弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

海に流出した放射能量、格納容器の溜まり水

2011-04-21 21:41:15 | サイエンス・パソコン
東電が、4月1~6日に海に流出した2号機の高濃度汚染水の量と流出した放射能量を発表しましたね。
汚染水の量が520トン、射性物質の総量が約4700テラ・ベクレル(テラは1兆)ですか。

岸壁のコンクリート壁から汚染水の流出が発見された当初、東電は隣接するピットからの漏水であると推定し、まずはピットにセメントを流し込んで効果なし、次にピットにつながる流路に膨張剤・おが屑・新聞紙を注入したが効果なしでした。実は、流出経路が全く間違っていたのです。地下管路のどこかに漏れがあり、そこから漏れた汚染水が、ピットの底よりもさらに下の砕石層を通って壁の穴から流出していたのでした。
そのことにやっと気付き、砕石層に水ガラスを注入した結果として6日に流出が止まりました。

現場を知り尽くした人が見たら、流出口がコンクリートの亀裂などではなく水抜き穴であることにすぐ気づくだろうし、その穴の位置がピットの底よりもさらに低い位置であることも図面で確認できるはずです。そこまでピンと来れば、セメント流し込みや膨張剤流し込みなどで時間をロスせずに、迅速に流出を止められたはずと思います。

報道写真を見ただけでも、私のブログ記事圧力容器の冷却方法に対するxls-hashimotoさんの4月5日のコメントで
> ピットから出てる黒い水の勢いは、どこかでストームドレン(雨水排水管)に流れ込んで、その配管から出ている様に思われます。
> ヒットにヒビが出来て、あんなに綺麗に丸穴が開くとは思えません。
と看破されたとおりです。

また、専門家から見たら、水の流出を止めるのに水ガラスは当たり前で、セメントを流し込んでも効果がないことなど判り切っているといいます。現場では素人考えが幅を利かせているのでしょうね。

結果として、4700兆ベクレルの放射能が520トンの水とともに太平洋に注ぎ込まれました。
低濃度汚染水の意図的放出のときには、ロシアや韓国からクレームが付いたそうですが、その前に意図せずにその3万倍の放射能が流出していたわけですが、明日以降ロシアや韓国が何と言い出すのか、気にかかります。
それでも、レベル7を決めた大気への流出放射能量が37万~63万テラベクレルということですから、それに比べると100分の1ではあるのですね。

ところで、昨日
格納容器に水たまる=ロボ撮影の映像を公開―福島第1原発・東電
時事通信 4月20日(水)20時39分配信
『福島第1原発事故で、東京電力は20日、1号機の圧力容器を覆う格納容器内に水がたまり始めたことが分かったと発表した。冷却に向けた注水が続く圧力容器から流出した水とみられるといい、東電は水位などを詳しく調べる。
東電によると、圧力容器に入っている燃料棒の冷却に向けて、注水作業が行われている。注入された水が格納容器に流れたほか、水蒸気が格納容器内で凝縮してたまった可能性があるという。』
というニュースが流れましたが、続報が聞けません。

そもそも4月9日に福島第一原発の現状は?で1号機格納容器への窒素ガス注入に関連して、『途中段階で、「予想よりも速い速度で内圧が上がっている。格納容器内の溜まり水が想定よりも多く、格納容器内の気体空間が少ないのかもしれない」という報道がありました。』と書いたとおり、格納容器内に水が溜まっているのか?という報道は前から聞いていました。

しかし、格納容器内に水が溜まったら、その水圧で、格納容器のドライ部分の圧力に対して圧力抑制室の圧力は高くなるはずです。水の高さが5mだったら圧力差は0.5気圧(0.05MPa)になります。
ところが、経産省のプラント関連パラメータの2ページ目によると、1号機の格納容器圧力は、D/W(格納容器内)もS/C(圧力抑制室)もともに160kPa(0.16MPa)で同じであり、水圧が立っているようには見えません。それとも、この圧力測定値のどちらか又は両方とも、正確ではない、ということでしょうか。
むしろ、3号機の方が、D/W=106kPa、S/C=176.8kPaということで、格納容器内に水深7mの水が溜まっているように見受けられます。
コメント (3)
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