真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「白衣 制服のうづき」(1997『白衣いんらん日記 濡れたまゝ二度、三度』の2010年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:女池充/脚本:小林政広/企画:福俵満/撮影:鈴木一博/照明:安部力/録音:小南鈴之介/編集:金子尚樹《J.S.E.》・三上えつ子/音楽:安田治・小豆沢達郎/助監督:坂本礼/監督助手:森本修一/撮影助手:松根広隆・澤井貴善/録音助手:五十嵐廣幸/照明助手:小林昌宏/照明応援:内山信夫・藤本淳/スチール:佐藤初太郎/タイミング:安斎公一/タイトル:道川昭/録音スタジオ:シネマンブレイン/現像:東映化学/光学:港リーレコセンター/応援:今岡信治・田尻裕司・榎本敏郎・小泉剛・島田剛・島田カブ・星川隆宣・吉田昌史/キャスティング協力:綿引近人/協力:石川二郎・大野泰生・岡村直子・鈴木佐和子・アロハカーレンタル・獅子プロダクション・フィルムクラフト・いなげ浜のみなさん・女池陽子・女池克弥/制作協力:岩田治樹・サトウトシキ・上野俊哉・朝倉大介・アウトキャストプロデュース・モンキータウンプロダクション/出演:吉岡まり子・寺十吾・本多菊雄・河名麻衣・槇原めぐみ・松原正隆・羅門ナカ・野上正義)。撮影助手に力尽きる。出演者中、今岡信治の役者名義である羅門ナカは本篇クレジットのみ。
 足の悪い看護婦、近藤アケミ(吉岡)が足を引き摺りながら一人暮らしのアパートにほてほて帰宅。まだ新米のアケミは勤務は日勤のみで、病院の食堂で安く食事も摂れたが、コンビニで簡単な惣菜を買ひ部屋で一人食べるのが、特に理由もないアケミの日課だつた。すると隣室から、住人のトシコ(河名)と不倫相手との、壁の薄さも憚らぬ情事の様子が洩れ聞こえて来る。女の嬌声を嫌悪するアケミは、足の不自由も押し屋外へと退避する。この時点では互ひに知らなかつたが、トシコお相手の男は、実はアケミが勤務する病院の医師・久保(本多)であつた。多摩川にかゝる二子橋(新旧の別までは不明)の上でアケミを、ガンマイクを自らの足下に向け人物の走行音を録音する若い男が追ひ抜いて行く。そのまゝ欄干から危なかしく身を乗り出し今度は河の流水音を録音しようとする男の姿に、アケミはキョトンとした視線を送る。翌日、久保の指示でぼちぼち麻酔が切れる急患患者の下に赴いたアケミは驚く、患者は昨晩のガンマイクを持つた若い男・川村邦夫(寺十)であつたのだ。痛がる川村の脚をさすつたアケミは自分は魔法使ひだとおどけてみせ、何となく心を開く。川村は映画の録音技師で、結局その後、橋から落ちたとのこと。機材はどうしたのかといふ疑問は劇中さて措いたまゝに、アケミはそれで死ななかつたのに二度驚く。
 槇原めぐみは、アケミの同僚でオッパイの大きなサトコ。松原正隆は、アケミ・サトコと久保がW海水浴デートと洒落込む際のもう一人の男。セダンの久保に対し、軽自動車に乗つてゐたりする対比が判り易い、久保の後輩か。変にラフな格好の羅門ナカは、派手に卓袱台を引つ繰り返すオーラスに登場する、今岡組のカントク。監督助手の森本修一が、ここでは助監督として登場。野上正義は、高校時代にアケミを犯さうとした多分実父。逃げる際に階段から落ち、折つた足を二週間我慢してゐたのが足を悪くしたのと、アケミが性を忌避する原因であつた。
 特に材料も持ち合はせぬゆゑ通り過ぎるが、女池充のデビュー作である。妙な情報量に概ね寄り切られたクレジットには、それらしき名前がズラズラッと並ぶ。最大限によくいへばロマンティックな、気恥づかしい窓辺の逢瀬が擦れ違つて以降が豪快かつ作為的に木端微塵で、いはゆる“衝撃のラスト”に関しても、驚きより先に、グダグダした困惑が先に立つ。ディテールであるがそもそも、ピンクで同録は基本的にしないだらう。無闇に拡げられた風呂敷は十全に片付けられるでもまるでなく、落とした木戸銭を盾に、作劇としては世辞にも首を縦に振れる筋合にはない。尤も、面白いのか否かといふと直截に詰まらないのだが、これで意外と、後の仕事ぶりと照らし合はせれば女の裸はキチンと見せてゐる。美形の河名麻衣に、アグレッシブな乳の大きさが堪らない槇原めぐみ。終始ボソボソと一歩間違へば陰鬱なほどに地味な造形が、狂ほしく琴線に触れるアケミ演ずる吉岡まり子の、たをやかな母性を感じさせる腰から尻にかけてのラインは、これがまた超絶に素晴らしい。濡れ場は何れも余計な意匠が施されることもなく実直に捉えへられてあり、裸の劇映画としてはまるで買へないが、女の裸が主眼の裸映画としては、若気が至つた展開に足を引かれさへしなければ、案外戦へなくもない一作である。

 音楽の富に素直に従つた作劇が志向してあれば、商業映画的な雌雄はまた違つたものとなつてゐたやうな気もするエモーショナルなオープニング・テーマが、音楽担当の二者のうち、何れの手によるものかも不明。それと、別に構はないが看板を幾らか偽り、劇中白衣プレイが行はれる訳では別にない。


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