殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

始まりは4年前・31

2024年08月29日 14時51分14秒 | みりこん流

大きな台風が来ていますが

皆様がお住まいの地域は大丈夫でしょうか?

くれぐれも気をつけてくださいね。

 

 

さて、母の行く末が決まるであろう来月末を

まんじりともせず待つ私だが

それにつけても老人の世話は骨が折れるものだとつくづく思う。

なぜ骨が折れるか。

周りに気を遣う人は、気を遣うのにくたびれて早くいなくなるが

長く生き残る人はたいてい、超絶プライドが高くて超絶ワガママだからだ。

 

プライドが高くてワガママな人と付き合うのは大変だが

さらにアレらは高齢や病気を言い訳にして、周囲の人間をアゴで使う。

しかもタダで。

出費は最低限、実入りは最大限がアレらのモットー。

物資不足の中で生まれ育った時代背景もあろうが

そもそもプライドが高くてワガママな人は

ケチもセットで付いているものだ。

 

その上、運転免許を持ってない人も多いので

車が夢の乗り物だと思っている。

タクシーと違い、タダでどこへでも行ける魔法の絨毯みたいな感覚だ。

急に思い立った要望を容赦なく言いつけるが

その要望の大半は車を必要とする労働なので

アレらに奪われる労働力と時間、ついでにガソリン代は倍化する。

しかし、アレらは知ったこっちゃない。

そういう気遣いをしないで生きて来たから、長寿なのだ。

 

そしてプライドが高くてワガママな人は

自分の命令を聞かない者が許せない。

加齢で理性が失われるのもあって、思い通りにならないとすぐキレたり

尾ひれをつけて他の人間に言いふらす。

そのためアレらの周辺は、いつもゴタゴタしている。

 

あえて言うが、アレらはすでに人間ではなくモンスターである。

なぜモンスター化するのか。

感謝を知らないからだ。

世話をする人間に感謝せぇ、というのではない。

生まれて来たこと、生きていること、家族の存在、美しい自然…

感謝する案件は無限にあるにもかかわらず

それには目を背け、ひたすら自分、自分、自分。

人間とモンスターの違いは、感謝の有無である。

 

しかし、アレらばかりが悪いのではない。

人間、年を取り過ぎると、どうもああなるらしい。

日本の歴史上、老人がこれほど長生きをする時代は無かった。

あんなに生きる老人の前例がほとんど無いから

今のスーパー長生きな老人が必要以上に悪質に見えるだけで

我々もスーパー長生きをしたら、同じ老人になるのかもしれない。

 

『ギャラリー』

この4年、母に多くの時間を費やしてきた私だが

全てが大変なことばかりではない。

4年前から急に私を娘認定した母と

急に娘の役柄を演じることになった私の二人連れに

町の人々は温かかった。

疎遠だった二人の妹と親しく連絡を取り合うようになったのも

母の件があればこそである。

 

中でも幸運を感じたのは、鬱陶しいギャラリーが存在しない環境。

うちには、夫の姉がほぼ毎日やって来るという

嫁にとって悪しき習慣があるので身に染みているのだが

労働はせずに口だけ出されるって、そりゃ嫌なもんよ。

今はもう慣れてしまって何ともないが

町内に住む親戚たちも、似たようなものだ。

 

母の実子であるマーヤや、母の姪である祥子ちゃんが

それをやるような人間であれば、私はブチ切れていただろう。

よくある話を例にすると

「今の病院より、市外の⬜︎⬜︎病院がいいって聞いたよ」

「かわいそう」

「こんな物しか食べさせてもらってないの?」

などと、いかにも老人のことを思っているそぶりで

無責任なことを言われたら、迷惑この上ない。

 

かわいく思っている人物から、そのような発言を聞いたら

ただでさえ揺れやすい老人の心は激しく揺れる。

世話をする者の言うことを聞かなくなったり

発言した人物に世話をしてもらいたいと無いものねだりを始めるだろう。

 

老人を保護するとは、病院その他へ連れて行くこと

老人ができない用事を代行すること

ごはんを作って食べさせること…

つまり地味でしんどくて、時間のかかることばかりだ。

ギャラリーに生半可な善意で口を出されると

ただでさえ厳しい老人の世話が、ますます厳しいものになる。

 

普段、離れて暮らしているギャラリーは

老人の世話に手を染める可能性の無い安全圏にいるからこそ

無意識にいい加減なことが言えるのだ。

医療関係者は、老人や病人の世話を主だって行う1名を

キーパーソンと呼ぶが、ギャラリーの無責任な発言は

このキーパーソンに多大なストレスをかける。

 

私には、それが無かった。

ワンオペは確かにきついが、誰かと協力し合ってやるのは

私の性に合わない。

協力し合うったって、労働の質と量の差はどうしても出るので

言うにいえぬ不公平は付いて回る。

老人は老人で、あんまりやらない人の方が口だけは優しいので

そっちを好んで優劣をつけるものだ。

そんなつまらぬことに腹を立てるより、一人で引き受けた方が

気だけは楽じゃないか。

 

その点、マーヤも祥子ちゃんも潔かった。

距離的に遠くてそもそも無理とか

近くても母が苦手という理由があったにせよ

この徹底した潔さに助けられた。

 

一つ下の妹も

「話し相手ぐらいしかできないけど、たまには行こうか?

その間、姉ちゃんは休めるじゃろ?」

と言ってくれたが、別に会いたいわけでもない継子が

はるばる山口くんだりからやって来たからといって

どうなのかな?と思った。

 

それでも一応、母には妹の意向を伝えてみた。

しかし普段と違う人間が家に来ることに緊張し

具合が悪くなったので、断った。

私も妹の気持ちは嬉しかったが、たまに顔を出すだけで

手と金を出さないギャラリーはいらないのが本音だ。

 

老人の身内であっても、扶養義務や保護責任の無い人はたくさんいる。

その人たちに申し上げたい。

「口は出すな、出すなら手と金だ」

《完》

 

1ヶ月に渡って続けさせていただきましたシリーズに

辛抱強くお付き合いくださいまして

誠にありがとうございました。

毎日の更新は、私にとって一種のチャレンジでしたが

皆様のお陰で成し遂げることができました。

テーマを与えてくださったモモさんを始め

コメントをくださった皆様、応援ポチを押してくださった皆様に

心より感謝申し上げます。

コメント (12)
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