大阪府の南部、昔の和泉にあたる地域を泉州と呼びます。貝塚や岸和田などの海に面した地域、西は葛城山系を背にした阪南市、南は和泉山系を境に和歌山県と接しています。
なにわ伝統野菜でもある石川早生小芋。和食では一般的なこの小芋も大阪の河南町、大和川に合流する石川に由来する事はあまり知られていません。
そして、この石川早生をはじめて泉南で栽培されたのが松下喜次郎氏、今回訪問させて頂いた松下長史さんのご先祖にあたられるのです。松下さんは現在、石川早生や泉州水茄子、少量ではありまりますが鳥飼茄子などを栽培されております。極力、農薬の使用を抑えて、牡蠣殻や有機肥料をなどを使用しての栽培です。
里芋は、小芋を食べるもの(石川早生・土垂)・親芋を食べるもの(たけのこ芋)・両方を食べるもの(八つ頭・海老芋)・芋茎を食べるもの(ずいき)に分かれます。
石川早生は親芋の周りに小芋が3~5個、更に小芋に孫芋が3~5個つきます。ですので、一本に約15個ほどの小芋が収穫されます。
魚菜の会で、松下さんに栽培頂いた鳥飼茄子。賀茂茄子に似て肉質が緻密。味の方もそれに負けない美味しさがあります。一株からの終了が少なくて病気に弱く、現在ではほとんど栽培されていません。奥に見える水茄子の栽培法を応用して、鳥飼茄子の栽培にも取り組まれておられます。伝統野菜は品種改良が行われていないので病気に弱かったり、収穫量が少ないなど栽培に関していろいろと難しい面はありますが、今の野菜には無い個性的な特長を持っている事が多くあります。松下さんもこの鳥飼茄子での収益は無いが、自分自身の一つの楽しみになっているから、少量でも可能な限り続けるつもり、と言ってくださいました。
松下さんは、稲作も行っています。大阪でヒノヒカリが多く栽培されるのは土壌との相性だけでなく、台風の被害に合う前に収穫できる早生系のヒノヒカリの栽培が広まったそうです。そして、台風の時期が過ぎると、今度は裏作の冬野菜の栽培に取り組まれます。ただ、この泉州の天候は温暖で安定しており、水源にも恵まれています。こんな恵まれた地で米よりも野菜作りをしないともったいない。野菜一つ一つが自分のお給料になるからきっちり育てなあかん、でも栽培した野菜を出荷する時は嫁に出すような気持ちになると笑いながら松下さんは語ってくださいました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます