじゃないかとも思うが、

それは全身麻酔下での充分な経験があっての話かもしれない。

そして、キャストを巻いて、安全に立たさなければならない。

思えば遠くまで来てしまったのかもしれない・・・・・・と遠い目;笑

 

 


腕節外反での骨膜剥離は効果がない

2016-01-18 | 学問

子馬の肢軸異常、いわゆる「足曲がり」ではしばしば手術が行われる。

スクリューを入れる手術も行われるが、かつて最もよく行われていたのは骨膜剥離手術だった(現在もか?)。

スクリューやスクリュー&ワイヤー、あるいはプレートで、肢の長い側の成長板の発育を阻害してやると、成長期の子馬では肢は急激にまっすぐになる。

成長が遅れている側だけが伸びるからだ。

骨膜剥離手術は、成長が遅れている側の成長板近くの骨膜を剥がしてやれば成長が促進される、という考えで行われる。

骨膜は骨を取り巻く膜で、骨に血液や栄養を供給し、その下で骨は太くなっていくが、骨を包んでいることで骨の成長を制限しているという考えもある。

たしかに骨膜を切って剥がすと、骨膜は縮んで骨がむき出しになる。

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私たちは10年以上前に、子馬の肢軸異常の矯正のための骨膜剥離手術はやめた。

ほとんど効果がないか、効果があっても期待できるほどではないと気づいたからだ。

両前腕節での外反(いわゆるX脚)があって、程度がひどい方の腕節にスクリューを入れる手術をし、程度がましな方に骨膜剥離手術をすると、スクリューを入れた肢はよくなるのに、骨膜剥離で済ました方の肢がなかなか改善されないという経験を何度かして、そう考えるようになった。

では、どうして骨膜剥離手術がそんなに普及したか?

新生子馬の肢軸はまっすぐでないことが多いのだが、1-2ヶ月のうちに何もしなくても自然にまっすぐに近づくようになるからだ。

そこへ手を加えると、手を加えたことの効果があったように見えてしまう。

もちろん、運動制限とか、蹄での処置など、手術に付随的に行われる管理も肢が自然に(「手術以外の方法で」という意味)まっすぐに近づくことに役に立つのだろう。

                                -

骨膜剥離が、実際には効果がないか、あるいは効果があっても乏しいのではないか、という仮説を証明しようとした実験的研究もいくつかは報告されている。

しかし、実際の肢軸異常の子馬で、それも新生子期に実験しなければならないので、実施するのはとても難しい。

が、臨床例で両前腕節の子馬の片側にだけ骨膜剥離手術をしたが、効果はなかった。という報告がVeterinary Surgery誌に載っている。

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Improvement in Bilateral Carpal Valgus Deviation in 9 Foals Afrer Unilateral Distolateral Radial Periosteal Transection and Elevation

