「やきぐりを噛んでくれろと出す子哉」 これは、小林一茶の句です。小さな子供がやきぐりを噛みきれなくて、親に「噛んで柔らかくして」と口から出した様子を詠んだものでしょう。実際、我が子も固い食べ物を噛みきれなくて、「代わりに噛んで」と口から出すことがあります。唾液のついた食べ物でも、自分の子供のなら平気です。軽く噛んで、子供の口に戻します。ここでふと思うのは、小学校高学年の子供に同じことを要求されたら、果たしてこちらも同じように返してあげられるでしょうか。ちょっと疑問です。もっとも、その歳になったら、子供の方が口から出したものを親に渡したりはしないでしょうけど。子供が「もうパパとお風呂に入らない」と言い出す時期がありますが、親が「もうおまえの食べかけは嫌だ」と思う時が来るのでしょうか。その時期はどっちが先に来るのでしょう。今の自分を見るに、子離れの方がちょっと分は悪いかな、と思います。