真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「人妻女校医 保健室の不倫」(2004/製作:シネマアーク/提供:Xces Film/監督:下元哲/脚本:石川欣/企画:稲山悌二・奥田幸一/撮影:下元哲/照明:代田橋男/編集:酒井正次/助監督:高田宝重/撮影助手:海津真也/撮影応援:小山田勝治/撮影協力:梶野考/出演:出雲ちひろ・酒井あずさ・佐々木基子・しのざきさとみ・龍眞一・日比野達郎)。
 ヒロインの自己紹介で開巻、人妻の友莉子(出雲)は仕事も持つ自称“職業主婦”、それは主婦とはいはんぢやろ。夫を煩はせることなく、職場の悩みは自力で解決する主義の友莉子の稼業は何かと問ふならば、保健室の先生で御座いといふ次第のタイトル・イン、ここは正方向に洒落てゐる。鼻血癖のある金髪メッシュの男子高校生・ひろし(龍)の手当てを友莉子が済ませた保健室に、後述する由紀共々担当科目だなどと瑣末な情報は語られない鈴木先生(日比野)が現れ、因縁の仔細は軽やかにスッ飛ばし友莉子と関係を持つ。一段落、学校オーナーの娘でもある三年B組―因みにひろしはC組の劣等生―の大原ひとみ(酒井)が体調不良を訴へ休む保健室に、今度は由紀先生(佐々木)が佐々木基子一流のほくそ笑みを浮かべながら現れ、しかも同性の生徒と淫行する。掃除婦の順子(しのざき)に外様同士の風情を匂はせ接近した友莉子は、例によつて保健室で正体不明の瓶に移した酒盛り。中身は一体何なのか一口飲むや忽ち体の火照つた順子を、華麗に篭絡する。保健室保健室そして保健室、要はヤリ部屋だ。
 似た体験でいふと二作前の「高校教師 ‐引き裂かれた下着‐」(2003)の時と同様、小川隆史が若気を至らせ尽くした「社宅妻 ねつとり不倫漬け」(2009/主演:里見瑤子アテレコの小池絵美子)の、呑気な一点買ひのつもりで―プロジェク太上映の―地元駅前ロマンの敷居を跨いだところ、コンマビジョンより2012年にリリースされたDVD題「保健室の美魔女 放課後調教クラブ」の形で飛び込んで来られて、それ緊急出撃と相成つた下元哲2004年第一作。ど頭に、新東宝のカンパニー・ロゴが入る怪現象も繰り返されつつ、何はともあれ、小屋で戦へるのはいいことだ。映画本体に話を戻すと、グルッと一周されたのかm@stervision大哥は褒めておいでだが、僅かな友莉子のシャワーと、確かに下元哲にとつて定番のシークエンスではあれ相変らず唐突極まりなく放り込まれる、由紀の排泄シーン以外には、尺は微動だにしない保健室にてのひたすらな濡れ場濡れ場また濡れ場で埋め尽くされる。さういふ逆の意味で鮮やかな始終を、開巻を除けば更に束の間の、諸々の会話なりモノローグを通し最低限の内側を抉り投げた外堀―の種程度―を心許ない命綱に、無理矢理権謀術数に捻じ込んでみせた豪快な力技が炸裂するラストには、よくもまあ斯様な代物を35mmフィルムで撮つてみせたものだと、別の意味でならば感心した。尤も、一手目で既に大概なハード・ランディングに過ぎないゆゑ、無茶が文字通りの二連発で火を噴くオーラスの一寸先は闇は流石に蛇足かと思へ、かけたものの。出雲ちひろの悩ましく絞り込まれたオッパイと縄の映える腰の細さとには、他愛もない野暮は呑み込み我ながら不思議なほど素直に満足した。超強力な女優部と比べるまでもなく貧弱な男優部にさへ目を瞑れば、確かに女の裸しかない以上当然のことともいへ、誠清々しき裸映画である。いつそのこと、日比野達郎と馬の骨ぶりを爆裂させる龍眞一も削つてしまつて、百合の花のみを執拗に咲かせ続けるのも更に振り切れた一興だつたのかも。何処から見ても出雲ちひろよりも―大分―年上の酒井あずさが、堂々と女学生面して登場する箆棒なチャーミングに関しては寧ろいはゆるツッコんだら負けで、開き直つた下元哲のお茶目な悪戯心を感じ取るべきだと、俺の中では納得することにした。

 稼ぎの芳しくない不甲斐なさも詫びる、食卓越しの後姿しか見せない友莉子の夫をm@ster大哥は下元哲とされてゐるが、jmdbとDVDポスターには代田橋男とある。

 以下は再見に際しての付記< 友莉子夫の後姿は、声は知らないけど矢張り下元哲に見える


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