真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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ひまはりDays 全身が性感帯
や行
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2018年05月28日
「
ひまはりDays 全身が性感帯
」(2017/制作:VOID FILMS/提供:オーピー映画/脚本・監督:山内大輔/撮影監督:田宮健彦/録音:光地拓郎/編集:山内大輔/音楽・効果:Project T&K・AKASAKA音効/助監督:江尻大/監督助手:小関裕次郎・茂出木まり/撮影助手:高嶋正人・鎌田輝恵/演出部応援:菊島稔章/特殊メイク・造形:土肥良成/スチール:本田あきら/仕上げ:東映ラボ・テック《株》/出演:涼川絢音・櫻井拓也・月本愛・加山なつこ・黒木歩・森羅万象・野村貴浩・竹本泰志・満利江・和田光沙・浅場万矢・山本宗介・泉正太郎・細川佳央・岡田貴寛・川瀬陽太)。ポスターでは、AKASAKA音効が効果と整音で別立てされてゐる。
向日葵の画に、櫻井拓也のモノローグ「これはその夏、僕に起きた奇跡の物語だ」。高校卒業後暫しもたもたしてゐた島田和夫(櫻井)は三十の節目に漸く就職を決め、結婚を見据ゑた看護師の彼女・木村俊恵(月本)も出来、郷里の母親を一回東京に呼ぶかと順調な日々を送つてゐた。ところが仲人も頼まうとした勤務先の社長・矢木澤(野村)に俊恵を寝取られ、和夫は婚約者と仕事を一遍にロスト。ちよつとした誠意程度の退職金を、ソープ嬢・レイミ(何時の間にかオッソロシク増量してる加山なつこ)相手に溶かすか潰された和夫は、蒟蒻の煮物がおふくろと同じ味のスナック「ひまはり」―物件的には
矢張りステド
―にてママのアケミ(黒木)と、知恵の遅れたホステス・佐藤みかよ(涼川)と出会ふ。一旦ひまはりを辞しつつ、ホストクラブの支払を巡るマナミ(浅場)とアツシ(岡田)の悶着に巻き込まれ和夫は半殺しに。その場を通りがかつた、アケミの夫で土方の吉井ゴロウ(川瀬)に助けられた和夫は、出て来たばかりのひまはりにとんぼ返り、以来ひまはりの面々との距離を近づけて行く。
配役残り山本宗介は、山内組何時もの真木。泉正太郎と細川佳央は、細川佳央がイズショーをひまはりに連れて来る格好の二人組リーマン、この二人のコンビが妙にサマになる。和田光沙は、吉井とアケミにみかよも出身の、孤児院「ひまはり学園」現在の施設主任・浪越和子。森羅万象は、余命幾許もない状態で、「ひまはり学園」を通し一度は捨てた娘に面会を申し込んで来た、みかよの父親・幸雄。竹本泰志も、山内組何時もの高橋。この際、スピンオフした薔薇族を撮つてみると面白いのに。竹本泰志と山宗が咲かす薔薇ならば、一般のBL層も十二分に取り込めよう。そしてex.東川佳揚といふ、実に三十六年ぶりともなるピンク超帰還を果たした満利江が、和夫の母親・千鶴子、満を持して案外美味しいところをカッ浚つて行く。如何なるコネクションで連れて来たものか、東川佳揚とかいはれても正直知らんけど。その他ソープのボーイとアケミが和子と会ふカフェのウェイトレス、ひまはりボックス席の客要員多分二人に、幸雄が入院する病院の看護師が見切れる。
先般賑々しく執り行はれた第30回ピンク大賞にあつては、最優秀作品賞を始め、要は佐倉絆と戸田真琴の新人女優賞以外の全部門を総嘗めした、山内大輔2017年第四作。例年投票期間に入る毎に、半ば風物詩的に湧いて来る性懲りもない繰言に関しては、苦笑を禁じ得ないのも通り越して閉口し、今年はうんざりと黙つてゐた。事実上上野オークラの集客イベントとしての色彩がより濃い現状を認めた場合、ピンク映画のアワードがよしんばAV女優の人気投票と化したとて何が悪い。商業映画に於いて、小屋に落ちる木戸銭以上のジャスティスが果たして何処にあるのか。と、いふのが、昨今のピンク大賞に対する当サイトの態度、乃至はより一般的な認識である。固より、何が誰が選ばれやうが選ばれまいが、そもそもの地域的ラグを抱へる以前のノット・マイ・ビジネス。
に、してもだな
。
横綱の風格さへ軽くか重たく漂はせる、加山なつこが櫻井拓也を圧殺する土俵入り騎乗位こそ激しく笑かせるものの、体位をブツ切りした挙句に合計時間自体甚だ短いダイジェスト濡れ場で茶を濁し、裸映画を誠実に志向する姿勢はほぼ完全に放棄。ラスト瞬間的に夫婦生活を捻じ込んで来るのが、寧ろ言ひ訳がましく腹が立つ。腕はある癖に、そんなに絡みを撮るのを潔しとしないのであれば、山内大輔は国映にでも草鞋を脱いだらいい。全てを失つたダメ系主人公と、初めから足りないヒロインとのミーツに端を発する物語本体も、尺を持て余しはしない程度のテンプレ展開に終始、然程の決定力は特にも何も感じられない。蒟蒻のパワープレイで涙腺が決壊しない、俺が荒んでゐるだけなのか?実はもつとダサく仕上げるべきシークエンスを下手にカッコよく撮り過ぎたのか、電話ボックスの川瀬陽太は、そろそろクサさかクドさの危険水域に片足突つ込みかけてゐる。山内大輔単独で考へても、引退記念作といふひとつのカテゴリーを完成させた凄味すら滲ませ、なほかつ鬼のやうにクッソどエロい「
ぐしよ濡れ女神は今日もイク!
」(大主演:朝倉ことみ)の方が余程素晴らしいやうにしか映らない。驚愕の電車痴漢トリプルクロスを構築した上で、三本柱のみならず清水大敬・麻木貴仁・久保和明をもが一撃必殺級のエモーションを激乱打する、少なくとも今世紀最強の痴漢電車「
痴漢電車 マン淫夢ごこち
」(2016/監督・脚本:城定秀夫/主演:希島あいり・竹内真琴・松井理子)よりも今作が優れ秀でてゐるだなどと、到底理解に苦しむどころか、直截に筆を滑らせると凡そ正気の沙汰ではあるまい。何か?オーピーは山内大輔に金でも借りてゐるのか、それとも、山内大輔は謎の動員力を有してゐるのか。
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