弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

GWに突入&原発の状況

2011-04-29 13:36:58 | サイエンス・パソコン
ゴールデンウィークに突入しました。
ゴールデンウィーク期間中はこのブログもお休みになります。

福島第一の1号機は、圧力容器の水注入量を6トン/時から10トン/時に増やしたとたんに、格納容器の圧力が1.5気圧absから1.2気圧absに急減したようですね。14トン/時への増量は中止したようです。
現在の原子炉内の物質バランス/熱バランス/圧力バランスがどのように成立しているのかを知りたいのですが、そのために必要な情報はほとんど知ることができません。
おそらく、圧力容器への冷却水増量により、格納容器の冷却も促進され、格納容器内の水蒸気が凝縮し、水蒸気分圧が下がって格納容器内圧力が下がった、ということなのでしょうね。
それにしても現在の原子炉は生き物のようです。条件をどのように変化させたら状況がどのように変わるのか、やってみなければわかりません。

1号機格納容器への窒素ガス注入がはじまったのは4月7日です。週刊文春4月21日号によると、この対策を始める前において、東電の現地本部と東京の東電本社に置かれた対策統合本部との間で緊迫したやり取りがあったようです。
現地本部(免震重要棟)の責任者は第一原発の吉田昌郎所長です。本社からの無理難題な指示にも堪え忍び、あるいは毅然として対応するなど、評価は高い、ということです。

現地と東京の間では、毎朝、毎夕の2回、テレビ会議が開かれます。「そこでは連日連夜、必死の協議が続いていた。こここそ原発が危機的状況から脱するための心臓部だ。テレビ会議では誰もが熱い意見をかわし合った。だが、急ぎやるべきことはスムーズに決まっていた。それもそうだろう。日替わりのように発生する-それも想像を絶する新たな事態に対応するためには、一糸乱れぬ意思の疎通が重要だったはずだ。」

4月4日のテレビ会議で、吉田所長が1号機の窒素ガス注入に異議を唱えました。
東京側は「NRC(アメリカ原子力規制委員会)も強く主張していることもあり、1号機窒素注入をいち早く実施しなくてはならない」との主張です。
吉田所長は突然激昂し始めたといいます。「今、やっと均衡が保たれている。一定の安定状態にすることが可能となった!それは微妙な均衡、安定だ。にもかかわらず、そこへ、予想も付かないことをやること、それこそ大きなリスクとなる!」
「もし、格納容器に損傷があったらどうする? 窒素を高めに注入したら、蒸気が凝縮して水滴ができ、陰圧になると格納容器内に空気が入る仕組みが働き、爆発条件が満たされる-」「つまり、それこそ水素爆発の危険が発生する。そんなリスクは冒せない!」
吉田所長は「それでも窒素封入をやれと言うのなら、オレたちは、この免震棟から一歩も出ない! ここで見ている!」「もう、やってられねえっ!」とマイクを机の上に叩きつけました。
東京本社は技術者たちを福島へ急派し、吉田所長を説得しました。

こうして4月7日からはじまった窒素ガス注入だったのです。
経過としては、窒素注入開始直後に格納容器圧力が予測以上の速さで上昇し、「格納容器にはすでに水が入っているのではないか」と見られる原因となりました(4月9日)。しかしその後、格納容器圧力は逆に減少し始めました(4月17日)。

さらに今回、圧力容器冷却水を増加したら格納容器圧力が急減少を始めた、というわけです。急冷で格納容器内の水蒸気が凝縮し、水蒸気分圧が下がったのでしょう。
今回は窒素注入後ですが、窒素分圧が1気圧abs以上を確保していることを祈ります。

1号機の圧力容器圧力は現在でも4気圧G程度と高い圧力です。圧力容器に注入した冷却水が漏れているにしても、漏れ箇所では圧力差3気圧程度に抗して水を押し出しているわけで、冷却水注入量を6トン/時から10トン/時に増やしたら、少しは圧力容器内の水位が上昇してもいいと思うのですが、上昇しないようですね。

現在、1号機圧力容器に注入した冷却水がどこへ溜まっているかというと、東電は格納容器内に溜まっていると推定しています。タービン建屋地下の溜まり水が増えていないからです。しからば、すでに1号機タービン建屋地下に溜まった水はどこから来たのでしょうか。たしか高濃度汚染水だったはずで、圧力容器からの漏出しか考えられないのですが。

ところで、コメント時の私のハンドルをボンゴレからsnaitoに変更しました。実名を明らかにしているこのブログですから、ハンドルを実名以外とする理由もないからです。

それでは、良いGWを!
コメント
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