大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2021年09月18日 | 植物

<3532> 奈良県のレッドデータブックの花たち(111) コイワザクラ(小岩桜)        サクラソウ科

                     

[別名] オオミネコザクラ(この名の方がよく知られている)

[学名] Primula reinii var. reinii

[奈良県のカテゴリー] 絶滅寸前種

[特徴] 山岳高所の岩場に生える多年草で、葉は直径4センチ前後の腎円形。質は軟らかく、縁は浅く5裂し、柄を有して根生する。花期は5月ごろで、高さ5~10センチの花茎を立て、先に1~5個の花をつける。花は紅紫色乃至は淡紅紫色で、5裂し、裂片は更に浅く裂けて、平開する。蒴果の実は長楕円形で裂片の尖った萼に包まれる。なお、花茎や葉には軟毛が多い。

[分布] 日本の固有種。関東地方北西部、中部地方南部、紀伊山地。

[県内分布] 五條市大塔町、天川村、下北山村、十津川村の大峰山脈、上北山村の大台ケ原山の高所の岩崖地。

[記事] コイワザクラの名は花をサクラの花に見立て、山岳の岩場に生えることによる。分布する地方によってその名を異にし、紀伊山地の大峰山系の個体はオオミネコザクラ(大峰小桜)、コイワザクラの変種として知られる秩父地方の個体はチチブイワザクラ(秩父岩桜)、中部地方南部北岳の個体はクモイコザクラ(雲居小桜)、群馬県の妙義山の個体はミョウギイワザクラ(妙義岩桜)のそれぞれ固有の名がつけられている。

 生える場所が岩崖地であることが多く、シカの食害はないようであるが、可憐な岩場に咲く花の魅力により園芸採取されることが減少の危険要因と言われ、レッドリストにあげられている。写真はオオミネコザクラ。5月の岩崖地を彩るかわいらしい淡紅色の花(左)、花と蕾のアップ(中)、果期の葉と実のついた姿(右)。

   生は希求  つまり

       ぼくらは希求の存在

   よたよた歩いていても

   その存在に変わりない


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