真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「美人教員 バイブとセクハラ」(1991『狂乱!!ハードバイブONANIE』の2010年旧作改題版/製作:不明/配給:新東宝映画/監督:新田栄/脚本:東山浩二/撮影:佐藤美都雄/照明:渡波洋行/音楽:マイク・ヨシズミ/助監督:高田宝重/撮影助手:古谷功/照明助手:名取貴一/出演:一の瀬まみ・川奈忍・早乙女宏美・高樹麗・石神一・坂入正三・久須美欽一)。何故か(今回?)新版ポスターでは、脚本が東山浩二ではなく世良じゅんに。効果を拾ひ損ねるが、監督助手のクレジットは初めから無かつた。
 久須美欽一と坂入正三、簡単にいふと悪代官と越後屋といつた風情の校長(久須美)と教頭(坂入)が牛耳る共学高校。こんちこれまた、校長は男子生徒・ケンジ(名前だけで登場せず)母親の未亡人(川奈)との昼下がりの情事と洒落込み外出する一方、出入りの設備業者・沖山(石神)と、教頭は高額受注に伴なふリベートの謀議を交す。ところがその密談を、沖山が納入したコピー機の不調を訴へようと校長室を訪れた、新任女教師の野川(一の瀬)に聞かれてしまふ。美人教員が何処まで聞いてゐたものかは不明なものの、校長と教頭は口を封じる為に、沖山に野川を攻略させ、痴態を収めた写真を撮影することを命ずる。早乙女宏美は、首尾よく事が運ぶ中、校長が教頭も連れ又候昼間から遊びに行く、こちらも女生徒(矢張り一切登場しない)の母親、しかもお約束ともいふべきM女。高樹麗は、リベート率を下げることに加へ、成功報酬として校長から沖山に宛がはれる女子大生・さより。
 一応勧善懲悪的なラストの、爆裂する取つてつけられた感まで含めて、女の裸以外に、ピンク映画に一体何が必要だといふのか、とでもいはんばかりに、最早逆の意味でのストイックささへ感じさせる一作。奇跡的に女優の粒が揃つてゐるので、純然たる裸のみの裸映画として躓くこともなく観てゐられることを思へば、ある意味、それでもまだマシな方の部類ともいへようか。さうはいつても、沖山が手料理を振舞ふと称して野川を部屋に誘つておきながら、いざ現れた女を、のうのうと寝巻きで出迎へてみせる無頓着は寧ろ感動的で、そもそも、一の瀬まみに差し向けられたハニーならぬジゴロ・トラップが石神一だなどといふのは、奇想天外のレベルだけでいへば無闇にデカい、フと冷静になつてみるならば凡そ通らぬ相談も通り越した冗談であらう。

 沖山が撮るのが動画でなければデジカメでもなく、リモート・スイッチで操作する襖越しの隣室に置かれた三脚フィルム・カメラである辺りに、時代が窺へる。例によつて、既に(少なくとも)一度新版公開された気配が窺へるのだが、確認出来なかつた。


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