元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

自分にとって万年筆とは何か?

2018-02-11 | 実生活

台湾の出版社の方が当店を取材してくれた。

通訳の方同伴とはいえ、気付いたら海外から記者の方が普通に来られて取材していく時代になったのだと思いました。

7年ほど前に時計ライターのNさんが台湾の雑誌に持っているご自分のコーナーで当店を取り上げて書いて下さった時は、台湾は遠く感じたけれど、今ではあまり距離を感じなくなりました。

それだけ台湾からお客様もよく来られるし、台湾の方の記事もフェイスブックなどでよく見るようになったからかもしれません。だから、台湾東部の地震は本当に人ごととは思えない。

台湾からのお客様もリピーターの方が増えてきたようで、取材の方もハーバーランドや北野などの観光スポットではなく、一般観光客があまり行かないマニアックなスポットを中心に取材しているとのことで、当店はマニアックなスポットなのだと若干の苦笑はありました。
しかし、その本に当店を入れていただけたのは、文具好きの担当の方の意向だったと後で知り、それもまたとても有り難い話だと思いましたが、ご意向がなければマニアックなスポットにも挙げられてなかったのかもしれない。

取材の中で、私にとって万年筆とは何かという、情報誌らしからぬ質問があって、「万年筆とは書くことを大切に思っている心の象徴」と答えましたが、「難しい」と言われました。

正直に言ってくれて、かえって気持ち良かったけれど、万年筆を精神的なものと結びつけたいという想いは、齢をとるごとに強くなっている。加齢は人を理屈っぽくさせるのかもしれない。

20代半ばに万年筆で書くことに夢中になって、今でも万年筆でいつも何か書きたいと思っている。

仕事をしながらずっと追究しているのは、自分がなぜ万年筆で書くことに夢中になったのかを解明することと、自分の加齢とともに変化する万年筆を通して伝えたいことを伝えることだと思っています。

時代は本当に変化していて、それでも自分は同じところに居ることができている。それはきっと恵まれたことなのだと思っている。