山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

二宮尊徳のこと

2007-06-19 07:03:17 | くるま旅くらしの話

今日からしばらくの間、今回の旅の中から思い出し話を拾って紹介したいと思います。

先ずは東北ではなく、隣の栃木県芳賀郡に属する二宮町の由来に関わる、二宮尊徳の話です。言うまでもなく、二宮町は、二宮尊徳によって再興された土地であり、町の名の二宮というのも、ここから来ているのだと思います。

現在は、二宮町は栃木県が日本一の生産量を誇る、とちおとめなどのイチゴ生産の中心地として、或いは関東平野の沃野に稔る農産物の生産地として、尊徳が苦労された時代とは全く違った豊穣の地となっています。

二宮尊徳という人は、江戸時代の仕法家です。今で言えば、経営コンサルタントと言ったところでしょうか。しかし、器用に頭と口先だけで経営の相談事を引き受けているのが多い、現代のコンサルタントのような人ではありません。小田原で殿様から下野の桜町の復興を依頼された時には、自分のそれまで培ってきた全財産を売り払って、決死・不退転の覚悟で、未だ行ったことも無い未知のその桜町という地に赴任したのです。

当時の桜町地域は、土地の荒廃が酷く、農耕を諦めて逃散する農民も出るほどだったといいます。この土地の生産性を高め、収益力を上げよというのが殿様の要請だったわけです。最初の頃は、なかなか上手く行かず、反発する農民もあり、又上司との関係も上手く行かないことなどがあって、辞任願いを出したこともあったようです。又、或る時は成田山に籠って断食を行なったこともありました。このときは尊徳が居なくなって、初めてその存在の大きに気づいた農民が、125名も集って尊徳を迎えに行ったということでした。

それ以降、様々な挫折を乗り越えて、遂に桜町の復興を果たしたのでした。天保の飢饉の際にも、一人の餓死者も出さずにこれを乗り越えたということでした。桜町仕法と呼ばれたこの復興のための考え方、やり方は、殿様初め世の注目するところとなり、その後は尊徳への依頼や相談事が殺到したようです。しかし何せ農民の出であり、身分制度の厳しい封建社会の中では、彼の本当の本領発揮にまでは至らなかったのではないかと思いました。もし世が封建社会ではなく現代であったら、二宮尊徳の才能はもっともっと存分に発揮されたに違いないように思うのです。というのが、私の感想です。これほど活躍した尊徳なのに、最晩年の身分は小田原藩の御普請役に昇進しただけでした。

今回訪ねた町立の二宮尊徳資料館の傍には、国指定の史跡として桜町陣屋が保存されており、又その隣には尊徳を祀った二宮神社があります。その神社の境内には、尊徳の道歌を刻んだ碑が建っています。道歌というのは、自分の考えを広く他人に解って貰うための歌のことを言います。

「声もなく 臭いもなく 常に天地は書かざる 経を繰り返しつつ めしと汁もめん着ものは 身をたすく その余は我を 責むるのみなり 天津の恵みつみおく 無尽蔵 鍬でほり出せ 鎌でかりとれ」

これを読んで、何ともはや、大変なものだなと思わずにはいられませんでした。尊徳という人の凄まじい生き方が伝わってきます。半端な気持ちなど微塵もありません。もし些かでも自分に対する甘えがあったら、このようなことを他人に言える筈がない、と思うのです。

尊徳の教えを要約すると、「至誠」「勤労」「分度」「推譲」「積小為大」「一円融合」となるのだと、資料館のパンフレットに書かれておりました。全て現代にも通じる人間としての大切な心得であり、世の中を豊かにする(心の世界を含めて)ための基本が示されていると思います。

1時間ほどの訪問でしたが、何だか尊徳先生に気合を入れられ多様な感じになり、背骨を糺されたのでした。これから先ももう少しこの人のことは調べ、学びたいと思っています。

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ブログ再開します

2007-06-18 06:48:46 | 宵宵妄話

いつも、旅が終わって1週間ほどしてから旅の記録の整理にかかるのですが、今回は少し書き出しのペースが遅くて、昨日ようやく脱稿というのか、一通り今回の東北の春訪ね旅30日分の記録の整理が終わりました。その所為もあってブログの方は少し休ませて頂きました。というのも、今月末から北海道への旅を考えていますので、その出発前までにはどうしても終わらせておこうと思ったからでした。

