真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 出鱈目な日々に追はれながら。とか何とかうかうかしてゐると、本気で年すら跨いでしまひかねない。もう師走だぞ。正直クズはクズなりによく戦つた、未だ一月残つてるけど。あちらこちらを零した心残りに後ろ髪を引かれつつ、仕方がないのでその限りに於いては何処までも暫定的な08年ピンク映画ベスト・テンなんぞ、戯れに捻つてみたりなんかする。別に全部観た上でないと、選んぢやいけない訳でもないか。

 08年(昭和換算:79-4年)ピンク映画ベスト・テン

 第一位「超いんらん やればやるほどいい気持ち」(新東宝/監督:池島ゆたか)
 年間を通しての活躍といふ面では、依然俄然絶好調の松岡邦彦や堅調を維持した渡邊元嗣ならば互角以上の勝負になりさうな気もするが、一作単位としては、今作を矢張り推したい。映画監督の生涯を描いた映画としては、歴史に残り得る傑作とすら血迷へばいへるのではないか。お花畑にロマンティック過ぎる、より直截にいふならば自己陶酔的と見る向きもあるやも知れないが、美しくないものなんて、今既にあるこのありのままの世界だけで十分だ。と、常々心に感じる歪んだ立場からは、このくらゐ臆すること欠片もなくギアをトップのその先にまで捻じ込んでみせるハートは、よしんばそれが蛮勇であつたとて、時に作家には必要ではなからうかと強く賞賛するところである。映画といふエモーションに対する玉砕上等の一大正面戦は、実に天晴ではないか。
 第二位「人妻のじかん 夫以外と寝る時」(Xces/監督:松岡邦彦)
 松岡邦彦四作何れも外れ無し。どの一作を選ぶか非常に迷つたが、終盤の怒涛の突進力に、最も松岡邦彦を感じた。
 第三位「女復縁屋 美脚濡ればさみ」(オーピー/監督:加藤義一)
 加藤義一の本領発揮ともいふべき、とても綺麗な綺麗な娯楽映画。主演女優が心の琴線に触れた点も勿論大きい。
 第四位「桃尻パラダイス いんらん夢昇天」(オーピー/監督:渡邊元嗣)
 太過ぎる穴のことはひとまづ兎も角、大人のSF恋愛映画は考証面にも充実を見せ、深く強い感動を残した。
 第五位「クリーニング恥娘。 いやらしい染み」(Xces/監督:松岡邦彦)
 こちらは松岡邦彦の暗黒面がポップに弾ける痛快作。松岡邦彦も今西守―この人要は、黒川幸則の改名か?―も、手加減といふ言葉を知らない。
 第六位「喪服の女 熟れ肌のめまひ」(オーピー/監督:渡邊元嗣)
 江端英久が実は初めから真実に辿り着いてゐたことを明らかにする場面に於いての、映画的強度の一点突破。美波輝海もさりげなく復活。
 第七位「おひとりさま 三十路OLの性」(Xces/監督・脚本:工藤雅典)
 飯島大介とサーモン鮭山が、側面からソリッドな都会劇の完成を支へる。
 第八位「不純な制服 悶えた太もも」(オーピー/監督:竹洞哲也)
 倖田李梨の殺し屋と、吉岡睦雄と世志男の生け捕り屋とのカットが震へる程に素晴らしい。
 第九位「痴漢の手さばき スケベ美女の喘ぎ顔」(オーピー/監督:関根和美)
 プリミティブな特撮を駆使した関根和美が唯一作気を吐く。
 第十位「濡れ続けた女 吸ひつく下半身」(新東宝/監督:深町章)
 続篇が放棄されたことが重ね重ね残念なSF巨篇。

