<2678> 余聞、余話 「オオルリ」
大瑠璃の大演壇の五月かな
昨日の五月五日は五節句の一つである端午の節句、子供の日だった。今日六日は二十四節気の立夏で、いよいよ夏の到来。即ち、初夏である。初夏と言えば、山野は新緑の候。標高の高い山岳では春の実感。大峰、台高の山々では澄んだ美声の持主オオルリが晴れ渡る大空の下、高木の天辺に陣取って、見晴るかす四辺に向かって高らかに囀っているのが聞かれる。それはまさに美声オオルリの大演壇の図である。
オオルリはヒタキ科の夏鳥で、四、五月ごろ日本にやって来て、渓谷や山岳で繁殖する。スズメよりやや大きい全長十七センチほど。オスの頭部が光沢のある瑠璃色をしているのでこの名がある。オスは縄張りを主張し、メスを意識して囀る。ウグイス、コマドリとともに美声を誇り、日本の三名鳥にあげられている。因みにメスは褐色を帯びる。
このよく透る高らかなオスの美しい声はメスへのアピールに違いないが、自然の中の心地よい響きであって、その周辺に存在するすべての生きものに影響していると思えて来たりする。それほどにオオルリの澄んだ高らかな声は麗しく聞こえる。 写真は大空の下、ウラジロモミの頂で囀るオオルリ(大台ヶ原山の標高一六〇〇メートル付近)。