大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年03月19日 | 写詩・写歌・写俳

<199> アオイスミレとミヤマカタバミ
        すみれ咲く 無事なるゆゑの 姿なり
  やはり彼岸にもなると陽光が一変して、風は冷たいものの、冬の感じではない。郊外の道端などでは春の花が咲き出して、 賑やかになって来た。 今日は奈良市高樋町から菩提山町付近を歩いた。スミレの仲間では最も早くに開花するアオイスミレと白い五弁の花が可愛らしいカタバミ科のミヤマカタバミが見られたので紹介したい。
  アオイスミレは葉が円心形で、葵祭りのとき用いるフタバアオイの葉に似るのでこの名がある。花の側弁が脇をしめたように完全に開かないのが特徴で、花の色は白色から淡紅紫色まで変化がある。特に雌しべの先端部が下に向いてカギ状に曲がっているので、この部分を見ても他種との判別が出来る。このスミレはどこにでも見られるスミレではなく、生える場所が限定的なので、 咲いた花を見ると、 無事であったかとほっとした気持ちになる花の一つである。

                  

  ミヤマカタバミは低山帯に多く見られ、四月ごろが開花時期であるが、大和では山裾でもよく見られる。三角状の小葉が三つつきカタバミの葉に似るが、葉はカタバミよりもかなり大きい。花は白色、もしくは白色に細い紫色の条が入る。草丈は十センチ前後。ミヤマカタバミに似たコミヤマカタバミは針葉樹林帯に生えるが、大和では標高千五百メートル以上の深山で見かける五~七月ごろの花である。その名が示す通り、ミヤマカタバミよりも全体に小振りである。 写真はアオイスミレ(左)とミヤマカタバミ(右)。