 順不同の次点に、穴は最も小さい「ふたりの妹 むしやぶり発情白書」(オーピー/監督:渡邊元嗣)・頑丈なエロ映画「変態シンドローム わいせつ白昼夢」(オーピー/監督:浜野佐知)・途中までは好調に走つてゐた「獣になつた人妻」(新東宝/監督・共同脚本:佐藤吏)・「絶倫老年 舐めねばる舌」(オーピー/脚本・監督:山邦紀)等々。

 未見作の主だつたところとしては、公開順に
 「バツイチ熟女の性欲 ~三十路は後ろ好き~」(オーピー/監督:渡邊元嗣)
 「半熟売春 糸ひく愛汁」(オーピー/監督:池島ゆたか)
 「レズビアン独身寮 密室あり」(Xces/監督:新田栄)
 「養老ホームの生態 肉欲ヘルパー」(Xces/監督:下元哲)
 「浮気相姦図 のけぞり逆愛撫」(オーピー/監督:渡邊元嗣)等々。

 個別部門としては兎にも角にも、御祝儀といふのも何だが、畳んだミニシアター―公式には休館状態―から改装オープンした天神シネマに特別賞を。眠れる35㎜主砲が再び火を噴く日が来たならば、少しは流れも変るだらう。
 男優賞に牧村耕次、女優賞に目出度く本格復帰を果たした酒井あずさ。この人の、時間の流れ方は最早おかしい。助演賞は吉岡睦雄・世志男そして倖田李梨の三人組と、飯島大介。新人賞に浅井舞香をとも思つたが、デビューは2007年か。

 幸か不幸か、突出して凶悪な作品の見当たらなかつたワーストは

 第一位「人妻がうづく夜に ~身悶え淫水~」(オーピー/監督・共同脚本:荒木太郎)
 沖縄で映画を撮つて来ました、おしまひ。
 第二位「性犯罪捜査 暴姦の魔手」か、「兄嫁の谷間 敏感色つぽい」(共にオーピー/監督・脚本:関根和美)
 どつちでもいい、そんな気分になれるルーズな二本。
 第三位「如何にも不倫、されど不倫」(Xces/監督・脚本:工藤雅典)
 自堕落な一作。
 第四位「や・り・ま・ん」(国映・新東宝/監督:坂本礼)
 狙つた訳ではないが、今年も坂本礼がこの位置に。真田ゆかりの扱ひ、といふか放置が無体。
 第五位「女囚アヤカ いたぶり牝調教」(オーピー/監督:友松直之)
 亜紗美の、孤立無援も通り越した四面楚歌。別に亜紗美が悪い訳ではないが。



 裏一位は今作を措いて他に無し、「愛人熟女 肉隷従縄責め」(オーピー/監督:清水大敬)
 何故にこの期に清水大敬なのか。
 裏二位は「喪服の未亡人 ほしいの…」(国映・新東宝/監督:渡辺護)
 今作も矢張り、頓珍漢映画にカテゴライズしてしまつて別に差し支へないやうな気がする。


コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
つまんねー (つぐち)
2009-12-13 14:17:29
今頃遅すぎるし、あなたの文章読んで、とても疲れてしまうので、とっとと辞めてほしい!
 
 
 
>つまんねー (ドロップアウト@管理人)
2009-12-13 16:11:53
>今頃遅すぎる

 だつてこのラグでしか、小屋に来ないんだもん(´・ω・`)

>とっとと辞めてほしい!

 とりあへず千本を目安に目指してゐるので悪しからず(´・ω・`)
 
 
 
千本って(笑) (つぐち)
2009-12-13 19:09:35
死ぬまで一生見るつもりなんですね(笑)
とうてい無理でしょう(笑)
せいぜい自己満足で終われば(笑)
あんたの文章は読みづらくてマジつまんねー(笑)
 
 
 
>千本って(笑) (ドロップアウト@管理人)
2009-12-13 21:11:36
 いやそれが、現在のペースを維持出来ればといふ前提で、
 二年後には何とかなるかも知れないのね。

 とまれ憎まれ口でも、わざわざレスを返しにお越し頂いて恐縮です。
 
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