魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

精密国土

2015年05月12日 | 日記・エッセイ・コラム

運送業界では、運転手の過重労働規制が厳しくなり、事業が成り立たないと焦っている。
これも、射手座(運輸)の土星現象の一つだ。

規制をクリアするためには、運転手を増やしたり、時間短縮のため高速を多用しなければならず、経費がかさみ、経営が困難になっているとのことだ。
確かに運送業にとっては、苦難の時代が来たことになるのだが、元々が、業界のあり方を放置したまま、業者はひたすら競争し、利用者はそれに甘えてきた。

それを当たり前と考えれば苦難だが、大局的に観れば、来るべき限界が来たのであり、この「試練」によって、また違う世界を迎えることになる。
土星は山だが、その山を越えれば、別の世界が待っている。

これまで、労働限度の13時間を超えて働いている運転手が多く、そもそも、こうした無理による過当競争は、長距離トラック輸送に頼るモデルを、アメリカのような大陸から持ち込んだことにある。もとより、アメリカをマネた自動車工業、土建産業による戦後経済も背景だ。

日本のような狭い国土には、明治以来の鉄道輸送が向いており、せっかく充実していた鉄道貨物を捨て、トラックに頼ったことで、廃線を増やし、事故を増やし、排ガスを増やした。
最近になってようやく、鉄道の利便性が見直され、鉄道貨物が増加してきている。
トラック輸送業界にとっては「苦難」だが、運輸全体で観れば、より良い発達のきっかけになる。

海外観光客も含め、国内観光の足としても鉄道の可能性は大きく、貨物輸送と合わせて、日本全体での鉄道大復活が必ずあるだろう。

外国人に聞いた、日本の鉄道の短所の一つに、「荷物スペース」の不在がある。
全く同感だ。
大きな手荷物を一括収納するスペースもなければ、専用車両も無い。
車両設計段階から発想が無いようだ。

また、欧州などのように、人と自転車を一体と見なして欲しい。
駅まで自転車で行って、自転車ごと乗車し、降りた駅でそのまま自転車で出ていけるようになれば、駅駐輪場は要らない。自転車利用が増えて、健康にも環境にも良い。
通勤ラッシュ時は不可能だが、こうした発想に基づいた社会づくりをすれば、通勤ラッシュそのものも無くなるだろう。

この仕組みの説明は長くなるが、ネット時代と鉄道を軸にした物流で可能になる。
狭い国土で、精密機械のような日本人と日本社会には、鉄道こそがふさわしい。

動脈硬化