今回の旅は今までと違って、桜見物や自然探索というような観光的なものではなく、旅先の地元の様子を知ろうという視点で日々を過ごしたことが特長だったと思います。地元の様子というのは、その土地々々の歴史や文化を知るという様なことです。これはあまり堅苦しく、つまりは学術的に探求するような姿勢ですと、直ぐに億劫になること必定ですが、私どもの場合は、かなりラフな考え方でいますので意外とこれからも続けられるような気がします。ま、野次馬みたいなものです。

今回は「へのへのの旅」の下見などといって、一戸から九戸、そして遠野というそれぞれの地元を対象の旅でしたが、いろいろと違いがあって、なかなか面白いものでした。南部三郎光行いう祖先は同じでも、枝分かれした子孫はお互いの主張の違いなどから、戦を繰り返し、幾つもの悲劇を生み出しているような気がしました。

また、春を訪ねたのですが、これは存分に味わったと思います。奥入瀬や十和田の森、横浜の菜の花、その他どこへ行っても新緑は大地を覆って、生き物たち春の喜びを歌っていました。春というのは、私の心の中のイメージとしては、北の山国の中にふんだんにあるような気がします。これからも毎年北国の春を満喫したいと思っています。

記録の方は、400字詰め原稿用紙で220枚ほどの分量でしたが、これを製本すると70ページ強の冊子となります。これからその製作に入り、それが終われば、北海道の旅くらしの準備に入ります。明日から、ブログの方も書き続けて行く考えです。

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温泉の話⑩(東和温泉)

2007-06-12 02:54:09 | くるま旅くらしの話

今日は東和温泉:日高見の霊湯を紹介します。この温泉は、岩手県の略中央部にある東和町(今は合併して花巻市になりました)にあります。東和町と言えば、子泣き相撲や日本一の毘沙門天(一木で彫られた毘沙門天像は3mを超える巨大なものです)が有名です。

ここを訪れた何度目かの時、成島三熊野神社を訪ねたのですが、境内の奥にある毘沙門天を見せて頂き(これは有料)、その時に案内してくれた方が、ふと目に入った泣き相撲のポスターの行司さんに良く似ていたので、お訊きしたらそうだとおっしゃるので、お願いしてそのポスターを頂戴してきたことがありました。今回花巻市のガイド資料を見ましたら、子泣き相撲の紹介の所にやっぱりその方の写真が載っていました。何となく懐かしく嬉しくなりました。

さて温泉の方ですが、どういうわけかここへ来るとこの温泉に入ってしまいます。というのも実はここの料金は600円もするのです。何時からだったか忘れましたが、少し遅い時間帯だと100円割引で入れるようです。都会の銭湯などの料金から較べれば、さほど高いとも思われず、何をけちなこと言っているのだと思われる方も居られるでしょうが、年金暮らしには二人で一度の入浴代が千二百円となると、これは朝食2回分には匹敵するほどになりましょう。せいぜい500円が限度ではないかと決めているのです。

ところがどういうわけか、この温泉に入ってしまうのです。とりわけて他の温泉に較べて特別に優れたものがあるとは思えないのですが、これは何故なのでしょう。自分たちにもよく分かりません。恐らくここに来る時は温泉に入らなければならないタイミングというかニーズが大きい時なのだと思います。くるま旅では泊りやすい条件にあるロケーションなのかも知れません。ま、このような温泉もあるのだということでご参考にしていただければと思います。

以上で今回の旅の中での温泉の話は終わりにします。この他にも幾つかの温泉を利用していますが、全てを紹介する必要もないように思いますので、10件でやめることにします。現在今回の旅の記録を取りまとめ中で、実の所ブログ投稿が邪魔の気分になっています。それで、明日から少し休むことにします。

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温泉の話⑨(水明温泉)

2007-06-11 07:42:18 | くるま旅くらしの話

旧上北町には6つの温泉があります。昨日紹介した玉勝温泉の他に、温泉旅館水明、天然温泉まつのゆ、さくら温泉、姉戸川温泉、八甲温泉の5つです。未だそれらの全てに入ったわけではないのですが、これから機会を捉えて、一つずつ入ってみようと考えています。

今日は、この中で最も利用回数が多い水明温泉について紹介したいと思います。玉勝温泉は、JR東北本線上北町駅の近くにありますが、水明温泉は少し離れた南に位置し、道の駅:小川原湖からは略玉勝温泉と同じくらいの距離にあります。ですから、道の駅を利用させて頂いている私どもからは、同じような距離にあります。この温泉は、旅館の名が付いているように、玉勝温泉と同様、本来宿泊客を中心に経営されている温泉旅館のようです。それほど大きな規模ではなく、温泉も宿泊棟の奥まった所に作られています。

私どもがここを良く利用している理由は、ここには小さいながらも露天風呂があるからです。露天風呂は、外気に面しているので、お湯の温度が下がり、長湯を楽しむことが出来るからです。邦子どのはのぼせ性なのか、内湯だけの温泉では長く入ることが出来ず、温泉を楽しむのが半端になってしまうので、露天風呂があるところを好むからです。

温泉の周りはカラマツやヒバの林があり、それらの新緑を眺めながら、そよ風の吹く湯に浸っていると、まさに極楽、ごくらく気分です。森田式治療法というのがあり、その中には温泉の入り方も含まれていますが、それにあやかって、いっぺんに身体を洗わず、まずは湯に浸った後は、歯を磨いてもう一度湯に浸かり、次は頭だけ洗って、湯に入り、次は身体を良く洗って湯に浸りというふうに、何度も入浴を繰り返します。森田式両方では、もっと細かく腕一本、足一本というふうにやるらしいですが、それほど神経が参ってはいませんので、3度くらい繰り返せば充分です。時々冷たい水を身体に掛けることも効果がるようです。

今回は2度この水明温泉に来てたっぷりと入浴を楽しんだ次第でした。上北の温泉はどこへ行っても気さくに入れるいい温泉ばかりなのです。料金は、どの旅館も200円台です。

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温泉の話⑧(玉勝温泉)

2007-06-10 02:17:42 | くるま旅くらしの話

青森県にある日本で11番目に大きな湖は何というのか知ってますか?と突然尋ねても、それが小川原湖だと直ぐに答えられる人は、小川原湖近くに住む人を除けば、殆ど居られないように思います。小川原湖は、海水が混ざった塩湖で、シジミなどが名産となっている他、ワカサギなどの小魚の佃煮なども名物となっています。

この小川原湖の西にあるのが東北町ですが、東北町は今回の合併で上北町と一緒になりました。下北は有名ですが、上北という名は上北町という町がなくなってしまうと、忘れられてしまうのではないかと心配です。というのも、上北町には上北地方を代表するような温泉が幾つかあるからです。私の感覚では、東北町の温泉というよりも上北町の温泉と言う方がしっくりします。私は、この上北町の温泉の大ファンなのです。

上北町の温泉は天然掛け流しのものが多いのですが、たくさん温泉があるのに、温泉街などという大げさな建物も通りも無いのが気に入っています。ごく日常的に銭湯に入る気分で天然温泉を楽しめるというのは最高です。偶には気取った湯船も楽しみですが、基本は暮らしに密着した銭湯のような温泉が私は好きです。今回の旅の目的の一つが、ここの温泉に入りながら、1週間くらいのんびり過ごすことでした。実際にそうはゆきませんでしたが、5日ほど滞在しましたので、まずは満足です。

今日はその上北の温泉の中の玉勝温泉というのを紹介します。この温泉は最近TVで取り上げられ放映されたということですが、残念ながら私には見る機会がありませんでした。玉勝というのは、ちょっと変わった名前ですが、思うにこれは小川原湖にまつわる伝説の登場人物から取った名称だと思います。玉というのは玉代姫、勝というのは勝代姫のそれぞれ頭の一字を取ったものでしょう。

この伝説は、はるばる都から父を訪ねてきた二人の姉妹が、ようやく此処まで来て父の消息を尋ねあてたのですが、その父は既にこの世の人ではなかったというのを知って、姉の玉代姫は湖に身を沈め、やがて妹の勝代姫も湖に身を投げたという悲しい話です。そして姉が身を沈めたのが姉沼、妹が身を沈めたのが小川原湖となったという話です。

玉勝温泉は少し湯の温度が高いのですが、これは入れないほどではなく、内風呂だけで露天が無いので、そのように感じるのかもしれません。大きな湯船が真ん中にあって、その周囲が洗い場となっていますが、何だか気楽な銭湯に入っている雰囲気で、いいものです。サウナも併設されており、こちらの方はあまり高温ではないので入りやすく、水風呂に入った後は爽快です。

温泉は日帰り入浴施設だけではなく、もともと旅館に併設されたものであり、湯治などに利用することも出来るようです。道の駅からは車で5分もかからない距離にあり、風呂から出た後は汗を噴出しながら駅に戻り、ビールで乾杯の後、汗が引くまでのんびりと夕時を楽しんで夜を迎えます。

