「A社とB社の共有特許権が存在するとき、A社が解散してしまった。解散前にはA社は持分の放棄もB社への譲渡もしなかった。もうA社と連絡が取れない。そのとき、この特許権所有の帰趨はどうなるのだろうか。」という問題です。
すぐに思いつくのは、特許法76条の「特許権は、所定の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは消滅する」です。上記A社の場合も、A社が解散するとA社持分は消滅するのだろうか。そしてA社持分は自動的にB社持分になるのだろうか。
しかし、特許法76条は自然人についての規定であり、法人には適用されないのですね。中山注解によると、特許権について何らの処分もされないままに法人が解散してしまった場合は、民法72条3項の規定により国庫に帰属することになるそうです。しかし、現実には国への移転登録がされた例はなく、事実上特許料不納や存続手間満了で特許権を消滅させているようです。
そこで、特許庁に聞いてみました。
特許庁の話では、「法人の解散前、あるいは解散後でも清算人がいるはずだから、その段階で放棄なり譲渡なりをしてもらう必要がある。その書類を添付して手続きすることにより、A社の持分の帰趨が決まる。もし放棄や譲渡をせずに消滅してしまったら、特許庁の登録上は、A社が存続しているという状態のままとなる。B社が例えば第三者に特許権を譲渡しようとしても、A社の同意が必要なのにそれが得られず、できないこととなる。」ということでした。
なお、中山注解におもしろいことが書いてあります。
「法人解散の場合の特許権の国庫への移転は、法による強制的な移転であり、一般承継に準じ、登録は移転の効力発生要件ではない。解散した法人の名義は残っていても、特許権者は国ということになり、しかも国有特許権は特許料は不要であるので、特許料不納による特許権消滅ということもないことになる。」
すぐに思いつくのは、特許法76条の「特許権は、所定の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは消滅する」です。上記A社の場合も、A社が解散するとA社持分は消滅するのだろうか。そしてA社持分は自動的にB社持分になるのだろうか。
しかし、特許法76条は自然人についての規定であり、法人には適用されないのですね。中山注解によると、特許権について何らの処分もされないままに法人が解散してしまった場合は、民法72条3項の規定により国庫に帰属することになるそうです。しかし、現実には国への移転登録がされた例はなく、事実上特許料不納や存続手間満了で特許権を消滅させているようです。
そこで、特許庁に聞いてみました。
特許庁の話では、「法人の解散前、あるいは解散後でも清算人がいるはずだから、その段階で放棄なり譲渡なりをしてもらう必要がある。その書類を添付して手続きすることにより、A社の持分の帰趨が決まる。もし放棄や譲渡をせずに消滅してしまったら、特許庁の登録上は、A社が存続しているという状態のままとなる。B社が例えば第三者に特許権を譲渡しようとしても、A社の同意が必要なのにそれが得られず、できないこととなる。」ということでした。
なお、中山注解におもしろいことが書いてあります。
「法人解散の場合の特許権の国庫への移転は、法による強制的な移転であり、一般承継に準じ、登録は移転の効力発生要件ではない。解散した法人の名義は残っていても、特許権者は国ということになり、しかも国有特許権は特許料は不要であるので、特許料不納による特許権消滅ということもないことになる。」
掲示板?でお会いするのはNIFTY以来ですね。
ブログを書かれていたとは知りませんでした。
たまに寄らせていただきます。
そうそう、この件は、法律上は民法でかたがついているようですね。
特許法に規定がなければ、民法ですよね。
ただ、そうなると共有者である「国」のどこの機関と交渉するのでしょうね?
(残余財産の帰属)第72条
解散した法人の財産は、定款又は寄附行為で指定した者に帰属する。
2 定款又は寄附行為で権利の帰属すべき者を指定せず、又はその者を指定する方法を定めなかったときは、理事は、主務官庁の許可を得て、その法人の目的に類似する目的のために、その財産を処分することができる。ただし、社団法人にあっては、総会の決議を経なければならない。
3 前2項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
ご覧の通り、まだブログをはじめて3ヶ月目です。この先どうなることやら。これからもぜひお寄りいただき、コメントなどお願いいたします。
民法の規定の解釈からは国庫に帰属でも、特許庁はそのように扱わないようですね。本人(もう解散して存在しないのに)から放棄なり譲渡なりの意思表示がない限り、まだ存続していると見て扱う、ということでした。
現在は、民法72条がなく、社団法人や財団法人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第239条により、民法72条の効果と同じ結果となりますが、株式会社等の会社については、このような規定はなく、財産が適切に分配されなかった場合の財産の帰趨がどうなるのか分かりません。実務的にはいずれ消滅するのでしょうが、その間は国庫に帰属しているという解釈はないように思います。
民法と会社法が改正されたため、2006年に書いた上記記事から変更になっているのですね。中山「新・注解特許法」で確認してみました。
特許法76条の説明では
「会社については、会社の財産が残存しているうちは清算が終了した実態がないため、たとえ清算結了の登記がなされても当該会社は消滅しないと解されている。したがって、会社が、残余財産である特許権を処分せずに清算結了の登記を行ったとしても、当該会社は清算中の会社として存続するものとみなされ(会476条)、当該特許権は当該清算中の会社に帰属していることになるため、当該特許権につき実施許諾を受けようとする者は、清算人と交渉することが必要となろう。」
共有特許権の場合、共有権者が年金を払い続けるので特許は存続し続けます。清算人にも連絡できなくなったら、やはりお手上げですね。
やはり、中山先生の本は詳しいですね。
しかし、新・注解特許法は、分厚くて高いのでなかなか手が出ません…。