高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

チャレンジ畜産in大阪

2006-03-26 | 農業・食育・食文化について

 都市化が進んだ大阪でも数は多くは無いですが、家畜が飼われていることをご存知でしょうか。
 少しでも畜産を理解してもらいたい、そして、大阪府内で生産した良質な畜産物を知ってもらいたいという熱い思いを持った方々おられます。そのグループの名前が、チャレンジ畜産 in オオサカ 通称 CHAO(チャオ)です。

 今回は,CHAOの方々のお話をお聞きする事が出来ました。

 実は、以前に浪速魚菜の会で、このチャオの会員でもある犬鳴ポークの川上さんとお話させて頂いたことがありました。その時に、大阪にも畜産でもこだわりを持った方々の集まりがあることをお聞きしていました。まだ、その時の私は今のように強い気持ちで大阪のこだわりのある食材を広めたいという気持ちを持っていなかったので、そんなに深く心に留めておくことはありませんでした。 

 今、私が料理の監修を務めているささゆりの里では、ようやく厳しい冬が過ぎようとしています。いよいよ、春の息吹とともにお客様も多くなります。今までは、魚菜代表の笹井さんを通じて集められたこだわりの野菜達を献立の中心として来ました。今後もそれは変わり無いのですが、その中に大阪で作られる畜産物もなんとか取り入れたいと思っているのです。そして、食べてもらったお客様に喜んでもらい、また大阪にもまだまだこだわりのある畜産が行われていることも知ってもらいたいと考えています。

 当日になって知ったのですが、チャオの皆さんはわざわざ私の質問に答えてくださるために集まっていただいたそうです。(知った時は、かなり恐縮でした。) 部屋の末席で、皆さんのお話をお聞きできればと思っていたので、何の準備もしていなかったのですが、まずは私の自己紹介と今の思いや活動をご説明しました。チャオの方々も、一人一人自己紹介をしてくださいました。ともて丁寧な対応に、皆さんの懐の深さを痛感させられました。これは実際に生産者見学を行くようになって感じることなのですが、本当に信念をもっておられる方程、相手の肩書き関係なしに接してくれます。今回もその事を痛感しました。

 都市化が進んだ大阪の中で、よほどのこだわりがなければ続けて行く事ができません。そんなこだわりを持った方々のお話を少しご紹介。

 良い鴨の育てるために、いろいろと試行錯誤している。安心して食べてもらうために、何も隠すことはしない。いつも一番を目指して頑張っている。

 私達の食材が万人向けにはならないかもしれないが、妥協することは出来ない。子供が安心して生で食べられる玉子を作りたちという一心で養鶏に取り組んでいる。いろいろと苦労もあるが、飛び切り鮮度の良いものを届けることが出来る。

 ブランド産地名だけが先行しているが、同じ産地でも場所が少し違うだけで全然肉質は変わってしまう。本当にどのような環境で作られているのか分からないのに、ブランドだけで判断するのは悲しい。霜降りなどの見た目だけに囚われずに、高いレベルで味を追求していく。他府県の畜産関係の人を納得させるくらい、美味しい牛を育てている。

 ハチミツに水あめを混ぜているという悪い誤解を無くしていきたい。中国産など、業者が手にするまでの過程が不透明な多い。価格競争しない。大阪でこだわって養蜂できるのは、とても贅沢なこと。

 本来の牛乳は、季節によって味が変わる。また、絞りたての牛乳を置いていると、脂肪分が分離する。いろいろな法律のために、販売はできないが一度飛び切り新鮮な牛乳の飲んでもらいたい。

 明治時代、大阪のアヒルなどの飼育は全国でも80%のシェアを誇っていたそうです。大阪の山は低くて伏流水にならないため、稲田のための溜め池が多く作られました。豊臣秀吉の時代、その溜め池に鯉などを放し、野鳥達が集まったのを飼育し始めたのが始まりだそうです。昔の大阪では、合鴨は土用の鰻とともに夏バテ予防の貴重な食品だったそうです。ちなみに、合鴨はアヒルと真鴨の交配種でアイガモと言う名前を考案し、<合>という漢字をあてた人が、現在のチャオの会長津村さんの曾おじいさんだそうです。

 どうですか、大阪のこだわりの畜産。いろいろとお話をさせて頂いて、本当に嬉しくなりました。都市化が進む中で、いろいろと創意工夫をこらしてこだわりのある食材を作られている方々。その熱意や思いが凄く伝わってきました。大阪の食文化の底力を感じました。

 今度は、是非現地を見学させて頂きたいと思っております。その時は、またブログに書きますのでお楽しみにしてください。本当にチャオの皆様には、お世話になりました。ありがとうございました。

 

 

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