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温泉の話⑦(温湯(ぬるゆ)温泉)

2007-06-09 09:22:11 | くるま旅くらしの話

今日は東北地方にたくさんある温泉の中で、私が今のところ最高に気に入っている温泉の一つ「温湯(ぬるゆ)温泉」の紹介です。温湯温泉は、青森県南部の黒石温泉郷の中の一つで、岩木川に合流する浅瀬石川が流れを少し緩める八甲田山系の山の麓あたりにあります。田舎館の道の駅からはR10210分ほど、反対側にある道の駅:虹の湖からも10分ほどの距離にあり、国道から少し入った所に共同浴場が設けられています。

この湯は鶴の名湯とも呼ばれ、温泉の近くには湯治宿も何軒か建っています。その昔、傷を負った鶴が湯に浸って元気になって飛び立つのを見た人が、この温泉に気づいたとか。それで鶴の湯の名が付いたと言うことで、動物が傷を癒すために湯に浸かるの見たと言う話はいろいろありますが、鶴というのはあまり聞いたことがありません。温泉の由来書きが掲げられていますが、これは本当なのだと信ずることにしています。

この温泉が気に入っている理由は、勿論お湯が良いことです。温湯(ぬるゆ)というほどぬるくは無く、結構熱いのですが、良いお湯の条件は、お湯から上がった後に流す汗が爽やかで、程よい温もりが持続することだと思っていますが、ここの湯はまさにその見本のような気がします。しかも料金は200円を切って、180円也。建物も浴槽も清潔で、申し分無しの温泉です。そして何より嬉しいのは、何とこの温泉は朝4時から入れるのです。駐車場に泊る場合は、300円也の料金を払わなければなりませんが、朝4時から入れると言うのは、これからの季節には是非一度試してみたいものです。番台の人に訊くと、朝4時でもドアが開くのを待っている人が、何人か居られるということですから、驚きです。いろいろな場所の温泉を利用させて貰っていますが、日帰り入浴で朝時から営業をしている所は、ここの他は知りません。

風呂を出て駐車場に向う間にある店の脇には、幾つかの入浴来訪者への呼びかけの看板があります。

「よぐきたな ささ さびはで 湯こさはてこい あじまし いい湯こだよ」(意味のわからない人、店の人にきいてね)

店の人には訊かなかったのですが、多分「よく来たね さあさあ、寒いからまずはお湯に入ってきな 温まっていい湯だよ」というような意味ではないかと思いました。「あじまし」という言葉には自信がありません

今回は2度ほどお世話になり満足しました。今度行くときは駐車場に泊らせて頂き、朝1番の風呂を楽しませて貰おうと考えています。
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温泉の話⑥(雫石温泉あねっこ)

2007-06-08 05:04:48 | くるま旅くらしの話

雫石(しずくいし)といえば、私のような還暦を過ぎた世代では、自衛隊の航空機と民間機が衝突した事故を思い浮かべます。これは雫石在住の方にとっては、あまり嬉しい記憶ではなさそうです。日本では最初の空中衝突事故であり、当時世界でも最悪の航空機事故として取り上げられ、連日新聞紙上を賑わしたニュースでした。民間機(全日空)は搭乗者全員162名が亡くなりましたが、自衛隊機のパイロットは脱出して無事でした。

私はもともと高所・閉所恐怖症の嫌いがあり、洞窟などに入るのは苦手なのですが、閉鎖された空間で辛抱を続けなければならない飛行機も、この事故以来特に利用するのに抵抗を覚えるようになりました。とにかく乗ってしまえば、自分の意志で自由に逃げ出すことは不可能なのですから、私にとっては、飛行機というのは心理的にはありがたくない乗り物です。今は海外に行かない限り、仕事で飛行機に乗ることはなくなりましたので、ホッとしています。飛行機でも、自衛隊機のように自分の意志で飛び出せる奴なら、スピード感を満喫するには怖さは感じないかも知れません。何か、変な話となりました。言いたかったのは、雫石という地名があることを知ったのは、不幸な航空機事故があったからなのだということです。

その雫石に、最近は時々お邪魔しています。角館から盛岡に向かう国道46号線を利用することが結構多くなったからです。今回も角館から同じ道を選び、雫石の道の駅にお世話になりました。雫石町は盛岡市に隣接していますが、ここには温泉として名のある所として網張や鶯宿があり、この他にも幾つか良い温泉があって、私どもは道の駅に併設されている雫石温泉あねっこというのを利用させて貰っています。

