真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「車内プレイ ノーパン」(1998『ノーパン痴漢電車 まる出し!!』の2001年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/脚本・監督:深町章/企画:福俵満/撮影:鈴木一博/編集:酒井正次/録音:シネ・キャビン/助監督:佐藤吏/スチール:津田一郎/現像:東映化学/出演:相沢知美・浅倉麗・麻生みゅう・神戸顕一・久保新二)。
 塩の山(正確には塩山“えんざん”市/平成十七年十一月一日廃止、隣接した勝沼町・大和村と新設合併して甲州市に)管内で多発する、事後被害者のスカートをハート型に切り抜く痴漢事件。塩の山署警部補のパイ子(相沢)は、直属の上司で、政府の特務機関・痴漢撲滅省―特務機関の単位が“省”なのかよ!?―から派遣された、といふかニュアンス的には都落ちしたと思しき久保山新之助こと愛称ペッパーさん(久保)、工藤俊作気取りの私立探偵・イザ公(神戸)らとともに、姿の見えない犯人捜しに奔走する。
 だなどとストーリーを手短に掻い摘んでみた所業が、愛ほしくすらなつて来る。映画は、最早痴漢電車でもサスペンスでも殆ど何でもない、久保新二の無駄な駄洒落と過剰なダンス紛ひのアクションとの迷人、もとい名人芸が延々と、本当に延ッ々とひた続く要はコントである。ピン芸人の舞台芸に、他の登場人物とあつてなきが如きのストーリーを、無理から繋ぎ合はせたやうなものだと思つて頂ければ最も適当であらうか。これで一応、最終的には謎解きとして成立してみせる辺りは、流石は深町章、ベテランの妙手であるとでもいはざるを得ない、最早自暴自棄気味に。
 一体どういふ撮り方をしてゐるのか、多分好き勝手に暴れさせた久保チンの前で黙つてカメラを回してゐるだけなのだらうが、ひとつひとつのカットが徒に長い、呆れるくらゐ果てしなく長い。ジョニー・トーに久保チンを委ねたならば、九十分を丸々ワンカットで映画を一本撮りきつてしまふのではないか、とすら思へて来る勢ひである。さうなつて来ると面白いのは、それに付き合はされる共演者。予め最低限の台詞は兎も角、所作のひとつも満足に与へられてゐる訳ではあるまい。相沢知美や神戸顕一はそれでも何とかかんとかどうにかかうにかして対応してみせるのだが、これが浅倉麗となると、何も出来ずにポケーッと間を持て余すばかりである、それも無理からぬ話でしかないが。

 結局殆ど何にも出て来なかつたが、今作に関するデータを調べてゐて当たつた、“日本最大のアダルトビデオダウンロードサイト”を謳ふビデオボーイ.TVのページの作品解説がそれなりに奮つてゐる。仮名遣ひを改めるのみで、以下に無断転載、怒られたら削除します。
謎だらけの迷作。誰が探偵で誰が警察官なのかよくわからない。楽屋落ちが最初から最後まで続くやうな、1998年作品とは思へないやうな古いノリと笑へないギャグが連発。ストーリーを把握しようとすると疲れてしまふ悲しいピンクな作品であるコトは間違ひない。痴漢作品といふくゝりにしてはいけないくらゐ、痴漢に対する欲情や情熱を全く分析していない

誰が探偵で誰が警察官なのか、は普通に観てゐても別に判るかと思ふが。この文章を書いた人は、きつと全然詰まらなくつて途中寝ながら見てゐたに違ひない、再びそれも無理からぬ話である。ただ、

痴漢に対する欲情や情熱を全く分析していない(笑)、ここに関しては、最早初めからお門違ひのものを求めてしまつてゐる。

 尤も、“謎だらけの迷作”といふのは全くお見事、一言にしてこれほどまでにジャストな解説には中々お目にかゝれない。

ストーリーを把握しようとすると疲れてしまふ(笑

 あ、すつかり忘れてゐたが残りの配役は、麻生みゅうは手を替へ品を替へ、数回登場する痴漢要員。而して、満員電車内で痴漢風俗を営業する個人事業主といふ正体は、なかなか以上に大胆な設定。目星をつけた神戸顕一に自身がつけてゐたヘッドフォンを移すと、そこからプレイ内容と料金のガイダンスが流れる、といふディテールも気が利いてゐる。浅倉麗は、ペッパーさんの妻・ワカ子。裏口から入るので一見判り辛いやも知れないが、久保山家は御馴染み水上荘
 以下は再見時の付記< ハート氏の正体は、夫婦生活の回春剤狙ひのペッパーさん


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