大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2016年04月10日 | 植物

<1563> タンポポの風景

         たけなはの春に気負へるたんぽぽの花一面の黄のさざ波

 花は露や雨を嫌う向きがある。このために露や雨を避ける方法を取っているが、殊に上を向いて咲く花は露や雨の影響を直接受けるので、これを防ぐ工夫をしている。例えば、フクジュソウ、タンポポ、チューリップ、ハス、リンドウといった上を向いて咲く花は、季節を違わず露や雨を避けるために、夜間や雨天には花弁や萼片を閉じてしまい、大切な雄しべや雌しべを守るように出来ている。受粉を終え、終末期に入った花は雄しべや雌しべを守る必要がないので、花は閉じることなく開きっ放しになる。ハスの花では開花から四日前後でそうした状態になり散ってゆく。

 この現象が一番身近に見られるのがタンポポである。タンポポは日当たりのよい草地では株を作って群生することが多い草花で、草地一面にタンポポの黄色い花が見られることがあるが、こうした場所を見つけておいて、晴れの日と雨の日に出かけてみると、風景が一変していることに気づく。黄色い花はよく目立つので、晴れた日と雨の日の様子がはっきりと比較出来る。こうした特徴により、タンポポの開花状況によって天気を言い当てることが出来、昔は天気予報にタンポポの花を利用したようである。

          

 タンポポはキク科の多年草で、雑草扱いされ、見向きもされないようなところがあり、踏まれることも稀ではないが、花はよく目につき、花が踏まれることは余程のことがなければ起きない。しかし、雨天で花が閉じている場合は花に気づかれず、踏みつけられることがある。これがタンポポという雑草扱いされる草花と言える。それでも、タンポポはロゼット状の葉を広げて地面に貼りつくように生えているのでなかなか強いところがあり、生き延びて行ける。

 このように、誰もが知る黄色い花のタンポポは昔から親しまれている草花の代表のようなところがあるが、晴れの日と雨の日で花の様子が一変するというようなことは案外知られていないように思われる。では、ここに晴れの日と雨の日のタンポポの花の風景を写真で比較してみたいと思う。 写真はタンポポの花の比較による草原の風景。左二枚は四月四日の晴れの日、右の二枚は四月七日の雨模様の日に撮影したものである。

 


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