霜後桃源記  

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コリン・パウエル

2018-04-13 19:47:26 | 経営

サラリーマン時代、「リーダーはスタッフとの個別対話を重視すべし」を信念としていた。
しかし、それに同調する同僚は必ずしも多くは無かった。

そんな折、日経ビジネスの巻頭言「有訓無訓」で、当時ブッシュ政権の国務長官だったコリン・パウエルが
「職員との対話」を強調していたので、嬉しくなって直ぐコピーして仲間に配った思い出がある。

米国史上屈指のリーダーと賞賛されるパウエルは、軍人出身ながら「戦争反対」の立場を堅持し、当時は
「次期大統領候補」との噂も流れていた。

そんなパウエルの著書がネットで紹介されているのを見て、嬉しくなった。



「ありがとう」と言わない人は"必ず失う"

〇米国務長官が駐車場係と談笑して気づいたこと

私は国務長官をしていたとき、警備担当者の目を盗み、きれいに磨かれたオフィスをあとにして駐車場まで下りてみたことがある。
駐車場の運営は外注で、働いているのはだいたいが移民か少数民族。給与は最低賃金に近いレベルだ。
駐車場は、職員の人数に対して小さすぎた。だから、毎朝、ものすごい苦労をして車を詰め込むことになる。キーを預かった係員
たちが、隙間がほとんどないほどきっちり縦に並べて駐車するのだ。
国務長官が駐車場をぶらついたことなどなかったからだろう、係員は私が道に迷ったと思い(そういう面もないではなかったのだが、
私は迷ったと認めなかった)、「帰り道」を教えましょうかとたずねてきた。
「いや、いいよ。君たちとちょっと話ができたらと思っただけだから」
そう言うと、彼らはびっくりしながらも喜んでくれた。私は、仕事はどうか、どこから来たのか、一酸化炭素は大丈夫かなど、
いろいろとたずねた。なにも問題はないとのことだった。
しばらく雑談したあと、不思議に思っていたことを聞いてみた。
「毎朝、車が次々に到着するとき、最初に出られる位置にどの車を停めるのか、2番目、3番目にどの車を停めるのか、どうやって
決めるんだい?」
係員は顔を見合わせて薄く笑い、そのひとりがこう教えてくれた。
「国務長官殿、ま、どういうふうかってぇとですね……ここに着いたとき、車の窓をあけてにっこり笑いかけ、オレらの名前を呼ん
だり『おはよう。元気にやってるかい?』などと声をかけてくれる人は最初に出られるところっすね。前をじっと見てオレらが
何かをしてあげていると気づきもしない人、オレらがいることにも気づいてくれないような人とかは、ま、最後に回されますね」
このあたりで、私はにっこりと笑って礼を言い、私を探しているSPのところへ戻ることにした。

〇偉い人が「下々」にありがとうと言わないツケ

次の会議で、私は、この話を幹部たちに話して聞かせた。
「この建物で働く人に対し、敬意や思いやり、優しい一言をもって接して悪いということはありえない。どの職員も欠くことの
できない人だ。どの職員も、そういうふうに見られたいと思っている」
脳外科手術のように難しい話ではない。組織に属する人は一人ひとりに価値があり、その価値を認められたいと思っている──
それだけのことだ。人間というのは、承認と励ましを必要とする。毎晩、私の執務室を掃除してくれる人は、大統領や将軍、
政府閣僚と同じ人間である。だから私はありがとうと一声かける。それだけのことをしていると思うからだ。自分のことを単なる
掃除人だなどと思ってほしくない。彼らがいなければ私は自分の仕事を全うできない。国務省全体が彼らの肩にかかっていると
言っても過言ではない。組織が成功するとき、その仕事にくだらないものなどない。ただ、これほどわかりやすく、簡単に実行で
きる原理を理解できない、くだらないリーダーが多すぎるだけだ。

コメント
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