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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

日本の学会とAAEP

2006-09-09 | 学会

 北海道産業動物獣医学会のことを書いていてAAEP American Association of Equine Practitioners のことを考えた。Aaep_1

「アメリカ馬臨床獣医師会」あたりがふさわしい翻訳名だろう。

牛の臨床家には縁のない会だろうし、大学の先生達も、そして研究者の先生達もほとんどの方がご存知ないだろうから紹介しておきたい。

その年次大会は毎年12月にUSA各地で行われるが、昨年のシアトル大会もその年の獣医師の集まりとして世界最大だったそうだ。

 学会の抄録集は、論文集としても使えるようなもので、実際に引用文献としても使われることが多い。

数時間にわたる受賞記念講演がある。これは、長年業績を上げてきた大先生の集大成としての講演。

テーマを決めた数人の先生の講演もある。講演者同士のディスカッション、講演者への質問の時間もとられている。

一般公募された演題もテーマによって分けられて行われる。8ヶ月以上前に応募しなければならず、しかも発表できる数の4倍近い申し込みがあるので選抜された演題しか発表できない。

「How to 」と呼ばれるセッションもあり、どうやってあれをやるか。という実際的なテクニックを紹介する発表もある。

ウェットラボと呼ばれる馬を使った実習もあり、これはかなり高額な参加費が必要だが、すぐいっぱいになってしまう。

ドライラボと呼ばれる馬を使わない実習もある。

特筆すべきは薬や器具機材の展示だ。

トラック、内視鏡、本、手術台、骨標本、薬、その他、ありとあらゆるものが展示されている。

販売されているものも多い。見ているだけで厭きない。

 AAEPの年会費は高い($2500)。年次大会は年次大会で参加費を取る。会長は大物獣医師が選出されているが、実際には専任スタッフで運営されていて、民間企業に近いのだろうと思う。

できる限りのサービスを提供して、できるだけの金額を集める。そして、世界中で会員を増やし、大会の参加者も増やそうとしている。

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 もちろん、社会的な背景からして違う。

あちらの獣医師はほとんどが開業獣医師で、費用は自分もちでやってくる。そして、高額な年会費、大会参加費、研修費を払ってもあれだけの人が集まって来る。

勉強していなければ開業獣医師としてやっていけないし、また勉強に経費をかけても元がとれるのだろう。

雇われている獣医師も、休みを取って費用を負担してきても、それがキャリアアップになるのだ。

年次大会に参加すると、「この人は何年の年次大会に参加しました」という証明書をくれる。

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 学会。という堅苦しい固定観念から離れて、参加者が何を求めているか。参加者に何を提供できるかを考えてみてはどうだろうか。

事務局が大学の研究室にあって、大学の先生がボランティアで運営しているようでは難しいだろうか?


北海道産業動物獣医学会

2006-09-08 | 学会

P9080017 北海道産業動物獣医学会二日目の朝、北海道大学横のビジネスホテルの開かない窓から。

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きのうは早朝、かなりの雨の中を、天皇陛下御行幸の警備に向かう何台ものパトカーとすれ違いながら札幌へ。

今年は産業動物は全演題が2会場に分かれての発表になった。それで、少しは時間的余裕ができたようだった。

休憩時間があったりして、良かった。

楽だったのは、聞いた演題が減ったせいかも知れない。まじめに聞いても、半分の演題しか聞けないことになるが、しようがないだろう。

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 自分に身近だったり、直接役立つ発表はそう多いものではない。しかし、いろいろな分野の発表を聞くのは勉強になる。

最近は、デジタル画像や動画を貼り付けたプレゼンテーションばかりで、見ていてもわかりやすいし、楽しい。

内容は、専門化し、高度で難しいものも多いが、頑張ってついていくしかない。ほとんどは北海道の大動物分野で実際に起きたことを解決しようとしている報告なのだから。

 この学会は北海道産業動物獣医「師」学会なのだと思っている。臨床獣医師であるわれわれが主人公なのだと考えている。

実験系を組んでの成績や、すぐには臨床応用できない結果は、どうぞ日本獣医学会で発表してください。

我田引水。だろうか?

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 発表会場以外でも、学会に集まった人たちと情報交換するのはたいへん貴重な機会だ。

数年に一度、この学会でしか会わない旧知の人たちもいる。

来てない人たちの消息も聞ける。

 まあ、だけど、日ごろ人と会う機会が少ない田舎者にはチョット疲れた。

 


AAEPシアトル2005

2006-03-25 | 学会

Photo_35 昨年12月AAEP(American Association of Eqine Practitioner)の年次大会でシアトルへ行って来た。

写真はシアトルの街中を観光させる水陸両用車。運転手はアヒルのまねをしたり(Duckツアーと呼ばれている)、いけてる音楽をかけたり、結構なエンターテイナーだった。

シアトルは氷河が削った複雑な地形の街で、海にも近く、湖にも面している。トムハンクスとメグライアンの映画「めぐり会えたら」Sleepless nights in Seatle でトムハンクスは湖の上の家に住んでいた。その湖にこの水陸両用車は入っていくのだ。

AAEPは2000年にテキサス、サンアントニオに行って以来だった。行ってみて思ったのは、やはりこの集まりこそが私がもっとも興味を惹かれ、もっとも学びたいことが披露されている場所だということだ。

関節鏡手術も開腹手術も日常化し、少しは追いつけたかと思っても、やはり彼らはまた私たちより進歩している。

印象に残った発表や、役に立つ発表は・・・・・あまりに多すぎて一度には紹介できそうにない。1/3くらいの発表はDVDを買うことができる。

http://verandatapes.com/category.cfm?Category=53&CFID=4791944&CFTOKEN=609533

Aaep AAEPは展示も楽しい。欲しい物や、使ってみたい物がいっぱいある。車、薬、機械、器具、本、videoにDVD、etc.

それらがあるからといって使いこなせるわけではないが、なければ話にならないものもある。

おまけに同じ物を日本で買うよりはるかに安い。

買ってきた物は・・・・・そのうち紹介します。