<205> キバナノアマナ
見つけ出す この喜びよ 絶滅が 危惧されてゐる キバナノアマナ
キバナノアマナはアマナに似たユリ科の多年草で、草丈二十センチ前後、線形で緑白色の葉を有し、三、四月ごろ花被片六個の花を咲かせる。アマナが白い花であるのに対し、キバナノアマナは黄色いのでこの名がある。中部以北と四国に分布するとされているが、大和でも吉野地方に見られる。日当たりのよい草原や林縁などに生え、吉野のものは自生地が限定的で極めて少なく、奈良県のレッドデータブックには絶滅寸前種としてあげられている。
このように、 キバナノアマナは、大和ではなかなか出会うことが出来ない貴重な草花であるが、 今日は五條市西吉野町を歩いていたときこの花を偶然に見かけた。 果樹園の斜面になった草原にネコノメソウやタネツケバナやニリンソウなどとともに黄色い花を咲かせ始めていた。 周囲を覗ったところほかに五株ほど見られ、みな蕾をつけていた。
どんな出会いも、 出会いというのは縁(えにし)にほかならないが、 絶滅寸前種のような特別な草花に、それも思いがけず出会うというのは最高で、花を見たときには「やたー」と小躍りしたくなる気持ちになった。 以前に出会った場所とは異なり、新しい場所なので余計に嬉しかった。四月に入れば、賑やかに花を咲かせるだろう。 こういう場所は、そっとしておいて、いつまでもその生育条件が保たれていて欲しいという気になる。 写真は咲き始めたばかりのキバナノアマナ。