真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
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田園日記 アソコで暮らさう
竹洞哲也
/
2019年06月25日
「
田園日記 アソコで暮らさう
」(2018/制作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:当方ボーカル/撮影監督:創優和/録音:山口勉/編集:三田たけし/音楽:與語一平/整音:吉方淳二/助監督:菊嶌稔章/制作応援:MASATO/スチール:阿部真也/協力:深澤浩子/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:白木優子・南涼・横山みれい・水野直・細川佳央・折笠慎也・津田篤・イワヤケンジ)。久し振りに改めて、脚本の当方ボーカルは、小松公典の変名。それと
引き続き
遠出する頭数を渋るなり絞つたのか、助手部のクレジットはなし。
美顔ローラーを転がす母・宏美(白木)と、出店を憧れるカフェの物件をノートでつらつら見る、双子の姉のあずみ(南)。に、家族団欒のアンチテーゼだとか称し、ツッ立つて虚空を凝視する引きこもりにして、当人曰く“割とレベルの高い出不精”の双子の弟・優一。一方、宏美の夫で一家の主たる長崎堅実(水野)はといへば、声のみ聞かせる嬢(多分横山みれい)相手に店舗風俗。仕事を辞めた祝ひと虚勢を張つた堅実が一拍息を呑み、スッカーと晴れた空の下に広がる畑の画にタイトル・イン。榊英雄ピンク映画参入作「
オナニーシスター たぎる肉壺
」(2015/脚本:三輪江一/主演:三田羽衣)でピンク初陣、二本目を撮らせて貰へるのが不思議な山本淳一の「
マジカル・セックス 淫ら姫の冒険
」(2018/脚本:大畑晃一・山本淳一/主演:阿部乃みく)を経て、水野直は初の本隊作。とは、いへ。如何にもピーピープラス臭い、竹洞哲也である辺りはお察し。
早期退職の憂き目に遭つた堅実は、幼少期に見た名前も覚えてゐない海外ドラマへの過剰な思ひ入れを拗らせ、家族で僻地の農村に移住。指南役・関満雄(イワヤ)の指導を受けての、全員未経験である農業生活に入る。宏美が東京に残して来た、泡沫俳優・富士生馬(津田)との不倫なる何気でなく起爆剤も抱へる中、あずみは初見で双方向に見初めた、有力者の息子でもある農協職員・武藤圭吾(折笠)の伝(つて)で農協に事務として入り、優一も、初の労働で農業といふブルータルなM:Iに、何故かすんなり順応。サクサクあずみと武藤の結婚が決まるまで、万事順風満帆に進む。
配役残り、首から上は日焼け防止装備で覆はれた農村婦人部二名は、どうやつても特定不能。横山みれいは優一を手懐けようと、堅実が遥かエリア外の彼方から呼び寄せた、ディスコミニュケーションを爆裂させるデリ嬢・マイト、ハングマンのリーダーではない。最終盤に続々投入される内トラ部隊、菊嶌稔章が巨漢の刑事で、阿部真也と深澤浩子が新たなる移住者夫妻。
武藤の軽トラが八戸ナンバーである点―逆に、それ以外に地名を匂はせさへする情報は一切見当たらない―も見るに、超絶近所の青森県三戸郡五戸町近辺で撮影してゐた前作と、二本撮りしたとしか思へない竹洞哲也2018年第五作。二作の封切り間隔も四週間と、極端に短い。それと折笠慎也のカントリーな口跡が矢鱈達者に聞こえたのは、この人ネイティブなんだ。
二番手の濡れ場が極端に、脱いでゐたか不安になるほど少ない不満―乳はまだしも、尻すら見せてゐない―さへさて措けば、裸映画的にはまあまあ。さて措けぬとする南涼クラスタの激憤に関しては、当然是認する。折角綺麗に成就しかけた長崎家の幸福を、開墾一家があくまで父親が中心となつて諸々の困難に立ち向かひ克服する。パターナリズム丸出しの手前勝手なファンタジーに囚はれた堅実が見事爆砕する展開は、家族各々のツッコミも的確に、ひとまづ酌める。尤も、ここから先は殆ど生理的な好きヘイトにも左右されよう点は一応恐縮ながら、ワーキャー姦しいばかりの水野直が、兄貴程度ならばまだしも大黒柱にはそもそも程遠く、如何せん厳しい。拭ひ難い年恰好の違和感も含めるとなほさら、大本命?なかみつせいじあるいは、吉田祐健なり小林節彦の役であつたのではなからうか。もしくは迸らせる狂気の一点突破で、北千住ひろし×羽田勝博のギョロ目部、この人等が現役なのかどうかは甚だか結構怪しいけれど。
とこ、ろで。長崎家一同の農作業初日、皆で関の下へ向かはうかとしたところで、画面奥の遠目に見切れる人影はあれは目の錯覚か何かか?一般映画に色目を使つた弊害だか何だか知らないが、回収されぬサムシングに一々立ち止まらざるを得ないのは、実に煩はしい。
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