真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「二人の巨乳妻 ~美和と茜~」(2017/制作:セメントマッチ/提供:オーピー映画/監督:池島ゆたか/脚本:後藤大輔/撮影監督:清水正二/撮影:海津真也/録音:小林徹哉/編集:山内大輔/音楽:大場一魅/効果・整音:AKASAKA音効/助監督:江尻大/照明助手:広瀬寛巳/ヘアメイク:ビューティ☆佐口/スチール:津田一郎・山口雅也/現場応援:松井理子・新惟ジン/挿入歌:『STAGE』詞・曲:大場一魅 歌:佐々木麻由子・『曙橋で会ひませう』作詞:後藤大輔 作曲:大場一魅 歌:ジョージ&ヒーサマ/協力:曙橋ステージドアー、阿佐ヶ谷Rock Bar India、新宿マスカレード・カフェ/エキストラ協力:杉原みさお・吉原あんず・末田佳子・妹尾陽子・百田成彦・宮木宏之・Rei Mizuki・くりりん・Thunder Watso・井坂敏夫・渡辺充好・東京ジョー・周磨要・松本格子戸・大場一魅/制作協力:Abukawa corporation LLC./仕上げ:東映ラボ・テック《株》/出演:福咲れん・織田真子・雪美えみる・野村貴浩・竹本泰志・橘秀樹・細川佳央・後藤大輔・西守正樹《特別出演》・松井理子・新惟ジン)。出演者中、西守正樹以降は本篇クレジットのみ。
 強いハレーションが陽光ではなく、診察台真上の照明。何処から持つて来たのかガチ映像も繰り出し、三輪茜(織田)が医師(西守)に大腸の内視鏡検査を受ける。松井理子が、こゝでは殆ど抜かれない看護婦。悪性のポリープを発見した、西守医師の声色が変る。有無をいはさず入院決定、“これから”と一旦医師が濁した言葉に、茜がどういふ意味と疑問を投げると再ハレーション。高校の机に彫られた、茜美和と三輪茜の相合傘にタイトル・イン。本篇の火蓋を、とりあへず爆乳で切る池島ゆたかのいはゆる“判つてゐる”ジャスティス。“18歳のふたり 春”、歯科助手の短大に進学を決めた茜が、両親は旅行中の家に進路未定の彼氏・坂本(橘)を連れ込む。織田真子は国沢☆実2013年第二作「女警備員 まさぐり巡回」(脚本:内藤忠司)以来のピンク復帰、力強く女子高生には見えないが、さういふいはずもがなを堪へきらない無粋な輩は、オダマコの文字通り重大なオッパイに圧殺されてしまへばいい。といふか、圧殺して欲しい。自堕落な与太はさて措き、そんなところに訪ねて来た茜の親友・茜美和を、二人は絡み初戦の間暫し無視。茜が出て来るまでおとなしく表で待つてゐた美和(福咲)の用件は、茜の後を追ふ形での歯科衛生士専門学校合格の報告。茜は時に疎ましくも思ひつつ、従順な子羊のやうに美和がついて来る関係が続いてゐた。“26歳のふたり 春”、今度は更衣室で白衣をパージする福咲れんの下着オッパイ。安斎達郎(野村)と同棲する美和は、既に玉の輿に乗つた茜にプロポーズを受けた達郎を紹介する。美和を酔ひ潰した隙に大胆極まりなく乗じて、茜は達郎を喰ふ。一年後、美和は妊娠を達郎よりも先に茜に報告する。
 配役残り、本クレでは二十人弱ゐた気がするエキストラ勢から、フライヤーにはSpecial Thanksで抜粋される杉原みさお・吉原あんず・野口四郎・松本格子戸は、何時の間にか美和がオーピーデンタルクリニックから職場が変つてゐるツカサ歯科クリニックの待合室要員。新田栄2008年第一作「国語美教師 肉厚のご奉仕」(脚本:岡輝男/主演:永井れいか)ぶりとなる杉原みさおの電撃帰還にも驚かされたが、19967年に池島ゆたかと新田栄監督作で計五本しかないjmdbが多分信用出来る、野口四郎の名前には更に一層度肝を抜かれた。新惟ジンは、美和が妊娠を茜に報告するカフェのボーイ。竹本泰志が茜の結婚三年目にして、喧嘩もしないがキスもしない夫・隆一で、雪美えみるは茜には逢瀬を急な接待と偽る浮気相手・小夜子。雪美えみるの手頃な大きさの美乳に垂涎する隆一の贅沢が、ジワジワ琴線に触れる。後藤大輔は色んな悶着が交錯するやゝこしい一夜、茜が坂本と再会するホストクラブのオーナー・佐伯、物件的には御馴染ステド。細川佳央はアバン後のふたり31歳時、二人で映画を観た後に、入る店のバーテン。その他エキストラは不安定な美和の剣幕に恐々とするツカサ待合室要員に、ホストクラブ隊。
 一般映画第三作「おやぢ童貞Z」に、第二弾「えろぼん!オヤジとムスコの性春日記」(2018/主演:一条綺美香)に引き続き高橋祐太脚本で取りかゝつてゐるのが判明した、池島ゆたか2017年第三作。ところで高橋祐太といふと、「スケベ研究室 絶倫強化計画」(2015/主演:竹内真琴)で国沢実とミーツする遥か以前、佐藤吏第三作「ハードレズビアン クイック&ディープ」(2005/主演:夏目今日子×ナンシー)を完ッ全に忘れてゐた、我ながら話にならぬ。
 見舞はれた二つの衝撃に茜が弱体化し、二人の上下が逆転する展開も、各々互ひに自分にはないものを求める方便も酌める。墓参の場で出会した小夜子を、茜が弱々しく受け容れる傍ら、美和が敵意も露に突き刺す視線の複義的に対照的な対比は光り、一人32歳を迎へた美和に、届いた手紙に観客をホロつかせる力は確かにある。さうはいへ、元々社会性を画期的に欠いた小生には、配偶者にも内緒で第一子を堕胎するまで茜に依存する美和の姿は、この世の果てまで理解に遠い。反面その旨打ち明けられた達郎が呈する激しい混乱はそのまゝ呑み込め、美和が壊れてゐる風にしか映らなかつた。ついでに今時女友達二人で観に行く映画が「テルマ&ルイーズ」とかいふ苔生したセンスにも、如何ともし難いダサさを禁じ得ないのは、寧ろ当方の修行が足らないのか?何れにせよ、今の時代を攻めてゐるやうには思へない。福咲れんも織田真子も、テルルイなんて知らないのではなからうか。大塚れんver.の初陣「淫乱巨乳妻の白日夢」(2015/監督・脚本:荒木太郎)のビギナーズ・ラックは兎も角、どうも福咲れんがそこそこ本数も積み重ねてゐる割に、これといつた一作になかなか恵まれない。個人的にはこの人が七十分ニッコニコ笑つて、オッパイをボインボイン弾けさせて呉れてゐるだけで胸一杯になれる自信があるのだけれど、俺は何をいつてゐるのだ。

 付記< 例によつてやらかしてた、ODZ2はピンクらしい。


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