転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



去年、「打とうが *うたまいが」に感銘を受けた私であったが、
きょうはまた、Twitterで「*ありうります」という活用形を見て畏れ入った。
「*ありうりそう」「*ありうらない」もあった。
いやもう、言語が変化していく過程を生で観察している興奮……!!

この用言の、そもそもの終止形は「あり得る(ありうる)」だ。
これは確かに普通の語ではなく、変則の入った下二段活用をする動詞で、
文語の「ありうる」が終止形と連体形に残っていて、
その他の活用は「ありえ-」を語幹としている。
それゆえ、多少の混乱や迷いがあるのも、わからないことはない(汗)。

「ありえない」「ありえます」「ありる」「ありること」「ありえれば」「ありえよ」

そもそもが、文語の終止形は「ありう」だった
(文語「ありう」の活用→ア行下二段
「未然形 ありえず」「連用形 ありえたり」「終止形 ありう」
「連体形 ありうること」「已然形 ありうれども」「命令形 ありえよ」)。
だから、現代語で終止形を「ありうる」とした段階で、既に揺らぎが起こっている訳だが、
更にこの変則的活用に耐えられない現代人の多くは、
「ありる」を終止形と連体形に用いることも多くなっている。
このほうが、規則どおりの下二段活用になるからだ。
「ありうる」と「ありえる」のどちらが正しいか感覚的にわからない人や、
とっくに「ありえる」しか使っていない人が、結構多いのではないか?

しかしここに来て、この語は「ありう-」が息を吹き返したうえ、
別の活用を獲得し始めていたのであった。
「○○する恐れが、ありうりますね~」
「ありうります!」
「ありうりそうですよ本当に」
「いや、さすがにそれは、ありうらないでしょう」
私は面白がって活用を創作したのではない。
Twitterで本当に、上記のような会話がなされていたのだ。
なんと自由自在な、ラ行五段活用!!

*「ありうらない」「ありうります」「ありうる」「ありうること」「ありうれば」「ありうれ」←?

日本語話者にとって五段活用が、動詞の活用の基本であり、
馴染みの薄い動詞を活用しようとするとき、その五段活用がまず適用される、
という仮説を、ここで立てることができるかもしれない。
しかしながら当該の語に関しては、日常生活において「ありうる」は、
それほど一般的に使われるとは限らず、むしろ「ありえる」のほうが
多く支持されるようになっていたのではないだろうか。
なぜここで、「ありえる」ではなく「ありうる」が選ばれ、活用されているのだろうか??

そもそも私自身は「ありうり」系の活用をしたことがなかった、
というか今日はじめて知ったので、どのレベルの語なのかがわからない。
Twitterで「ありうります」を検索すると軽く2014年まで遡ることができるので、
それなりの定着度だと思われるのだが、
これは「激おこ」「ぴえん」レベルの、一過性の言葉なのだろうか?
「アリウリ♪」という語感を楽しむ目的で、誤用は承知で意図的に使う語なのか?
それとも会話なら、ビジネスレベルの話をするときのあいづちでも
もしかして、あり得る(爆)言葉なのだろうか?

    その謎を解明するため、我々調査隊はSNSの奥地へと向かった――

(続)?

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