大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2019年05月12日 | 植物

<2684> 大和の花 (792) シロツメクサ (白詰草)                              マメ科 シャジクソウ属

     

 ヨーロッパ原産の多年草で、牧草として世界に広がり、日本には江戸時代にオランダから幕府に献上品が送られて来たとき、花器などの割れ物の箱の隙間に軟らかな枯草が詰められていた。枯草には種があり、蒔いたところ芽を出し、この草だったのでツメクサ(詰草)と呼び、白い花を咲かせるのでこの名がついたという。オランダゲンゲ、クローバー、苜蓿(うまごやし)の別名でも知られる。

 茎が地を這って長く伸び広がり、草原を被い尽くすほど群生する。葉は3出掌状複葉で、普通3小葉からなる。小葉は広倒卵形で、表面に斑紋の入るものが多く、早春より初冬のころまで枯れず、茎や葉が軟らかいため、牧草に適し、用いられて来たが、これが逸出して野生化し、いたるところに生え出し、雑草化して現在に至る。葉はときに4小葉のものも見られ、4つ葉のクローバーと言われ、希望、信仰、愛情に加え幸運がもたらされるとされ、喜ばれる。

 花期は4月から9月ごろと長く、冬でもときおり見かける。花茎の先端に多数の白い蝶形花が球状に集まり密につくので、全体で一つの花に見えるところがある。花はミツバチなどによる虫媒花で、それぞれの花には短い柄があり、受粉ととともに下向きになる特徴がある。実の豆果は花の後にも残る花弁と萼に包まれる。

  大和(奈良県)には極めて多い帰化植物の外来種で、草原の多い馬見丘陵公園では毎年大群生の花が見られる。公園ではときに母と娘がこの花を摘んで花束や花冠にしているのを見かける。 写真は一面に咲く花と花のアップ。 幼子にしろつめ草の軟らかさ

 <2685> 大和の花 (793) ムラサキツメクサ (紫詰草)                           マメ科 シャジクソウ属

           

 ヨーロッパ原産の多年草で、明治時代初期に、牧草として渡来し、逸出して全国的に野生化して見えるシロツメクサ(白詰草)の仲間の帰化植物である。茎は直立して高さは20センチから60センチになり、開出毛が多く目につく。葉は3出掌状複葉で、小葉は3個。長さが2センチから3センチの楕円形で、Ⅴ字形の斑紋があるものが多い。

 花期は5月から8月ごろで、茎頂に紅紫色の多数の蝶形花をほぼ球形状に密に集めて咲かせる。花はシロツメクサよりやや大きく、花序のすぐ下に葉が1対つく。大和(奈良県)ではシロツメクサの方が圧倒的に多いが、本種も牧草にされ、どちらかと言えば、宇陀地方でよく見かける印象がある。別名はアカツメクサ(赤詰草)。 写真はムラサキツメクサ。 そこここで田植ゑ初めの宇陀阿騎野

<2686> 大和の花 (794) ベニバナツメクサ (紅花詰草)                        マメ科 シャジクソウ属

                      

 ヨーロッパから西アジア方面が原産の1年草で、茎は下部で分岐し斜上気味に立ち、高さが80センチほどになる。葉は心形で先がわずかに窪む3小葉からなり、下部では長い柄を有し、互生する。花期は4月から8月ごろで、茎頂に直径2センチほどのほぼ円柱形の花序を立て、鮮やかな紅色の小さな蝶形花を多数密につける。

  治時代のはじめ牧草としてクリムソンクローバーの名で渡来した帰化植物であるが、あまり普及せず、その後、花卉として栽培されるようになり、この花卉畑から逸出し野生化して畦や土手などに生え出し、大和(奈良県)でも見かけるようになった。 写真は群生するベニバナツメクサ(左)と花序のアップ(右)。ともに桜井市笠の大和高原。   ダンディスム水玉模様の夏パジャマ

<2687> 大和の花 (795) コメツブツメクサ (米粒詰草)                           マメ科 シャジクソウ属

                                     

 ヨーロッパから西アジア一帯が原産の1年草で、世界各地に帰化し、日本では1936年東京で見つかり、現在では全国的に広がりを見せ、大和(奈良県)でも日当たりのよい草地などで他の雑草とともに群生しているのが普通に見られる。所謂、外来の帰化植物で、茎は細く、基部で分岐し、長さが40センチほどに伸びて横に広がり、群生は草原を被い尽くすほどになる。

 葉は長さが1センチほどの倒卵形の3小葉からなり、小葉の先はやや窪み、縁に不揃いの浅い鋸歯が見られる。花期は5月から7月ごろで、葉腋から花序を出し、長さが3ミリほどの黄色の蝶形花を数個から多いもので20個ほど集めてつける。花はクスダマツメクサ(薬玉詰草)に似るが、クスダマツメクサの方がやや大きい。米粒(こめつぶ)は葉によるものか、花によるものか、この名がある。また、キバナツメクサ(黄花詰草)コゴメツメクサ(小米詰草)の別名でも知られる。このところ繁茂を極め、道端などでもよく見かける。 写真はコメツブツメクサ。花期の群生する姿(左)、花のアップ(右)。   四月より五月微妙に花の色

 

 

 


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