東京多摩借地借家人組合

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敷金・礼金なし物件で提訴 家賃遅れれば鍵交換

2008年10月08日 | 最新情報
 敷金・礼金なしでマンションやアパートを借りられるとして低所得の若者にも人気の「ゼロゼロ物件」をめぐり、“家賃”の支払いが数日遅れただけで部屋の鍵を交換され、違約金も取られたなどとして、居住者ら5人が8日、東京都新宿区の不動産会社スマイルサービスに慰謝料など計約1200万円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。

 スマイル社の契約は「部屋の鍵を利用する」との形式で部屋を貸し、賃料支払いが1日でも滞ると入室できないようにして室内の荷物も処分できる、という内容。

 被害対策弁護団は「本来は借地借家法に基づき、一方的に解約できない賃貸借契約にするべきだった。低所得者の弱みにつけ込む違法、無効な契約だ」と批判している。

 スマイル社から相談を受けている宮岡孝之弁護士は「既に契約方法を変更し、違約金も徴収していない」と説明。同社は「係争中でコメントできない」としている。

(共同)
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建物の使用貸借について借主の家族に使用借権の相続が認められた事例

2008年10月08日 | 最高裁と判例集
建物の使用貸借について貸主と借主の家族の間には貸主と借主本人との間と同様な人的関係があるとして使用借権の相続が認められた事例(東京高裁平成13・4・18判決、判例時報一七五四号)


(事案の概要と争点)
一、AはB夫婦の子供として育てられ、昭和26年Bが本件建物を建てた後も一時期を除いてB一家と同居していた(なおBの夫は昭和34年死亡)。AはY1と昭和45年結婚し、その頃からY1もその子Y2もA及びBと同居を始め、以後Aら一家は平成5年9月までの23年間Bと本件建物で同居して生活を共にしBの面倒を見てきた。
 Bはその後本件建物を出て娘のX1と同居するようになったが、Aら一家に本件建物の明渡しを求めることはなかった。
二、Bは平成8年に死亡、X1らが本件建物を相続した。Aは平成9年に死亡した。そこでX1らは本件建物の所有権に基いて、Aの死亡後も本件建物に居住し続けているY1Y2親子に対し、本件建物の明渡しを求めた。なお、Aからもその相続人Y1らからも、本件建物の所有者であるB又はその相続人X1らに対し家賃が支払われていたことはなかった。
三、Y 1ら親子は本件建物に居住し続けることができるか、又は、明渡さなければならないか、これが本件の争点である。


(判決要旨)
一、 建物所有者BとAとの法律関係
 AはB夫婦の実子同然に育てられてきたこと、AY1Y2ら一家は23年間Bと共同生活を送りBの面倒を見てきたこと、Bが家を出て同居が終わったあともBがAら一家に本件建物の明渡しを求めたことがないこと、などに鑑みれば、Bが家を出たころ、BとAとの間で黙示的に(暗黙のうちに)本件建物の使用貸借の合意が成立したものと解することができる。
二、 Y1らはAの権利を承継できるか
 民法599条は借主の死亡を使用貸借の終了原因としている。これは使用貸借関係が貸主(B)借主(A)の特別な人的関係に基礎を置くものであることに由来する。しかし、本件のようにBとAとの間に実親子同然の関係があり、BがAの家族と長年同居してきたような場合、BとAの家族との間には、BとA本人との間と同様の特別な人的関係があるというべきであるから、このような場合に民法599条は適用されないと解するのが相当である。
 そうするとYらはAの借主としての地位を相続により継承し、他方、X1らは貸主としての地位を相続により承継したことになる。よって、Y1らは明渡す必要はない。


(寸評)
 妥当な判決である。ABの関係が賃貸借ならこのような問題は生じない。なぜなら、Aの賃借権は配偶者Y1と子Y2に当然相続されるからである。
 本件は、貸主と借主の相続人との人的関係を基礎に民法599条の適用を否定したところに意義がある。【再録】

(弁護士 白石光征)



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