ことし9月、打ち上げに成功した新型の国産ロケット、イプシロンについて、文部科学省は国際的な競争力を高めるため、打ち上げ能力を20%向上させる改良を行うことになりました。イプシロンはJAXA=宇宙航空研究開発機構が12年ぶりに開発した新型の国産ロケットで、ことし9月、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。
このイプシロンについて、文部科学省は国際的な競争力を高めるため、打ち上げ能力を20%向上させるなどの改良を行うことになりました。
具体的には3段あるうちの2段目のロケットの能力を強化するほか、衛星を格納できるスペースも広げ、従来より大きな衛星を打ち上げられるようにします。文部科学省は、こうした改良にかかる費用のうちおよそ18億円を今年度の補正予算案に計上し、平成27年度中の完成を目指しています。また、補正予算案には、基幹ロケット「H2A」のエンジンの改良などにも、およそ47億円を盛り込んでいて、文部科学省ではこうしたロケットの能力の向上により、衛星打ち上げ需要の取り込みを図りたい考えです。
@更に高性能へ!
現在イプシロンが使っている固体燃料は世界最高水準の燃料なんですが、まだまだ新しく開発する余地があります。イプシロンの固体燃料の減量には、アルミニウムとゴム…燃焼に必要な酸素を供給する ”酸化剤” が含まれています。中でも注目しているのが酸化剤の改良です。燃えるときにより高いエネルギーを出す新たな酸化剤を開発しています。ADNと言われる酸化剤です。…このADN酸化剤として酸素を出すだけでなく、ADL自体が激しく燃えて推進力を出す事が出来るのです。
…ADNのおかげで2割能力がアップします。するとイプシロンで月や惑星探査が視野に入ってきます。固体燃料にはゴムが含まれていますがゴムの成分も開発しています。従来のゴムは、固まるともう二度とやり直しがきかないのでロケットに入れる時は、かなり熟練したエンジニアが何人も集まってやらないとできないのです。これが固体燃料の燃料コストが高い理由です。 一方、新しく開発したゴムは何回もやり直しがききます。つまり固体燃料の製造がより簡便になります。ADN(酸化剤)と組み合わせると ”より高性能、低コストの燃料” が出来るのです。