閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

ほたる

2008-06-26 14:04:30 | 日々

ほたる。
家のそばの川岸の、アジサイの咲いているあたり。
1ぴきだけ、はっきり緑に光って、すうと飛んで、消えました。

毎年、ほたるは1ぴきか2ひきか3びきくらい見られます。
たいてい雨の降る前の、すこし蒸し暑いような夜。
川が小さくて、雨が降ると川底の砂が全部流れてしまうから、
これくらいしか繁殖できないのでしょう。
ほたるを保護して増やす試みは各地でなされていますが、
ほたるの前に、まず餌になる貝を増やすこと、
その前に、貝が増えるような環境の川にすることが難しいのです。

わたしが小さい頃は、夜店で、ほたる、売っていました。
大きなかごにたくさんたくさん入っていて、何匹って言うと、
小さいかごに、草の葉と一緒に入れてくれる。
夜店のはずれの暗いところで、おばあさんが売っていた。

元気がなくなったほたるを、ときどき、おばあさんは、
てのひらにすくって、ほいっと口の中に入れる。
こうするとまた元気になるのだとおばあさんは言う。
おばあさんが口を開けると、まっくらな中に、
小さいほたるが、ぽう、ぽうと光っている。
という光景を、はっきり見た記憶があるのだけれど、
思い返すと、どうもあやしい。
あれは夢だったような気もする。
夢だとすれば、ひどくあざやかな不思議な夢だ。

買ってもらって帰ると、布団を敷いた部屋の中に放して、
電灯を消して、眠りにつくまで、その光を眺めました。
おとなのほたるは、餌を食べません。
飛んで、光る、それだけの短い寿命です。
だから、せいぜい霧吹きで湿らせてやる程度で、
飼うことはできません。
ひととき楽しんだら、弱らないうちにと、
窓を開けて放してやるのでした。
どこへ飛んでいっただろう、あのほたるたち、みんな。

 

コメント
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