雫石の道の駅は、秋田からの山道を降りてきた所にあり、市街地からはかなり遠い場所にあり、車があまり通らなくなった時間帯では、やや寂しい感じがしますが、温泉はそのような場所の方が何となく相応しいような気がします。新しく作られた所為なのか、料金が少し高くて500円也となっています。温泉の造りは最近の日帰り入浴施設としては平均的なレベルにあると思います。くるま旅では、利用価値の高い温泉施設の一つだと思います。 

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温泉の話⑤(八乙女温泉)

2007-06-07 01:17:32 | くるま旅くらしの話

 秋田県の角館という町が好きで、1年に一回以上は訪ねるようにしています。桜の季節は勿論ですが、季節を問わずこの町には惹かれるものがあります。我が家の味噌は、その殆どをこの町の醸造元から調達しています。

 その角館を訪ねる時の定宿(といっても車を駐車させて頂いて一夜を過ごすだけなのですが)は、隣の中仙町(今は合併して大仙市となりました)の道の駅なのです。ガイド書などではこの道の駅にも温泉があると書かれていますが、建物の周りを幾らグルグル廻ってみても温泉らしきものの施設は見当たりません。

 初めて来た時は、期待はずれでがっかりしたものでした。しかし、翌朝になって散歩をしていますと、道の駅から700mほど離れた八乙女公園の麓に小さな温泉施設があるのを見つけました。それが八乙女温泉でした。八乙女公園は、運動場や体育館なども併設されており、このようなところにこんな立派な施設があるんだ、と感心したのですが、その中に温泉があったのには驚きました。

 温泉は、地元の人たちが共同浴場として大切に利用しているらしく、大々的な入浴施設とは全く違った、ほんとにこじんまりとした施設で、よそ者が入らせて貰ってもいいものかと、最初は何だか遠慮気味でした。一度に大勢の人がやってきたら、この温泉の運営は出来なくなってしまうのではないかと思われます。湯船は4、5人入れるくらいのものが一つ、洗い場も5、6人で一杯になってしまいます。その他サウナや露天風呂など一切ない、家族風呂をホンの少し拡大した程度の規模なのです。

 もう5、6回お世話になっていますが、私としては、この小さな温泉が気に入っています。この風呂に入ると、地元の人たちのくらしの温もりが伝わってくるような気がするからです。この風呂に入りに来られる人たちは無口の人が多いようです。大声でしゃべりまくるような人に会ったことがありません。一言二言、地元の言葉で会話を交わされる程度なのですが、無駄がなくいっぺんで相互の意志が通じてしまっているようです。勿論私には何のことか解らないのですが、顔を見ていると充分通じていることがわかるのです。「○○がァー」、「だァー」で終わるのです。東北の人々の会話能力には驚くばかりです。標準語のコンプレックスを感じて、私も話しかけられない限りは、黙って風呂を味わっています。

狭い風呂というのは、窮屈でゆったり感が損なわれるような感じがするものですが、ここの風呂はそれがないのが嬉しいのです。今年も2度入らせて頂きました。料金は200円也です。今年はあと2回くらいは入れるチャンスがあるのではないかと思っています。

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温泉の話④(黄桜温泉)

2007-06-06 09:31:38 | くるま旅くらしの話

 日本海沿岸には、夕日の名所と呼ばれる所がたくさんあります。最初の頃は、何故そうなのかがよく理解できませんでした。日本海といえば、北の方にあるという感覚から抜け出ることが出来ず、どうして北なのに夕日なのだ、などと思ったわけなのです。しかし、太陽を中心に思い浮かべながら、地図をよく見てみると、日本海というのは、太平洋が東にあるのと同じように、ちゃんと西側に位置しているということが解りました。日本海は北の方にあるという思い込みは、太平洋を近くに見ながら育った者の愚かな錯覚だったわけでした。

 その日本海の夕日を、温泉に入って味わえる場所が、東北地方には何箇所かありますが、その代表的なのは、象潟(にかほ市)の道の駅に併設されている「合歓(ねむ)の湯」ではないかと思っています。ここはお風呂が4階だったかの高い所に展望風呂として設置されており、居ながらにして大きなガラス越しに日本海に沈む夕日を見ることができます。

