真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「男好きする人妻 四つん這ひ」(1996『人妻不倫 のけぞる』の2006年旧作改題版/製作:旦々舎/提供:Xces Film/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/撮影:田中一成/照明:秋山和夫/音楽:藪中博章/助監督:国沢実/製作:鈴木静夫/スチール:岡崎一隆/出演:浜田ルミ・桃井良子・小川真実・樹かず・真央元・リョウ・甲斐太郎?)。 
 いきなりであるが。本当にどうでもよかないくらゐに、新日本映像(エクセス母体)公式サイト内、作品リストの粗筋がハチャメチャである。ストーリーは何を基にして書いてゐるのだか知らないが、実際の映画の中身とはまるで異なる、最早木端微塵のその先、殆どオリジナルである。加へて、配役まで御丁寧に違へてある。ところで更に大体、甲斐太郎なんてそもそも出とらんぢやろ。あれ、おかしいな?確かクレジットにも名前があつたやうな・・・・   >あり得ないことでもありつつ、エクセスは稀にやらかすが
 互ひに子供の出来にくい体質といふことで、佐々木恭子(浜田)と夫の康夫(樹)は不妊に悩む。兎にも角にも子供が欲しいと暴走する恭子が、街に出て男を漁り、健康的な=精子の濃ささうな男を選んでは自ら声をかけ、中出しをせがむ。プロット一発!で最後まで怒涛の勢ひで突つ走る豪腕桃色映画である。加へて今作の特色は、恭子が自らの快楽の為に男漁りをするのではなく、あくまで妊娠したい、といふよりも寧ろ妊娠しなくてはならない、とやらいふ遺伝子からの大いなる要請に従つて些かの罪の意識を抱くでもなく、半ば何かに憑り付かれたかのやうに男に中出しを強ひる、さういふ強迫的なサイコ要素にある。山崎邦紀一流の見事な偏向であると同時に、首から下はムチムチと肉感的なのに、首から上は眼の下の隈、ややこけた頬と微妙に不健康に見えなくもない浜田ルミのルックスも、絶妙に物語にジャスト・フィットする。
 真央元は、ジョギングしてゐるところを恭子の第一の被害者といふか被食者となる真彦ならぬ近藤真一。桃井良子は、真一の彼女で雑誌記者の君塚みずき。浮気の発覚した彼氏から奇怪な恭子の存在を知り、俄かに好奇心を掻き立てられ記事にする。浮気の発覚する契機といふのが、恭子を抱いた後にみずきと寝た真一が、ついうつかり中出ししさうになる、といふのは少々粗雑ではあるが、桃井良子と真央元による手慣れた好演が微笑ましく見させる。リョウは、ビル清掃に額に汗を流すところをこれは精子が濃ささうだ、と恭子に頗る光栄な見初められ方をして第二の被害者となる砂川浩二。後に恭子の自宅を突き止め、恭子を中出し陵辱する。小川真実は、恭子の姉、康夫からは義姉に当たる島田昌美。恭子の異常な行動を知り、康夫のことを慮り心を痛める。
 例によつて恭子が精子漁りに家を空ける中、康夫を思ひ胸を痛める昌美がちやつかり康夫とセックスしてゐたりなんかする中、強姦され流石にすつかり幻滅した筈なのに、恭子が再び、今度は何故か交通整理員をしてゐる砂川を誘惑して三度中出しセックスに励むのがラスト・シーン。徒にエモーショナルな藪中博章のメイン・テーマが、無理矢理豪快に響く。
 もしかすると、甲斐太郎―菊島吾郎といふ役名である、といふことになつてゐる―はここでの交通整理員として、当初予定されてゐたのであらうか。何れにせよ、影も形も出て来ないことに変りはないが。

 当サイト認定“日本一本篇中に見切れる助監督”国沢実は今作でも健在、恭子と康夫が診察を受ける産婦人科医と、そこに居る必要は別にないのに、康夫が電車に乗るカットで他の乗客として何故か顔を覘かせる。


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