魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

軍隊思考

2016年08月12日 | 自動車人間学

尖閣に大挙押し寄せた中国漁船部隊と海警に、ギリシャ船が衝突し、漁船が転覆沈没。中国海警は間に合わず、日本の海保が救助した。
世の中は、実に面白いことが起こるものだ。
まるで、ミニ元寇の神風だ。中国が覇権を示そうとしたことが却って裏目に出る。
日清戦争の海戦もそうだった。中国の傲りが裏目に出た。

中国海警は漁船に乗り込んだりするパフォーマンスで実効支配をアピールしようとしたが、結果的に、日本の管轄が証明されてしまった。
中国のメディアは、サッカー予選の日本のオウンゴールを、日本はお笑い担当だと揶揄したが、中国は世界政治のお笑い担当だ。

中国共産党とは、一体どういう体質なのだろう。
とりあえず、明らかなことは、軍事国家であることだ。軍事力によって政権を握り、軍事力によって国境を広げてきた。そして、歴代の国家代表とは、中国共産党中央軍事委員会の主席だ。
この軍事国家を打ち立てたのは毛沢東だが、路線変更により今日の経済繁栄をもたらしたのは、事実上の二代目、鄧小平だ。
鄧小平路線と、それ以前は明らかに変わった。それまではイデオロギー志向であり、鄧小平以降は現金志向だ。

ガムシャラ集団
自動車人間で見ると、毛沢東と死後引き継いだ華国鋒は「sハ」=スポーツタイプのハンドルだ。ところが、鄧小平を始め、それ以降の主席は全員「sエ」、または「エ」のエンジンで占められている。
つまり中国は、ハンドルから、エンジンに変わったのだ。ハンドルはプログラム志向、目的志向であり、理想設計図に従って動く。
これに対し、エンジンは状況対応で、ひたすら動くことで結果を出そうとする。対策の連続で、目先の利を得るには有効だが、ガムシャラに走り続け、崖から飛び出しても足が回転している。状況が見えなくなると、とにかく動き盲動する。

このエンジンの性質を理解して見ていると、中国の出方はすべて説明が付くし、次の出方も想像がつく。
エンジンは解りやすい物を信じる。行動、お金、人の反応など、あからさまな現実思考であり、名誉や知的満足、プライドなど見えないものなどどうでも良い。美しさより手応えを求める。ただし、意外にも芸術家や芸能人にエンジンは多い。これは、物を造ることや、人の反応を見ることを喜びとするからで、抽象概念を表現したいからではない。

また、軍人にはエンジンが多い。これは、現場志向、対策志向人間には、目的が解りやすいからだ。前戦では理念や理屈など関係ない。処理と対策で、結果あるのみだ。
命令一下、素早く立ち回り、結果を出す。オウムの幹部がほとんどエンジンだったことが、麻原の妄言を実現させることになった。

中国共産党の、常軌を逸した行動は、政治や外交が、人心の納得によるものであることを理解できないからだ。行動と力を駆使すれば、結果が出ると信じ込んでおり、ひたすら行動と対策を打ち出してくる。まさにエンジンだ。
批判言論は監視や抑圧で押さえ込もうとし、いい気で進撃した南シナ海で否定されると、さらに上回る力で押し切ろうとする。南でダメなら東にもと、さらに大規模な行動に出てきた。エンジンは、圧力と爆発で動くが、圧力が掛かるほど爆発する。

エンジンには、ボディーやハンドルのような情緒や理念がなく、何事も物理思考だから、何でも金で解決すると考える。高速鉄道の売り込みを始め、南シナ海問題では、大量の裏金や経済援助でカンボジャやラオスを味方に付けた。
過剰生産で行き詰まり、サービス産業に転換しなければならないと知ると、大量の資金を投入して、映画やアニメ産業を拡大しようとする。しかし、検閲前提の文化成長など成功するわけがない。

これも、何度も言うことだが、尖閣での最初の魚船体当たりはハプニングだ。しかし、共産党は「これは有効だ」と、南シナ海でも東シナ海でも、一つ覚えで使い始めた。エンジンは、やり方を一つ憶えると、それが行き詰まるまで同じことをする。
またエンジンは、一端起こした行動に自分でブレーキを掛けられない。軍人が実権を握ると、原爆まで突っ走った日本帝国のように、歯止めがきかなくなる。

突っ走っているエンジンを止めることはできない。止めるには、気づかれないように燃料を切るしかない。
燃料(資金)がない時には中共も暴走できなかった。
エンジンの暴走を止めるもう一つの方法は、誰も反応しないことだ。反応を見たがるエンジンは、聴衆が無反応になると、気が抜けてしまう。お笑いタレントが一番怖いものはスベる事だ。中国の行動に一々取り合うより、みんなが置き去りにして、他の土地で楽しく賑やかにやれば良い。

ベトナムもフィリピンも、中国の強引な行為に反応せず、国際社会に中国の行為を宣伝して、国際コンセンサスを築いていれば、南シナ海の大暴走までには発展しなかっただろう。怒り、物理的対抗をしたから、中国に暴走の大義を与えてしまった嫌いがある。
エンジンは、相手の反応に反応して動く。