大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年05月01日 | 祭り

<242> 献 氷 祭

      献氷に 舞ひ散る花の 遅ざくら

 五月一日、奈良市春日野町の氷室(ひむろ)神社で献氷祭が行なわれた。すっかり葉桜になった「一番桜」の愛称で知られる枝垂れ桜の下を潜って祭りの見学に伺った。奈良は古都だけあって、いろんな祭りが行われるが、この祭りもその一つに数えられる。遅咲きの牡丹桜は青嵐に落花盛んだった。

 氷室神社は和銅三年(七一〇年)平城遷都のとき、主に春日野に作られた氷池(製氷用の池)や氷室(氷の貯蔵庫)の守り神として祀られたのがはじめと言われ、祭神は仁徳天皇をはじめとする三神であると言われる。所謂、昔は厳寒期に氷池で凍らせた氷を氷室に蓄え、春分の日に氷室を開いて、秋分のころまで宮中に氷を献上した。

 神社は平安時代の貞観二年(八六〇年)、現在の地に遷座し、献氷祭ははじめ六月一日に行なわれていたが、その後衰退し、明治年間に復活して現在に至り、一日のこの日に行なわれるようになった。

 近年では製氷業者の信仰が篤く、例年大阪などの業者から献氷されるが、今回の献氷祭は、これまでのタイとコイを封じ込めた氷柱でなく、昇り龍を模った一対の氷の彫刻が献じられ、神前に供えられた。  写真は左から業者全員による手渡しの献餞、奉幣、献氷の儀で宮司に手渡される文献、一般参加者の拝礼、舞楽奉納。

                             


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