真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「下半身警備 あの名器を守れ」(2004『桃色ガードマン カラダ張ります!』の2017年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/脚本・監督:深町章/企画:福俵満/撮影:長谷川卓也/編集:酒井正次/選曲:梅沢身知子/助監督:佐藤吏/録音:シネキャビン/スチール:津田一郎/現像:東映ラボ・テック/出演:里見瑤子・鏡野有栖・酒井あずさ・川瀬陽太・かわさきひろゆき・牧村耕次)。滅多にない位置に選曲が飛び込んで来るクレジットではある。本当はスチールがもう一人元永斉
 ファースト・カットは朗らかに意表を突くかわさきひろゆき、百歩譲つて舞台ならばまだしも、映画に出るなら歯を治せ。警備会社「国際警備保障」付け髭の部長(かわさき)が、左右田万太郎(川瀬)に表彰状風に正規雇用の辞令。そんな児戯じみた会社と脊髄で折り返しかけたが、案外世の中広いのかもな。万太郎の初任地は八王子、古い庄屋屋敷、の蔵に保管されてある時価二十億のダイヤの警備。にしては、蔵の画は御馴染塩山温泉(山梨県)水上荘。八王子方面に走る、車載カメラでアリバイを作つてタイトル・イン。とか何とか颯爽と万太郎が向かふ庄屋屋敷は確かに見慣れない日本家屋であるものの、結局内部は矢張り水上荘。先制でロングの外景を効果的に叩き込むことによつて、上手く騙くらかしてゐる。
 配役残り、エーッ!まだ設定程度でこれといつて物語も起動してゐないのに。兎も角牧村耕次は、最小限の造作でそれらしく見せる警備員控室にて、万太郎を待ち受ける古参警備員・白川源次。白川が万太郎を連れ、庄屋屋敷の屋根から双眼鏡で遠目に覗く青姦カップルが、女―といふか尻―は里見瑤子に見えつつ、菊島稔章ばりの巨漢を誇る男は不明。改めて里見瑤子は、件のダイヤを狙つて現れたのか否かが実は不明な、女盗賊その名もベルサイユの黒バラ。不審な気配に万太郎が「もしやベルサイユの黒バラ姉ちやん?」といきなり身構へる、プリミティブに飛躍の高いシークエンスに腰骨を爆砕されてゐると、事前に万太郎は下手糞な絵の手配書―当然似ても似つかない―を見せられてゐた、知らねえよ。酒井あずさは、白川が大胆にも控室に連れ込む嫁・マチ子、ところで庄屋屋敷の家人は完スルーされる。鏡野有栖は、帰京した万太郎が飛び降りようとしてゐるのを制止する、スーサイダー・順子。屋上で―どさくさ紛れのオッパイ込みで―揉み合ふうちに、カット跨ぐと何処か知らん屋内に大移動、即絡みの火蓋が切られる豪快か乱暴な繋ぎが清々しい。
 未見といふ訳でもないのに、何故か別館が通り過ぎてゐたのを二度目の新版公開で再戦した、深町章2004年最終第六作。マチ子が憚る風情も窺はせない嬌声にアテられ、ベル黒は蔵の表で自慰をオッ始める。そこに到着した万太郎が、喰はれる形で開戦。完遂を待たずにベル黒に闖入―劇中用語ママ―し、ダイヤ盗難を阻止した表彰状をツケヒゲ部長(仮名)が万太郎に授与。ザクッとといふかガサッととでもいふか、兎も角、あるいは兎に角終止を分断して東京篇に突入。万太郎と一発カマしたが順子は生―か性―の意欲を取り戻し、ツケヒゲ部長が今度は自殺を阻止した功労状を万太郎に授与、八王子篇に再突入。木に竹を、接ぐ必要なんてあんのかオラといばんばかりの、力任せに東京と八王子を往復する展開が猛威を振るふ。帰還した控室でのベル黒との二回戦事後、激しく消耗する万太郎の下に順子から、また死にたくなつた―からシテ欲しい―旨の電話がかゝつて来るオチは一応成立してゐなくもないにせよ、牧村耕次が粗雑におどけてみせるオーラスは蛇に描いた足。そもそも、ベル黒に関して劇伴にツィゴイネルワイゼンを鳴らし、表層的な革命思想を振り回させるに至つては完ッ全に意味不明。邪推するに、要は深町章が本当に自分で脚本を書くと斯くも支離滅裂になる、といふだけの話に過ぎないのかも知れない。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 初恋不倫 乳... ONANIE 24時... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。