大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2016年05月22日 | 写詩・写歌・写俳

<1606> 五 月

      新樹 新緑 瑞々しく

     薫風 青嵐 爽やかに

     渓蓀 杜若 うるわしく

     葭切 時鳥 高らかに

     立夏 小満 夏の初め

     国旗 鯉幟 五月の標

       

 五月、初夏の候。万物の勢いづく季節。所用のついでに奈良市佐紀町の水上池に出向いて磐之媛命陵の辺りを少し、カメラを持って歩いた。近くでは田植えの準備に取りかかっているのが見られ、鳥たちの囀る声が聞かれた。オオヨシキリはアシの中。ケリは田植えの前の田んぼの中、ヒバリは空高く。キジは遠い草叢で。カルガモは仲良く巣作りの場所探しているのか、湿地に見えた。

                

 チガヤの花である茅花(つばな)が白い穂を薫風に靡かせながら輝いているのがそこここに見られた。茅花は仲春の季語であるが、穂に出て薫風に靡く銀白色の花は「茅花流し」と呼ばれ、初夏の季語になっている。これには季語の難しさがうかがえるところである。それにしても、五月は明るい気息の侯である。 写真は五月を象徴する上段左から新緑、コイノボリ、茅花流し。下段は仲睦まじい番いのカルガモ。