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中宮寺門跡の半跏思惟像は飛鳥時代・7世紀後半に制作された。

2016-07-09 | 朝鮮新報ニュース
特別展「ほほえみの御仏・二つの半跏思惟像」/
人民芸術家・洪永佑さんに聞く

古代朝・日交流の鮮やかな足跡


東京・上野の東京国立博物館(本館特別5室)で、特別展「ほほえみの御仏・二つの半跏思惟像」(10日まで)が開催された。一体は、ソウルの国立中央博物館蔵の半跏思惟像(韓国国宝国宝78号、三国時代・6世紀)であり、もう一体は奈良・中宮寺門跡蔵の半跏思惟像(国宝、飛鳥時代・7世紀)。

この催しは古代朝鮮半島と日本の色濃い文化交流を如実に物語るもので、会期中、多くの歴史ファンが詰め掛けた。会場で二体の仏像を見ながら、その類似点や相違点などについて、美術作品全般に造詣が深い、朝鮮民主主義人民共和国の人民芸術家である画家の洪永佑さんに話をうかがった。


ソウルの国立中央博物館蔵の半跏思惟像(韓国国宝国宝78号、三国時代・6世紀、金銅製)
比類なき造形美

半跏思惟像とは、「背筋を伸ばし、右足を左足の上に組んで坐具に坐り、右手の中指を頬に当てて思惟(思案)する」仏像の姿。6世紀頃の朝鮮半島では、未来の世に現れ、衆生を救済すると広く信仰されていた弥勒菩薩として作られ、他の国とは比べようもないほど流行した」(丸山士郎・東京国立博物館特別展室長、東京新聞6月21日付)と言われる。

洪さんも、「日本の半跏思惟像は朝鮮の三国時代の影響を強く受けてつくられた。南の国宝78号像として親しまれるこの像は、制作が6世紀後半にさかのぼるもので、朝鮮半島では早い時期のもの。金銅製ながら高さが83cmある大作だ。金銅仏らしい鋭利な表現が見られる一方、ふくよかな指をふっくらとした頬に添え、伏し目がちで、口元に微笑を浮かべるきわめて優美な造仏だ」と指摘する。

さらに、「像全体のシルエットがかもし出す、柔らかさ。頭部から背中、さらに右足へと続く流れるような繊細な曲線に目を奪われる」と感嘆する。丸山士郎・東京国立博物館特別展室長も「像高は1メートル近く、金銅製の作品としてはかなり大きいが、銅の厚みは五ミリほどしかなく、鋳造技術の高さも特筆される」(東京新聞同上)と高く評価する。

一方、中宮寺門跡の半跏思惟像は飛鳥時代・7世紀後半に制作された。

背筋を伸ばし、右足を左足の上に組んで坐具に坐り、右手の中指を頬に当てて思案する姿だ。柔らかい微笑み、ゆったりとした姿勢などが特徴。肉身の起伏や衣の襞の形を単純化した旧来の表現が重なり合って、清楚で上品な雰囲気を醸している。他の飛鳥時代の木彫仏と同じように、この像も古代より仏像彫刻に多く用いられたクスノキでつくられている。像高126.1センチメートル、坐高87.9センチメートル。洪さんによれば、南の国宝78号は様式美に溢れているが、中宮寺の半跏思惟像はきわめて写実的だと指摘する。肩幅の大きさや右足の組んでる形が直線的で、全体の姿が男性的な面もあると語る。洪さんが同時期のものとして挙げたのが、広隆寺の宝冠思惟弥勒半跏像(木造)。日本の国宝第1号として名高いが、この像の材質は、日本に豊富にあって香もよいクスノキではなく、朝鮮では最も多生する赤松を用いている。朝鮮で制作されたものか、あるいは、赤松を素材に彫りなれた渡来人仏師が日本で作ったものと考えられるが、ソウル国立中央博物館の国宝83号金銅三山冠半跏思惟像と瓜二つであることはあまりにも有名である。


奈良・中宮寺門跡蔵の半跏思惟像(国宝、飛鳥時代・7世紀、木造)
朝鮮半島の強い影響

洪さんが指摘してやまないのが、飛鳥文化と朝鮮半島の濃密な関係である。「日本書紀によると日本に仏教が伝来したのが、552年。飛鳥大仏と崇められる釈迦如来坐像は止利(とり)仏師の造仏とされている。飛鳥寺建立の際には高句麗の大興王から黄金300両がお祝いとして贈られたと飛鳥大仏の光背の銘文に刻まれている。いずれにしても、止利仏師の造仏は、止利式あるいは止利様といわれるほどに、飛鳥時代の仏像彫刻に大きな影響を及ぼしたことは疑いようもない事実だ。法隆寺金堂の『壁画』(7世紀前半)、7世紀末~8世紀初の『高松塚古墳』壁画や『キトラ古墳』壁画、660年代に製作された『天寿国繍帳』(中宮寺蔵)の刺繍の下絵など、それらの国宝絵画の創造者が渡来人画家であったことなどはつとに名高い。記録に残る7世紀末までの仏像、絵画などの担い手はすべて渡来人であったと言って間違いない」。

まさに、朝鮮半島と日本に半跏思惟という同じ姿をした仏像の名品が残るのは、古代朝・日交流の今一つの証である。朝鮮半島渡来の文化を抜きにして、飛鳥文化の実相に迫ることはできないのである。

(朴日粉)


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