一昨日のドイツ人遍路さん、「次は何処泊るの?」と聞くと、「善根宿」といった。やはりそうだったんだね。経費節約タイプだったんだ。うちに来てもらって悪かったかなあ。ホームページをみて、納得の上で予約してくれたから気にすることはないと思うが。彼は遍路のあと、長野で合気道をするらしい。8月24日に帰国する。武道家かあ、道理で体格もいいし、タフそうだ。真夏に歩き遍路をしようなどという人の体力は、尋常でない。
「善根宿」で検索するとズラリとリストがあがってくる。1000円、2000円で泊れる。安い。主にこういった宿を利用して、数日に一度ちゃんとしたところに泊まって、風呂にはいって、ゆっくり眠る、というやり方も安上がりでいいかもしれない。若い女性も善根宿に泊まるらしい。外国人女性も。このようなところで疲れはとれるのだろうか。
一昨日、雲辺寺の山道で遇ったお遍路さんが岡田さんまで行けたか気になったし、お父さんがお元気かどうか、お顔を見たかったので、昨日、お魚を手土産に池田まで出かけた。
「こんにちはー」
と声をかけると少しして岡田のお父さんが出てきた。
「風邪ひいたらしくて、寝とった」
もともと、スリムな体型だけど、また少しお顔が細くなっている。
「88やからなぁ」
と沈んだ声でおっしゃる。こればかりは仕方ない。どうか、新鮮なお魚食べて、精をつけて、夏を乗り切ってほしいと願うだけだ。私が80まで、まだ20年近くある。10年は大丈夫だろうけど、その先は元気で働けるだろうか。私の目標であるお父さんには、いつまでも元気でいてほしいなあ。
息子さんのお嫁さんも顔をだしてくれた。感じの良い笑顔で、充分跡継ぎをしておいでだ。岡田さんではほとんど休みがないはず、働き者のお嫁さんに頭が下がる。遍路宿の女将さんという仕事が好きなんだと思う。桃と、真っ赤に熟れたトマトをいただいて帰った。満田越えを歩くとトマト畑があり、池田はトマトの産地であることがわかる。
今朝のニュースで、中村紘子が亡くなったときいた。学生時代、文化祭のイベントのひとつとして庄司薫の講演があった。芥川賞受賞作「赤頭巾ちゃん、気をつけて」が流行っていたころだ。私も喜々として庄司薫を見に行ったクチである。その後、中村紘子と結婚。そうだ、彼は小説のなかにも中村紘子を登場させ、憧れのひとであると書いてあったっけ。執筆家としての庄司の名は全く聞くことがない。ネットによると、株で儲かったので本を書かなくても暮らしができるとか。そんなもんじゃあないだろう。お金のためでなく、書きたいから書くのでしょう?