真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「ヒストリー・オブ・バイオレンス」では、主人公が風変りな格闘術を使ふらしい。さういふ話を小耳に挟んで、ヴィゴ・モーテンセンがガン=カタを使ふのかと(>使はねえよ!)、頼むからおとなしく寝てて呉れといふ体の声は無視し無理して観に行つた。

 「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005/米/監督:デヴィッド・クローネンバーグ/脚本:ジョシュ・オルソン/後援:カナダ大使館/出演:ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス、ウィリアム・ハート、他)。
 片田舎でダイナーを経営するトム・ストール(ヴィゴ・モーテンセン)。弁護士の妻・エディ(マリア・ベロ)、一男一女と共に平凡ではあるけれども幸福な暮らしを送つてゐる。ある夜、閉店間際のトムのダイナーが流れ者の犯罪者二人組みの強盗に遭ふ。銃を持つ二人にトムは素手で果敢に立ち向かひ、巧みに銃を奪ふと、二人共ブチ殺す。
 一躍ヒーローとなつたトムのダイナーを、見るからに怪しげな三人の強面が訪れる。リーダー格のフォガティ(エド・ハリス)は、トムのことを“ジョーイ”と呼ぶ。フォガティはエディに言ふ、「どうしてあんなにも人を殺すのが上手いのか、ジョーイに訊いてみろ」。
 トムは果たして本当にトムなのか?殺人マシーン、ジョーイの正体とは?暴力と愛との対立の中で、ひとつの幸せが崩壊の危機に曝される。
 “本年度アカデミー賞最有力”、“全米・カンヌ映画祭大絶賛”だとかフライヤーには調子のいい文句が躍つてはゐるが(調子のいい文句が躍るのがフライヤーではあるが)、何処が?“究極の愛の選択”なんてあつたつけ?表面の描写の下に隠された真の寓意でもあるのかも知れないが、そんなもの、ピンク映画ばかり観てゐて脳が桃色に腐つてしまつたドロップアウトには判らねえよ。以下、ネタバレしないではどうにも採り上げること叶はないので、ある意味衝撃的な表面の描写について潔く伏字で述べる。
 トムのことをジョーイと呼ぶ男。果たしてトムはトムなのか?人を殺すのが滅法上手い、ジョーイと呼ばれる男の正体とは?に関しては、<幹部の兄貴を持つマフィアのジョーイが、足を洗ふべく他人のIDを手に入れて、ずつとバックレてただけでした♪>えええつ!捻りも何も無さ過ぎて、逆に吃驚させられる。腰が抜けるかと思つた。そしてこれが“感動のラスト”とでもいふのか?<兄貴を始め因縁ある連中をジョーイが皆殺しにして家に戻ると、家では残された家族三人が静かな夕食。微妙極まりない空気の中ジョーイ改めトムが食卓に近付くと、娘がお父さんの分の皿も並べて劇終>。へえええつ!それで家族が再生するの!?顎が外れるかと思つた。
 こ、これでいいのかなあ・・・といふか、これがいい映画なのかなあ。私には判らないし、別に判らないでも構はない。世間を敵に回すやうなことを平気で言ふが(今更だが)、クローネンバーグにはどうにもオシャレ臭が付き纏ふ。ベッソン(現リュック)にしてもさうだが、名前の響きのいい外国人監督に、コロッとチョロ負かされてしまふ悪弊はそろそろ改めまいか。


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