弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

特許法改正の進捗状況

2011-04-18 00:04:04 | 知的財産権
経済産業省から特許法等の一部を改正する法律案についてが公表されたのが、まさにあの3月11日だったのですね。
取り敢えず新旧対照条文を印刷したきり、大震災・大津波・原発事故にかまけて内容チェックには至っていません。
その法律改正は、現在国会でどのような位置にあるのでしょうか。調べてみました。

本件は参議院先議で、たまたま4月15日に参議院本会議で可決したところでした。参議院「特許法等の一部を改正する法律案」で確認することができます。
提出日 平成23年4月1日
参議院本会議経過
議決日 平成23年4月15日
議決 可決
採決態様 全会一致

衆議院についてはこちらで確認できますが、まだ着手されていないようです。

私や世の中が大津波と原発事故に目を奪われている間にも、特許法改正の手順は着々と進行していたのでした。

ところで、参議院「特許法等の一部を改正する法律案」に掲載されている「議案要旨」は、今回の特許法改正の骨子を知る上で簡潔にまとまっていましたので、下記にメモしておきます。

(経済産業委員会)
特許法等の一部を改正する法律案(閣法第四五号)(先議)要旨
 本法律案は、我が国の経済成長を支える新たな技術や産業の創出を促進するため、通常実施権の登録対抗制度の見直し、中小企業に係る特許料金の減免制度の拡充、冒認出願等に関する救済措置の整備、無効審判等の紛争処理制度の見直し等、知的財産の適切な保護及び活用を図るための措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一、通常実施権等の対抗制度の見直し(当然対抗制度の導入)
  通常実施権等は、その発生後にその特許権を取得した者等の第三者に対しても、その効力を有するものとする。
二、冒認出願等に係る救済措置の整備
  特許が、特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたとき又は共同出願違反に該当する出願に対してされたときは、特許を受ける権利を有する者は、その特許権者に対して特許権の移転を請求することができるものとする。
三、審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求の禁止
  無効審判手続において、審決の予告を行い、それに応じた訂正請求ができる手続を導入した上で、その無効審判に係る審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求を禁止する。
四、再審の訴え等における主張の制限
  特許権の侵害訴訟の終局判決が確定した後に特許の無効審決が確定したとき等は、訴訟の当事者であった者は、その判決に対する再審の訴え等において、当該無効審決等が確定したことを主張することができないものとする。
五、審決の確定の範囲等に係る規定の整備
  二つ以上の請求項に係る特許の無効審判及び訂正審判について、その審決の確定の範囲等に係る規定を整備する。
六、無効審判の確定審決の第三者効の廃止
  無効審判の審決の確定後に、当事者及び参加人以外の者が、同一の事実及び同一の証拠に基づいて審判を請求することができるものとする。
七、料金の見直し
 1 特許料の減免等について、その要件を緩和し、併せてその期間を第一年から第十年までに延長する。
 2 第十一年から第二十年までの意匠登録料を引き下げる。
 3 国際出願手数料のうち、調査手数料等について、法律で上限額を設け、具体的な額を政令で定める手数料とする。
八、発明の新規性喪失の例外規定の見直し
  特許を受ける権利を有する者の行為に起因して公となった発明については、内外国特許公報等に掲載されたことにより公となったものを除き、新規性喪失の例外規定の適用を受けることができるものとする。
九、出願人・特許権者の救済手続の見直し
 1 外国語書面出願及び外国語特許出願の翻訳文の提出について、提出期間の徒過に正当な理由があるときは、一定の期間は翻訳文を提出することができるものとする。
 2 特許料等の追納について、追納期間の徒過に正当な理由があるときは、一定の期間は特許料等の追納をすることができるものとする。
十、商標権消滅後一年間の登録排除規定の廃止
  商標権が消滅した日から一年を経過していない他人の商標又はこれに類似する商標の登録を認めないとする規定を廃止する。
十一、施行期日
  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする