大日本赤誠会愛知県本部ブログ版”一撃必中”

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防衛省、ステルス機の早期検出技術に関する研究が終了

2015年02月22日 14時25分34秒 | 我が国の安全保障問題


防衛省技術研究本部(TRDI)は昨年7月までに、ステルス機の早期検出技術に関する研究が終了した。検出技術は、将来の対空誘導弾への適用を想定している。クラッタに埋もれるステルス機の信号の検知を想定し、低速の移動目標を用いてクラッタに信号が埋もれる状況を再現する実験を行い、検知方式の機能を確認したとのこと。

「将来ミサイルシステムの研究(8)低RCS目標の早期検出技術に関する研究」
評価対象項目
将来ミサイルシステムの研究
(8)低RCS目標の早期検出技術に関する研究[事後評価(研究終了時点)]
計画担当:技術研究本部 航空装備研究所 誘導武器技術研究部 光電波誘導研究室
3 評価対象事項
シーカ関連技術
4 事業の概要
(1) 研究の目的
将来の対空誘導弾への適用を想定し、移動目標に対して高い目標検出性能を有する電波シーカの実現に必要な技術資料を得る。
評価の概要
1. 2つの目標検出方式に対して、利点及び欠点をシミュレーションにより検討し、さらに、実験により基礎的なデータを取得、解析して原理検証を行ったことは高く評価できる。
2. シミュレーションおよび実験の結果から、粒子フィルタ方式が優れることを明確にした。今後、目標の揺らぎを含めたパラメトリックスタディの実施や、揺らぎの特性(モ
デル)と積分損失の関係について定量的な評価を実施されたい。
3. 低RCS目標対処の研究については、本研究のみならず、例えば偏波の利用の検討等、他の研究を含め、情報共有し、実施されることを期待する。

1.背景
近年、ステルス機のようにレーダ反射面積(Radar Cross Section; RCS)の低減を図った航空機が開発されている。このような航空機に対処できる対空電波誘導弾の実現のために、低 RCS 目標を検知できるセンサ(電波シーカ)に搭載するレーダ信号処理技術について研究を行う。

2.目的
ステルス機のような低 RCS 化された目標は、検知に必要な信号対雑音比(S/N)が得られないため検知距離が短くなる。検知距離が短くなると、誘導させるための時間が短くなるため、目標が旋回した場合、誘導弾を目標へ会合させることが難しくなる。したがって、低 RCS 目標に対処するためには、S/N を向上させるための技術を開発し、極力遠方でこれを検知することが必要である。本研究では、S/Nを向上させるために検知前追尾方式(Track-Before-Detect; TBD)に着目し、シミュレーションにより検知距離の延伸の可能性について検討を行った。
3.検知方法の概要
図1に電波シーカにおける TBD の適用を示す。
従来方式では、信号処理単位である1フレームにお い て ア ナ ロ グ / デ ジ タ ル 変 換 ( Analog toDigital; A/D)、高速フーリエ変換(Fast FourierTransform; FFT)を行った後、検知が行われる。ここでは、雑音よりも十分に大きなしきい値を設定する。それにより、誘導に用いる目標信号を得る。一方、TBD では、A/D 及び FFT の処理の後、仮目標検知を行う。これは、低 RCS 目標を検知するために、しきい値を低下させ、1フレームにおいて雑音及び目標信号を含む複数の信号を仮目標として検知するためのものである。ただし、1フレームのみでは、どれが真の目標信号なのか不明である。そのため、複数のフレームにわたって取得した仮目標を用いて、目標の機動等を考慮した信号処理により目標信号を推定する。その結果から最終的に検知及びしきい値判定により、誘導に用いる目標信号を得る。
4.結果
図2に、従来方式と TBD に対する検知距離のシミュレーション結果を示す。ここでは、目標のRCSは 0.01m2、誘導弾と目標との相対速度はマッハ2、電波シーカは X 帯、パルス数(即ち、FFT ポイント数)は 256 である。なお、用いたフレーム数は10回である。
シミュレーションは、目標の機動(直進及び旋回)、FFT 後の S/N 等をパラメタとして実施した。その結果、TBD を適用することにより7.9dBのS/Nの改善効果を期待できることが分かった。この結果、検知距離を 4.9km から 8.1km へ延伸できることが分かった。

@はい、分かりましたか? 私はしっかり理解できました。

参考:RCSとは、
電波に対し、どれだけのステルス性を持っているかを表す値としてRCS(Radar cross section, レーダー反射断面積)という言葉が使われる。この値が小さければそれだけレーダーに探知される距離が短くなる。特に断らない限りはRCSが最小となる正面での値が、書籍などでのRCS値となるが、RCS値は全ての方向からのものが存在する。