弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

「あかつき」の金星周回軌道投入失敗

2010-12-08 20:32:56 | サイエンス・パソコン
金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入失敗は残念でした。しかし、宇宙開発で初めての試みに失敗はつきものです。何回も繰り返して成功に至る、それがアメリカや旧ソ連のたどってきた道でした。

あかつき 日本の惑星探査に暗雲 軌道投入に失敗
毎日新聞 12月8日(水)11時54分配信
『探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入は失敗に終わった。98年打ち上げの火星探査機「のぞみ」の失敗に続く再挑戦も実らなかったことで、今後、日本の惑星探査計画に暗雲が垂れこめる事態は避けられない。
 ・・・・・
政府の事業仕分けなどで宇宙事業はやり玉に挙がっている。あかつきは開発と打ち上げで約250億円を投入しており、「成果がない」との批判が出ることは必至だ。JAXAの管理体制など独立行政法人の見直し論に発展する可能性もある。中国など新興国の追い上げは著しく、「宇宙先進国」の座からの転落を招くおそれもありそうだ。』

たった250億円の予算で1回こっきりのトライをしてうまくいかなかったとき、結局日本ではこういうことになるのですね。
ソビエトは金星に61年から83年までベネラ・シリーズの16機を送り(そのほかに失敗して番号のついていないものなどが8機ある)、ベネラ3号ではじめてカプセルを金星表面に命中させることに成功し、7号ではじめて金星軟着陸に成功、9号ではじめて金星周回軌道に入りました。
アメリカの火星探査では、69年にマリナー6号と7号を相次いで打ち上げています。また、木星探査にはパイオニア10号と11号のペアを打ち上げ、木星と土星探査にはボイジャー1号と2号を相次いで打ち上げました。ボイジャー2号はさらに天王星と海王星も探査しました。
このようにアメリカや旧ソ連は、次から次へと打ち上げを繰り返し、あるいは同時に2機を打ち上げることによって成果を確実に出してきているのです。
(以上、野本陽代著「太陽系大紀行 (岩波新書)」から)

日本もたった1機の当面の失敗にめげず、何が本当に必要なのかを冷静に議論した上で次の方針を決めて欲しいです。

「はやぶさ」も、もしもはやぶさがカプセル回収に成功していなかったらで書いたように、もしサンプルリターンに失敗していたら同じようにひどい評価を受けたのでしょうね。たまたま成功したらものすごい賞賛の嵐になり、「はやぶさ2」の予算までついてしまいましたが。
コメント
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