真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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駄楽ひまなときブログ
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そのまんまです
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自己紹介
福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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痴漢電車 さはつて出勤/ex.DMM戦
主に渡邊元嗣と、わ行
/
2021年01月23日
「
痴漢電車 さはつて出勤
」(昭和62/製作・配給:新東宝映画/監督:渡辺元嗣/脚本:平柳益実/製作:伊能竜/撮影:倉本和比人/照明:守田芳彦/編集:酒井正次/助監督:笠井雅裕/監督助手:瀬々敬久/撮影助手:池田恭二/照明助手:鈴木浩/スチール:津田一郎/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/協賛:㈱呉工業/出演:小林あい・橋本杏子・秋本ちえみ・北川聖良・ジミー土田・池島ゆたか・山本竜二・螢雪次朗)。協賛の呉工業が、大正義防錆潤滑剤「KURE 5-56」で御馴染のあの呉工業。
電車が行き交ふカットにタイトル開巻、社長秘書の藍沙弥佳(北川)が、労咳持ちみたいな藪蛇な造形の、白手幹(螢)の痴漢電車を被弾する。一頻り責めたのち、沙弥佳の愛液のスメルに昂つた白手―までが苗字でいいんだよね?―は、懐から取り出した折り畳みナイフを火花も散らして三閃。駅から歩く沙弥佳の衣服が、パンティだけ残して斬鉄剣的に時間差破断。見た感じオフィス街のど往来で、沙弥佳は半裸になる。豪快だな、昭和。一方、軽く驚く勿れ銘板から作り込んである、下着メーカー「バコール」。こんな名前の会社、商業ポルノの中にしか出て来ない、ローレン・バコールをフィーチャーするのでなければ。着衣した上から触つても直に触られてゐるかのやうな着心地で、なほかつ沁みなり匂ひは、薄布一枚の外には一切洩れない。新開発の超軽量形状記憶合金繊維「メタリングス」製の究極スキャンティ、を穿いた―御丁寧に上半身もブラのみの―商品開発部研究員・桃井未来(小林)の体を、芥川社長(山本)が固唾を呑み見守る中、部長の黒井(池島)が―何故かオッパイも―弄る天衣無縫な社内プレゼン。もうかうなつたら、時代の所為にしてしまへ。
開き直つてパン一で堂々と出社して来た沙弥佳は芥川の秘書、兼愛人で、社長室に辿り着くなり熱い一戦をキメつつ、一枚しかない試作品を自らモニタリングする未来は、帰りの電車で究極スキャンティを白手に擦られる。実はメタリングスは偶然生まれた産物で、現状再生産不能。芥川には秘したまゝの究極スキャンティ奪還に迫られた黒井は、未来の助手に元々大学の使用済み女性下着同好会の後輩で、エロ本紛ひのカタログを作り未来からは目の敵にされる、企画部の赤尾松太郎(ジミー)を連れて来る。
松太郎は未来の気持ちをノセる以外には、最終的に何の役にも立たない“一度触つた素材の感触は絶対に忘れない”特殊能力頼りで、闇雲に単身電車に突入。配役残り、鬼のやうにハクい橋本杏子と秋本ちえみは、まんまと罠にかゝつた松太郎に手錠をかけるゆゑ
女痴漢捜査官
なのかと思ひ、きや。蝋燭に囲まれたベッドに松太郎を鎖で拘束、女王様ルックで「ようこそ私達のお仕置き部屋へ」と来た日には、アグレッシブな私刑集団なのかと思ひ、きやきや。結局公安調査特殊課痴漢ハンター国鉄バイス、コンビ名が「ランジェリーズ」とかいふ愉快なワイルドセブン、二人しかゐないけれど。ところで呉工業製品は、火気厳禁の研究室にて、松太郎が煙草に火を点けようとした―だから昭和だ、昭和―ドリフ大爆発後。未来が消臭に商品名も呼称しての除菌・衛生スプレーのメディゾールを取り出すのと、アルミケースの中に5-56も見切れる。5-56にハイフンが入るのは、正直今回ちやんと調べてみて初めて知つた。
ex.DMMのピンク映画chにタグつきで残る未見作を、片端から見て行く新東宝痴漢電車虱潰し戦、五本目で渡辺元嗣がヒットした、昭和62年第二作。ちなみに、ナベのタグはついてない、新東宝限定で結構そんなもん。
電車に出没する怪人から、夢の新素材・メタリングスを奪ひ返せ。怪獣が出て来ないと成立しない怪獣映画が如く、痴漢電車でなければならない極めて魅力的な物語を構築しつつも、女の裸込みで中盤のバコール社内で大きく尺を食ひ尽くすのもあり、ある意味ナベシネマ的にはまゝある、終盤がガッチャガチャに尻窄む印象は否めなくもない。結局バックボーンには一切手が回らない白手のキャラクターは徒に大仰なばかりで、画期的に超絶美麗な2ショットを形成してゐながら、「ランジェリーズ」は限りなく明後日な絡み要員に止(とど)まる。さうは、いへ。全出演作でも両手両足、主演作となると片手で全然足る。実質二年間くらゐと決して実働期間が長くはないのも起因してか、ニッコニコに可愛らしい陽性のルックスと、プッリプリに弾ける健康的な肢体。この期にしか及ばないが、どうしてこの人がもう少し天下を取れなかつたのか不思議な小林あい(ロマン子クラブ No.4)が総合的には物足りない劇映画を、アイドル力の力任せで支へ抜く。最初は毛嫌ひしてゐた松太郎の、ギフテッドを知るやメタリングス探索の糸口を得た、未来がみるみる瞳を輝かせ膠着した局面が動き始める展開は、娯楽映画的に麗しく鉄板。それで、ゐて。未来と松太郎が遂に結ばれる、感動的な―筈の―締めの濡れ場をも、寧ろ不自然にすら頑なに完遂に至らせない。全く以て不用意な小癪さが、激しく水を差すのは重ねて頂けない。
三分も超過してのエンディングは「鎌田行進曲」の替へ歌を皆で合唱後、“渡辺組”のカチンコが改めて鳴るのに何事かと思つたら。「新東宝の」(螢雪次朗)、「痴漢電車シリーズ」(小林あいと池島ゆたか)、「今年もよろしく」(北川聖良と山本竜二)、「お願ひしまーす」(ビリング頭三人にジミー土田)と、小林あいと北川聖良はオッパイも気前よく見せ賑々しく締め括る。
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