魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

川は怖い

2020年09月02日 | 日記・エッセイ・コラム

近頃は、キャンプブームもあってか、川の水難事故が多い。川の恐ろしさを知らない人が増えたのは、核家族化で、地域や世代の伝承が途切れているからだろう。
川で誰かが死んでも、ニュースで知り、他人事だから、その真相を誰も語らない。
昔でも川で子供が死ぬことは多々あったが、そのたびに、地域の大人が、
「あそこは怖い、流れがきついし、岩場が滑る」などと語り合い、子供もそれを横で聞いて学習したり、大人から注意もされた。河童が引っ張り込むとか、地名が「馬の瀬(ウマノセ)」と崩れそうな名前や「壺」「淵」など、警戒を伝えた。

ところが、大人同士の世代間コミュニケーションも失われ、子供も地域共同体ではなく、幼稚園や学校で、地域も世代も分断された中で育つ。親も、伝承ではなく情報ソースで知ろうとする。つまり、知りたいことだけ知るから、生きていく上でのベースとなる一般知識が欠落する。日本では、これがすでに、2~3世代続いている。
30年ほど前に、キャンプ場の管理人が、「キャンプ客が夜中に、川のせせらぎがウルサイから何とかしろと言ってきた」と、あきれていた。
キャンプ場があること自体、年寄りからすれば別世界なのだが、キャンプブームも、上下水道付きの専用施設が前提になっている。

近頃は、ソロキャンプもブームのようだが、逆に、危険の認識度が心配だ。
今や大昔だが、子供の頃、ボーイスカウトでキャンプに行くと、水の確保と、穴を掘って便所を作ることが最優先だった。土地の所有者の確認も大事だが、夜間の見張りも交代で行った。もちろん、火の扱いと始末が、最も重要な訓練だった。キャンプ道具を自転車に積んで帰る途中、土砂降りに遭い、みな唇を紫色にして帰ったこともある。

先進国は何事も至れり尽くせりで、野外の厳しさや危険を知らず、楽しさを金で買えると思っている。問題が起これば、業者にクレームを付ければ良いのだ。
こんな時代に、いきなりキャンプだバーベキューだと、お気楽に出かけるから、河原の増水で流されたり、ちょっとした水遊びのつもりで、川の水難に遭う。
川遊びは海より何倍も怖い。しかも普通、ライフセイバーもいない。

地域共同体の伝承もなく、車でいきなり知らない土地に行って遊ぶ時代。
川遊びにはライセンスフラッグのようなものを出して、基礎知識のテストに合格した人に旗を出し、その旗を立てて遊ぶようなルールが必要だ。これは自治体単位でもできる。経費がないなら、入川料をとっても良いかも知れない。死者を出すより良いのだから。


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