山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

税務署へ行く

2008-03-12 00:01:00 | 宵宵妄話

 役人の方には申し訳ないけど、役所で好きな所はない。よほどの所用がない限り、どのような役所へも行きたくない。何度も引っ越したので、移転届けを出しに市役所には行ったりしたが、もうこれからはそれも不要だと思っている。市役所以外は用済みだと思っていたら、この頃は社会保険事務所や税務署などに行かなければならないことが起きている。

 今日は守谷市を管轄内に持つ龍ヶ崎税務署へ出かけた。尤(もっと)も所用といっても、確定申告の事務方は家内の役割で、自分は運転手だけだから気が軽い。10年ほど前、自立して自分の事務所を開いた時には、事業の届出や税務の申告など限りなく煩わしいことに係わらざるを得なかったが、そのときは何でこんなにあれこれやかましいのだろうかとうんざりしたものだった。確定申告に関しては、以前から家内の担当になっているので、ホッとしている。

 一体に数字を扱う事務の仕事は苦手である。税務に係わる事務は、帳票・証明書類が付いてまわるので、殊更にうんざりする。虚偽があってはならないためだということはよく解っていても、いざ実際の手続きとなると、やっぱり煩わしいのである。

 我が家から龍ヶ崎の税務署までは近道を行って50分ほどの距離にある。途中の道は殆どが田んぼで、関東平野は広いなあと思わせる風景が広がっているのだが、今日はそれが感じられないほど霧がひどかった。地霧というのだろうか。田んぼの地表から沸いた水蒸気のような水煙が、吹き出した風に乗って一面に広がって、一時は視界が利かないほどだった。昨夜の冷え込みはそれほどでもなかったが、昨日降った雨で水を含んだ地表が今日の気温上昇に合わせて一気に大気の中に拡散し始めたらしい。珍しい現象なのかも知れない。ライトをつけながら、慎重な運転を心がけた。

  

   地霧。これは走りながら撮ったので、消えかかったようになってしまったが、実際はもっとひどかった。

 税務署は大賑(にぎ)わいだった。殆どの人が車で来るので、駐車場は大混雑で、直ぐ傍に入れることができず、少し離れた第2駐車場に1台空きのスペースを見つけて、ようやく駐車することが出来た。そこから先の仕事は家内担当である。恐らく午前中一杯はかかると思われるので、その間は付近の散策と税務ということについて思いを巡らすなどして時間を過ごすことにした。

 世の中一般に罷(まか)り通っている不公平の中で、税金はトップクラスなのではないかと思っている。税というのは国というか、社会を運営する基盤となるものであり、人体でいえば血液のようなものであろう。だから基本としてはその国に生活している全ての人が支払う義務がある。これは当然のことである。しかし、所得の差によって支払う額は大幅に異なっている。この差についてはある程度の理解は承知せざるを得ない。税がその人の生活を奪うようなことがあってはならないからである。しかし、実際には、この差は雇用関係や職種等によって税の支払い形態が区々(まちまち)であり、差の中に新たな差を二重に作り出しているのは明らかだ。例えば自営業においては、自家用車を経費の対象に含めており、ガソリン代もその中に含まれているから、サラリーマンが車を買い、燃費を負担するのとは扱いが大分に違っている。同様に農家では土地に対する課税が、通常の宅地とは比較にならないほど少額だ。土地を生産手段とするわけだから、一応の理屈は解るが、転用のメリットは、農作を放棄した時点での課税のレベルをはるかに上回って、都市部における農家はリッチな人が多い。都市部における農作を放棄した農家が、貧乏になるべきだとは思わないが、不公平感を限りなく感ぜずにはいられない。ことほど左様に細かい不公平は限りなく存在している。それは、年金の支給の不手際(ふてぎわ)なんぞという問題よりもはるかに大きいように感じている。

 サラリーマンの税に対する不満は大きいが、実際本気で不公平感を覚えている人は少ないようだ。それは税の徴収システムに由来しているからだと思う。年度末に源泉徴収票を貰っても、税の徴収額よりも所得額や税引き後の額の方に目が行ってしまい、徴収額に腹を立ててもそれを覚えている時間は僅かのように思う。税をとられるのは仕方がないことだと、サラリーマンは諦めており、可処分所得にばかり関心を持つようになるのは、人間としては当然のことだろう。サラリーマンの場合は、気がついた時は、常に給料から税は徴収されているのであるから。

 もし、毎月給料からの税金控除をやめ、全て確定申告のシステムにしたとしたら、サラリーマンの課税に対する関心やその税金の使途に対する問題意識は、今の比ではなくなると思う。政治に対する無関心は、もしかしたら税の徴収システムが作り出しているのかもしれない、などと思ったりするほどだ。

 龍ヶ崎税務署の建物は、プレハブ風のバラックだった。役人としてはこのような環境の中で、一所懸命に事務を執っているということなのであろうか。それとも最近は世間の目がうるさいので、立派な庁舎など造りたくても、とても造れないということなのであろうか。土浦の社会保険事務所もバラックだったが、お金を取る方も払う方もこの種の仕事に携わる役人さんたちは、中央官庁の派手な建物と比べると、真に粗末な環境の中で、チョットでも油断すれば批判の眼差(まなざ)しにさらされる怖さを意識しながら懸命に仕事をしているのかなと、ちょっぴり同情の気持ちを禁じ得なかった。

  

   質素な龍ヶ崎税務署の別館

 税のことをあれこれ考えても仕方がない。付近を歩き回ったら、直ぐ近くに鹿嶋宮と香取神社とを見つけた。鹿嶋宮の方が境内も広く、ケヤキなどの樹木も生い茂っていて立派だった。やはりこの地は常陸の国なのだなと思った。運転業務というのは、余禄の時間が結構あるなと思った。

    

     付近にあった鹿嶋宮。なかなかの貫禄があった。

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