真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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行きつけのお店のブログ、下戸なのに。しかも閉めたんだけどね
ツイッタ
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そのまんまです
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自己紹介
福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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いんらん旅館 女将の濡れ姿
深町章
/
2012年10月30日
「
温泉仲居妻 やらせつぱなし
」(2000『いんらん旅館 女将の濡れ姿』の2012年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:深町章/脚本:かわさきりぼん/企画:福俵満/撮影:清水正二/編集:酒井正次/助監督:佐藤吏/出演:水原かなえ・里見瑤子・小室芹奈・かわさきひろゆき・久保新二)。出演者中小室芹奈が、ポスターには小室芹菜。
福代(水原)は噺家の夫・麺家春団子(かわさき)が、双子の妹・すもも(当然水原かなえの二役)と関係を持つてゐたことに激怒。家を捨て、住み込みの仲居の職を求め山間の温泉旅館、となると物件的には勿論御馴染み「
水上荘
」を訪ねる。庭を進む福代は、「宇宙人は帰れ!」とする仕掛け縄―近所の子供の悪戯と直後に説明される―に足を取られる。旅館を切り盛りするのは、女将の佐倉さくら(里見)と、板前は一人しか見当たらないのだが兎も角板長の木下哲男(かわさきひろゆきの二役)。スチャラカな春団子に対し寡黙でステレオタイプに昔気質な哲男と、印象は正反対なれど二人が瓜二つであることに、福代は驚く。迫るさくらの据膳を哲男は頑なに拒む一夜明け、まさか福代が居ようなどとは露知らず、春団子の師匠・麺家春雨(久保)が、愛人の新玉珠子(小室芹奈/a.k.a.
東夕巳
)を伴なひ宿に現れる。春雨は福代を見て一旦は踵を返しながらも、珠子のおねだりを受けると、久保新二一流のマシンガン・トークの合間に先代女将に娘なんて居たかな?と訝しみつつ、締めはアシャアシャアシャでひとまづ逗留することに。といふ訳で一頻り続く春雨V.S.珠子戦、春雨が珠子のパンティを鋏で丸く切り抜き、その穴を通してバイブで責めるのは、何回観ても本当に入つてゐるやうにしか見えない。一方、春団子に後ろ髪を引かれぬでもない福代をさくらが訪ね、哲男への想ひを相談する。恋のキューピッド役を買つて出ようとした福代に、哲男は―さくらは―宇宙人みたいな人だと何処かで聞いたやうな拒絶を示したどころか、まさかのカウンター告白を敢行。さくらを挟んだ哲男との三角関係と、微妙に忘れ難い春団子への思慕との間で、福代は揺れ動く。
2000年年末公開の最終第六作、即ち明けて二十一世紀最初の正月映画は、一見弛緩した他愛ない艶笑譚に見せる穏やかな出来栄えまで含めて、如何にも深町章らしい工芸的な一品。力技の秘密を有した飛び道具が主人を務める温泉旅館を舞台に、交錯する二つの一人二役と、飛び込んで来るもう一つの飛び道具。ついでに飛び込んで来た方の飛び道具の同伴者は、見るも鮮やかな本物の入墨美女といふ視覚上の飛び道具。何れも正月映画にしては地味目にも思へて案外満更でもない、頑丈な構成と豪華な布陣が光る。苛烈な空中戦の末に、撃墜されるが如く飛び道具の片方は退場。倒した方も真実の主人公―と観客―への露呈に従ひ、それなりの方便とともに退場。残された二人で四人分の頭数が、順当極まりない落とし処に綺麗に収まる絶妙な結末は絶品。御都合的と悪し様に片付けるならばそれまでに過ぎないのかも知れないが、これぞソー・スマートな娯楽映画と、呑気に称へたい。初登場シーン、我等がアドリブの鬼・久保チンが、正しくどさくさ紛れに投げ込む伏線の超絶は、最早伝説級ではなからうか。
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