9頭の子馬の両腕節外反変形での片側遠位橈骨骨膜切開と挙上後の改善

Veterinary Surgery 44 (2015) 547-550

目的: 自然発生した子馬の腕節外反変形での骨膜切開と挙上の効果を評価すること。

研究のデザイン: 計画的臨床研究。

動物: 両腕節外反子馬(n=9)。

方法: 両腕節外反の子馬の片側肢に、尺骨遠位切断を含めた橈骨遠位外側の骨膜切開と挙上を行った。

子馬は皮膚切開が癒合するまで馬房内管理し、その後、小さいパドックあるいは丸馬場での自由運動させた。

背-掌方向の腕節X線撮影を、14日間隔で腕節外反角度が5°未満になるまで続けた。

結果: 全ての肢は腕節外反角度が減少し、手術した肢と対照肢で腕節外反角度の矯正、あるいは矯正されていく速度に有意な差はなかった。

結論: 自然発生した両腕節外反の子馬9頭で、19-43日齢で行われた片側橈骨遠位外側骨膜剥離は、腕節の角度に効果がなかった。

左、4日齢。手術は左膝に15日齢で行った。

右、8週齢。

                                  -

Floridaの有名馬病院Peterson and Smith、Ohio州立大、Purdue大学からの報告。ということになっているが、

全例はDonnie Sloneが診たことが書かれているので、Peterson and SimthでDonnie Slone先生が行った調査・研究なのだろう。

オーナーには説明して、両腕節外反が軽度から重度の子馬を対象にした、とある。

                                  -

2000年にAAEPで子馬の肢軸異常がセッションのテーマに取り上げられた。

Donnie Sloneは演者の一人だった。

その頃、世界中の馬病院で子馬の肢軸矯正に対して最もよく行われていたのは骨膜剥離手術だった。

しかし、Donnie Sloneは、

「Peterson and Smithでは10年以上前に骨膜剥離手術はやめた。オーナーの希望で行うことはあるが、私たちが勧めることはない。」

と述べていた。

その後、いくつかの大学から、人為的に作り出した腕節外反で実験した報告が出たが、骨膜剥離の肢軸矯正での効果を認めた報告はみたことがない。

                                 -

2015年に世界の馬生産地の馬病院で、肢軸矯正手術が新生子馬のどれくらいに行われ、どのような方法が多いのか知らない。

日本のサラブレッド生産地でも、2016年産まれの子馬が産まれ始めている。

私たちは、子馬の肢に手術しなければならないか、慎重に見極める。

そして手術しなければ成長後に問題が残ると判断したら、スクリューを入れて矯正する方法を勧める。

骨膜剥離を勧めるのは、骨幹部そのものが反っていて、陥凹している側の骨膜を剥がすことで骨が盛り上がって外見が良くなることを期待するときだけだ。

                                ///////////

暖冬だと言いながらも、冷え込んできた。

この半月ほどが厳寒期だろう。

それでも大喜びで遊ぶヤツ。

 

 


橈骨骨折馬54頭の生存、退院に関わる危険因子 文献 2  考察

2016-01-16 | 学問

つづき

まる2ページにわたって、この20年あまりの54頭の橈骨骨折馬の治療と予後について考察されている。

                           -

約25%の橈骨骨折馬は来院時に安楽殺された。骨折の状態が悪かったので。

成馬は内固定しても予後は悪かった。一方、1歳にならない馬では80%が生存して退院した。

術創感染は予後を悪化させる大きな要因だった。

橈骨では頭側・頭外側に張力が働き、尾側・内側に圧迫が働いている。繰り返される力がインプラントの破損につながる。

完全な整復ができなかったり、尾側皮質に複数の欠損があったら安楽殺すべきだ。

時代とともに、DCPからLC-DCPへ、そしてDCSが使われるようになり、現在ではLCPとLHSが用いられることが多い。

LCP固定は従来の方法より頑丈で安定している。

不完全骨折を保存的に治療した場合の予後は良い

                            -

成馬の橈骨骨折の治療は厳しい。

大きなエネルギーに耐えたあとに骨折するので、爆発したかのようであり、粉砕していることが多い。

それゆえに、開放骨折であることも多く、手術時間も長くなり、感染しやすい。

しかし、体重があるがゆえに内固定の強度が不足するという点では、5.5のLCPが使えるようになっているので可能性は広がっているのかもしれない。

これから先、成馬の橈骨骨折の治癒率が向上するのをみたいものだ。

                           -

このレポートでは、1歳未満の子馬の橈骨骨折は80%が生存したことになっているが、月齢に分けては検討していない。

例数が足らないからだろう。

これも、現在のLCPを用いた方法での症例が積み重ねられた報告を待ちたい。

サラブレッドの子馬は50kgで生まれて、1ヶ月で100kgになり、1歳になることには300kgになる。

月齢により、ブロードLCP 1枚でいけるのか、ナローLCP2枚だとどうなのか、ブロードLCP 2枚が必要なのは体重がどれくらいになってからなのか、検討してもらいたい。

                           -

私は今年、橈骨骨折した子馬を1頭助けることができた。

そのことの意味を考えながら、読んだ症例集の調査報告だった。

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  マールのドア----大自然で暮らしたぼくと犬
テッド・ケラソテ
河出書房新社

 

とても良い本だった。

アウトドアライターに、カヌーツアーの途中で拾われた犬。

しかし、書かれているのはカヌー行やスキーやハンティングの様子ではなくて、犬との生活についてのとても深い考察。

筆者は、とても多くの関連書を読んでいて、それらの資料も文献として巻末に載せている。

犬を家に閉じ込めないこと、しかし外でつないで飼わないこと。

マールは家に付けてもらったドアで自由に出入りしながら、自然豊かな小さな集落で、大いに犬生を楽しんで生きた。

飼い主が自由業で、小さな集落で、広々した環境だからできる、と言ってしまうのはたやすいが、

実はシャモニのような、観光都市でも犬が自由に歩き回っている所もある。

ハラスのいた日々」に出てくる日本のスキー場の村が犬を処分してしまったのと雲泥の差だ。

                            -

そして、14年の筆者と犬の暮らし。

お互い年をとり、仲間との別れもある。

最後は、マールは老いと病に倒れる。

筆者は安楽殺を拒み、最後まで看病し介護する。

それは「飼い犬」に対する態度というより、長くともに暮らした連れ合い、あるいは相棒へのふるまいだったように思う。

筆者もまたマールのおかげで豊かな14年を過ごせたからできることなのだろう。

                            -

犬のしつけ本より、犬のことを理解し、学べる本だと思う。