 しかし、夕日を見るための条件として、晴れていて、水平線に雲がないというのが満たされないと、夕日を見ることは叶わず、今までたった一度だけしか、それを思いのままに楽しむことは出来ませんでした。

 ところで、今回はあわよくば二度目のそれを楽しもうと思って立ち寄ったのですが、天候は雲だらけで悪いし、道の駅の駐車場は車だらけで、建物付近は人だらけでごった返しており、とてもとても願望など叶えられるはずもない状況でした。ゴールデンウイークの混雑は、にかほ市にまで交通渋滞をもたらし、信じられないほどの異常現象が起こっていました。

 こうなると、次にゆくところはもう決まっています。本荘(今は由利本荘市)から右折して国道107号線へ入り、30分ほど走ると、道の駅:東由利に到着します。ここがいつものお目当ての場所です。象潟の湯がダメだった時は、いつもここにある黄桜温泉に入って疲れを癒すことにしています。

 この地は、黄桜の里を打ち出しており、道の駅から少し離れた八塩山麓にウコン桜や御衣黄などの黄桜を植えた公園があり、毎年そこで黄桜祭りを開催しているようです。黄桜温泉は、そのような地元の人の思いを込めて名づけられたものだと思います。

 今回は雨の中の入浴となりましたが、ここの風呂は、勿論内風呂主体なので何の問題もありません。泡風呂、サウナなどもあり、今回は久しぶりにサウナで汗を流し、水風呂に入って気分転換を図りました。料金は2時間まで350円也。まあまあ妥当でしょう。駐車場も広く、夜間も比較的静かなので、ここには何度も泊らせて頂いています。

今回は、何処が主役かわからないような話となりましたが、あてが外れた時に楽しめる場所も大切なような気がしますので、紹介しました。

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温泉の話③(鳥海温泉)

2007-06-05 06:45:40 | くるま旅くらしの話

  太平洋側の守谷を出発し、福島県、山形県の山間部を抜けて、庄内平野を日本海に向けて走って、海岸線に辿り着いた所が、山形県の遊佐町です。商港酒田の隣、秋田県の象潟町(今は合併してにかほ市となった)と県境を挟んでいる町でもあります。

 東北の旅では、この町の道の駅:鳥海にお世話になることが多いのです。その最大の目的は、春の旅ならば何といっても山菜を手に入れるためです。いつも溢れるほどの新鮮な山菜が並べられ、どれを買うべきか選ぶのに迷うのが常でした。しかし、ここ2、3年は、どういうわけなのか、東北の山菜は質・量共に低下し、向上するのは値段ばかりのような気がします。この道の駅も例外ではなく、今年は、何だかいつもよりも活気が少なくなってきているように感じました。 

 鳥海の道の駅は、その名前のように、名峰鳥海山を望む場所に造られており、一帯は大きな自然公園のようになっており、海のエリアと森のエリアに分かれています。道の駅の駅舎はその森のエリアの中にあります。国道7号線に面した駅舎は辺りは、あまり品がいいとはいえない音楽が鳴り響き、車と人の出入りでざわめき立って、落ち着かないこと夥しいのですが、駐車場に車を置いて、10分ほど山の中につくられた遊歩道を歩けば、たちまち閑静な森の雰囲気に浸ることが出来ます。しかし、ここに来る殆どの人たちは、喧騒のエリアの他にそのような遊歩道や、森の中にグランドゴルフ場や子供たちの遊戯施設などが整備されているなどとは知らず、滅多に足を入れることは無いようです。

 さて、温泉の話ですが、温泉施設は海のエリアの方に造られています。遊楽里(ゆらり)と名づけられたその施設は、防砂林の松林の中に、他のホテル状の宿泊施設棟に隣接して造られていますが、日帰り入浴を中心とする温泉施設なので、入りにくいことはありません。料金は350円也。まずはリーズナブルな価格だと思います。泉質もよく、身体も温まって、疲れが抜けてゆくのを実感できるような気がします。

 今回の旅では、この道の駅に2泊しました。初めは森のエリアの駐車場の方に、そして2回目は海のエリアの駐車場の方にお世話になりました。2日間とも天気はあまり機嫌が良くなくいて、肝心の鳥海山は見ることができませんでした。そういえばこの道の駅からは、鳥海山は見た記憶がありません。若しかしたら、見えない場所なのかも知れません。今までそんなことにも気がつかなかったことに気づきました。今度行った時に確認したいと思います。そして、又あの湯に浸りたいと思います。

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