弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

福島第一原発の現状は?

2011-04-09 12:52:44 | サイエンス・パソコン
原発関連のニュースがめっきり減ってきました。
福島第一原発の1~4号機が実際にはどういう状況にあり、今後どのような対策によってどのように推移していくのか、という点に関し、私自身の知識も散漫になってわけがわからない状況です。

「タービン建屋地下とトレンチ内の高濃度汚染水を別の場所に移せば何とかなる」という報道が主流であるようです。
しかし、これら高濃度汚染水がどこから漏出しているのか、現在その漏出は止まっているのかどうか、わかったという話は聞いたことがありません。多分わかっていないのだろうと思います。汚染水の漏出が発生していると予想される区域には、震災後にまだ一度も人が入っていないのであろう、と思われています。

高濃度汚染水の移管場所として、「集中環境施設」やメガフロートを使うという報道はあります。そのために「集中環境施設」の低レベル汚染水1万トンを放流しました。しかし、現在の高濃度汚染水の汚染レベルがあまりにも高いので、保管場所からの漏出は許されません。「集中環境施設」もメガフロートも、1週間程度の補修では密閉性が確保できない可能性が高いだろうと予測されます。あまり期待しない方が良いでしょう。

3月29日に圧力容器の冷却方法でも書いたように、高濃度汚染水を今以上に増やさないことが肝要で、そのためには圧力容器に注入している冷却水を現在の「掛け流し」から循環冷却に一刻も早く移行することが大切だと私は思っているのですが、一向に具体化しません。
今でも「残留熱除去系を作動させる」という方針が聞かれます。しかし、残留熱除去系のポンプは原子炉建屋内に設置されているということで、まだ誰もそのポンプの現状を確認していません。放射能レベルが高すぎて人は近づけないだろうし、号機によっては核燃料プールへの放水が原因でその部屋は水没しているかもしれません。

残留熱除去系に代わる仮設の循環系の話題はあれこれ報道されています。
4月3日日経朝刊では「フランスのアレバから、汚染水を一時的に保管する組み立て式のタンクや放射性物質除去装置の提供を受け、除染した水を再び原子炉に注ぎ、仮設の循環冷却装置とする仕組み」が検討中であると報じられていました。
4月4日日経朝刊『原子力安全保安院は3日の会見で「外付けのポンプや電源、また原子炉につながる配管を活用し、別の冷却系を作ることは(汚染水除去と)並行して考えている」と話した。ただ、原子炉と冷却機能をつなげる作業が必要で、放射線量が下がり環境が改善しないと、その作業に着手できない。』
4月4日朝日『東電は、別の方策の検討も始めた。タービン建屋の水をそのまま原子炉圧力容器内に送り込む方法だ。・・・仮設ポンプを使って消火系の配管から注入する案も浮上している。』
産経新聞 4月6日(水)『事故対策統合本部が、建屋外部に水の循環・冷却システムを新たに構築することを検討していることが5日、分かった。・・・原子炉から建屋外に出ている5本の配管のうち2本を利用、途中に仮設の熱交換冷却装置を新たに設置してループ状につなぐ案などが浮上しており、必要な機材など具体的な調査に入る。・・・統合本部は既存設備の復旧に加え、外部構築を選択肢の一つとして検討を始めた。すでに建屋外部に出ている5本の配管のうち1本に、仮設ポンプを設置して外部電源でタンクの真水を注入している。関係者は、別のもう一本に海水との熱交換などの冷却装置を取り付け、タンクに戻し循環させることは可能とみている。専門家からもかねて既存設備の復旧にこだわらず、外部構築を急ぐべきだとの指摘が出ていた。』

報道を見る限り、思いつきのつぶやきがそのまま報道されているような印象を受けます。早い時期から発案し準備を進めているようにはとても思えません。的も絞られていません。最初の報道の後、フォローの報道がありません。

とにかく、次の二つの対策を同時並行で超特急で進めてください。
(1) 復水器、タービン建屋地下、トレンチのいずれかの溜まり水を取水し、冷却装置を設けず、仮設ポンプで直接圧力容器に注入する方法。
(2) 仮設冷却装置を設け、仮設ポンプを用いて圧力容器に注入し循環冷却する方法。取水位置は、圧力容器本体、復水器、タービン建屋地下、トレンチのいずれでもいい。

上記(1) の対策によってとにかく高濃度汚染水の増加を止めることが先決です。そしてこの方法で時間を稼いでいるうちに、(2) の対策を準備してスタートさせるのです。

高濃度汚染水は合計で6万トンも溜まっているそうですね。4月4日朝日朝刊では、圧力容器冷却水として合計24000トン、核燃料プールへの水投入で合計6300トンで、両方で3万トンだ、としています。圧力容器冷却水の一部は蒸気として放散し、核燃料プールへの投入量の一部は海へ流出したことでしょうが、現在原発内にどれだけ滞留しているかはわかりません。いずれにしろ、6万トンのうち、3万トン弱が圧力容器と核燃料プールへの水投入量起因です。残りは、震災前から圧力抑制室に溜まっていた水(合計で数千トン?)と、津波でトレンチなどに溜まった水、ということでしょうか。

現在、圧力容器への真水注入速度を低め、3炉合計で1日500トン程度だそうです。それでも10日で5千トン増えるのですから、循環冷却化を一日も早くスタートすることが必要と思われるのですが、現在どのように進捗しているのでしょうか。

現在、1号機の格納容器に窒素注入を行っています。中の雰囲気を窒素に置換するのではなく、窒素注入前の中の雰囲気はそのままにして、窒素を圧入して圧力を上げるのだそうです。注入前が1.5気圧absであったのを2.5気圧absにするそうです。
途中段階で、「予想よりも速い速度で内圧が上がっている。格納容器内の溜まり水が想定よりも多く、格納容器内の気体空間が少ないのかもしれない」という報道がありました。ということは、格納容器内にどの程度の水が溜まっているのか、予測されていないか、あるいは予測が外れた、ということですね。本当に何も分かっていないのですね。

当方、多忙で時間が取れず、まだ調べたいことはいろいろあるのですがここまで書くのがやっとでした。
コメント (3)
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