転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



二十代の一時期、ロマンス小説をやたらと読んだことがあった。
最初は、ハーレクイン・ロマンスだった。
東京~広島を新幹線で移動する機会が多かったので、
車中の時間つぶしにちょうど良いと、遊び友達のOが言いだして、
やってみたら、なるほど全然疲れず、ぴったり二冊読めた。

どれを読んでも話は一緒(ヒロイン登場→ヒーローとの心に残る出会いを体験→
接近→ライバル登場→あわや破綻→一気に語り合って誤解がとけてゴールイン)、
ということは3冊目くらいで看破したのだが、
セッティングに凝っているところがこのシリーズの味わいなのだな、とやがてわかった。
ちなみに、私的大ヒットのヒロイン設定は「五カ国語を話す猛獣使い」だったものだ。

で、あるとき、そろそろ洋モノ金髪は飽きた・やっぱ国内版でしょ、
と思いついて、河岸を変えることにした。
それで、乗車前に駅の書店で適当に買ったのが、
サンリオ・ニューロマンスの一冊、桐野夏生真昼のレイン』だった。

発車して、軽い気持ちで読み始めたら、ビックリ仰天した。
なんと、私がタカをくくっていた、いつもの展開に、なってない!!
喋ってわかってエブリシングズ・オールライト、で済むような簡単な人間関係じゃ、ない!!
しかも、ヒロイン、二股かけてます!!

私は思わぬ鉱脈を探り当てた気分で、このときからしばらく、
サンリオ・ニューロマンスを買いあさった。
桐野作品はもうひとつ『熱い水のような砂』というのがあったがすぐ読んでしまい、
その次に別の意味でハマったのが、此君那由子だった。
中でもピアニストと指揮者の愛を描いた『一夜のコンチェルト』は、
もう、私的には笑い無しには読めないツボ刺激されまくりの娯楽作で、
私は友人Oと組んで自分らも作家デビューしたい、と考えたほどだった。
ネタは勿論、天才イーヴォ少年の、人妻・略奪愛!!

残念ながらこのシリーズはしばらくして休刊になってしまった。
そして、私のロマンス小説熱も、いつしか冷めた。

ちなみに93年、桐野夏生は、第39回江戸川乱歩賞を受賞し
ミステリー作家として世に出た。
今となっては、彼女のロマンス小説時代を知っているのは私の密かな自慢だ(^^ゞ。

Trackback ( 0 )



« 百足 取り調べ »