弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

審査状況伺書

2008-07-13 12:34:13 | 知的財産権
特許出願で拒絶理由通知に対して、審査官に承服して補正を行い、意見書と補正書を提出しました。特許査定がなされるはずです。
出願人からは、「大事な案件なのでできるだけはやく特許査定を得たい。いつごろ査定が出るか、審査官に聞いてくれないか。」と依頼されました。
そこで審査官に電話したところ、「その審査官は異動で別の部署に移りました。この出願案件に関し、現在のところ後任が決まっていません。」とのことです。こちらが急いでいる状況を説明すると、審査官の上司という人から「電話ではこれ以上回答できない。審査状況伺書を提出してください。」といわれました。

インターネットを用いて、自分が代理している案件について審査着手時期を入手することは知っていました。それとは別に、紙ベースで提出して回答を得る「審査状況伺書」というのがあるのですね。

特許庁のホームページでいうと、特許についての中の「審査に関すること」をプルダウンすると、下の方の「着手状況情報」というところに以下の2つが掲載されています。
上の「特許審査着手見通し時期照会について」が、従来から知っていたインターネットによる情報入手です。
下の「特許審査着手状況の問い合わせについて」が、今回の「審査状況伺書」についてです。

1枚ものの文書を作成します。文案は上記の欄に示されています。印鑑の押印も不要です。
さっそく文書を作成し、郵送で特許庁に送りました。

すると、12日ほどして特許庁から郵便物が届きました。「伺い回答書」という1枚の文書です。「上記出願の審査着手は、平成20年9月頃の予定です。」と記入されています。回答者は「特許審査第一部調整課審査業務管理班」というところでした。

「こりゃ審査(再)着手がずいぶん先になるな」と出願人共々がっかりしました。今から早期審査事情説明書を提出しても、既に審査には着手しているのですから、さらに迅速になるかどうかは不明です。特許庁出願支援課に電話で相談してもそう言われました。

ところが、それからほどなくして、当該出願について「特許査定」が届いたのです。
よくよく比べてみたら、「伺い回答書」の日付よりも、「特許査定」の起案日の方が前の日付なのです。
審査官の部署では、調整課に対して「9月に着手」と答えながら、一方ではただちに後任を決定していたということですね。そして後任の審査官が特急で特許査定をしてくれていたということです。


審査を迅速にお願いしたい状況があるときに、「審査状況伺書」を提出することが有効に機能するかもしれない、というお話しでした。
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