数日前のことなのだが、姑の病院に行く道を歩いていたら、
前方に、普通ではない雰囲気の人が、いた。
その人は、後ろ姿だけでも女性であることはわかったのだが、
異様に長い、腰くらいまである髪を振り乱していて、しかも、
サンダルが左右で違っていて、ぺたり、ぺたり、と歩いていたのだ。
平日の昼日中、彼女の周囲だけ、空気が異常だった。
周囲の人は、見て見ぬふりなのか、
彼女などそこに居ないかのように、スイスイと通り過ぎ、
通りすがりに覗く人も、振り返って見る人もなかった。
彼女は、かなりゆっくりと歩いていたので、
せかせかした私は、このままでは、彼女に追いつきそうだった。
初め、私は、その雰囲気の異質な人がなんとなく怖くて、
目が合っちゃったりしたらコワイかも~、などと、
追いついたときのことを想像していたのだが、
そのうち、もっと怖いことを考えてしまった。
も、も、もしかして、あれは、私だけに見えている、幻なのでは……
みんなは、見て見ぬフリじゃなくて、ホントに見えていないのでは……
あ、あれは、もしかしたら、ユーレイ………(((( ;゜Д゜))))
娘の大好きな怪談で、よくあるのだ。
白昼堂々と、突然、幽霊を見てしまう話が。
前から来る男性が、変な女の人を引きずってるな~と思ったら、
それは顔だけで、体のない女だったとか、
楽しそうに喋っている学生さんのひとりが、
腕を組んで、おばあさんを後ろ向きに歩かせていて、
変だなあと、行き過ぎてから見直してみたら、
そのおばあさんは、首だけが180度逆で、背中側に顔があったとか。
私は、もう、その女性から意図的に目を反らして、
足を速めて、一気に彼女を追い抜いた。
自分が前に出て、かなり歩いてからは、ようやく、ホっとした。
これで後ろを見なければ、もう、あの人が実在してもしなくても、
私には関係ない。
―――が。
信号待ちをしていたら、後ろから、気配がしてきたのだ。
ぺたり、ぺたり。
ひぃぃぃ……、と思いつつ、
怖いもの見たさとはこういうのを言うのか、
私は、好奇心に耐えかねて、つい、振り返ってしまった。
……………!!!
見なければ、良かった。
見て、本当に悪かった。ゴメンナサイ。
その人は、
ブラウスの前を全開にしていた。
ユーレイではなく、軽犯罪法第1条第20号に
触れる直前のヒトだった。
Trackback ( 0 )
|